コメディ・ライト小説(新)

Re: four seasons~想いを、紡ぐ~ 第一話 ( No.2 )
日時: 2023/06/23 18:55
名前: 鏡花 (ID: XVhgbfch)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

第一話 日常

春原兄妹の朝ははやい。
「おはよー……」
「おはよう、紬」
重いまぶたをこすって、私は食卓テーブルに腰を下ろす。じゅううう、とキッチンから音がした。
ソースとお肉の匂いが私の鼻をくすぐる。
「はい、簡単なものだけど」
「わっ、ありがと。美味しそう!」
カツサンドだ。
『簡単なものだけど』というお兄ちゃんの言葉は信用できない。カツも完璧に揚げるお兄ちゃんは、とっても料理上手。
カツサンドにかぶりつくと、サクッと心地よい音がした。
「うわぁ、美味しー!」
思わず私は大声で言った。
「それはよかった」
「お兄ちゃんは食べないの?」
「あぁ、すぐ食べる」
そして、お兄ちゃんは……。ん?
なぜか、納豆ののったお米を持ってきた。そして、そのうえにカツサンドを……。
「え、お兄ちゃん?な、何してんの?」
「ん?」
「カツと食パンと納豆とご飯……合うの?」
お兄ちゃんはやっと自分の行動に気がついたようだった。危ないなぁ……とごまかすように笑って、キッチンへ行く。

__お兄ちゃんが心配だ。いつも頑張ってくれて、たくさんバイトしてくれて。
あんな両親とは違うね。
中学1年生の私は、お兄ちゃんに迷惑をかけている。だから今は、お金がほしい。本気で。

「じゃあ、行ってくる。紬も始業式頑張って」
いつものようにドアがあいて、私は家に取り残される。

このように、春原兄妹の日常はいつも、孤独です。