コメディ・ライト小説(新)
- Re: four seasons~想いを、紡ぐ~第二話「出」 ( No.3 )
- 日時: 2023/06/24 19:45
- 名前: 鏡花 (ID: XVhgbfch)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第二話「出会う」
▽春原紬の場合▽
始業式。そしてクラス替え。私は少しドキドキしながら学校に来た、のだが。
「うぅ……見えない……」
思いっきり背伸びをしてみる。ダメだ。貼り出された名簿には人だかりができている。
「あーちゃん!同じクラスだね!」
「やった、シュウトくんと同じクラスじゃん」
「え、シュウトくんってあの?」
きゃぴきゃぴ言いながら友達とハイタッチをしていたり。顔を赤らめていたり。
(誠に残念ながら、私には一緒に騒げる友達というものがいない。)
もっと早い時間に来ればよかったかも。後悔し始めたころにはもう遅い。ため息をついて、一歩後ろにさがる。
そのときだった。
背中になにかがふれて、直後にどん、と鈍い音が聞こえてきた。
「痛ぇ……」
えっ……。
私は首がねじ曲がるほどの勢いで、振り返る。
そこには、地面に尻もちをつく男子生徒がいた。どうしよう。冷や汗を背中が流れる。
「す、すみませんっっ!!お怪我はありませんかっ!?」
足元に転がっているスケッチブックを拾い上げようとする。
「秋桜……?」
表紙のタイトルが見えて、私は首をかしげる。
しかし、男子生徒が私より先にさっと拾い上げてこちらをにらんできた。うわぁぁ……怒ってる……!
もう一度謝ろうと口を開いたとき、ハッとした。
ぽかんと口を開けたまま固まる。
(か、かっこいい……)
その男子生徒は、芸能人みたいに整った顔をしていた。こんなにかっこいい子、存在したんだ……。
……って、男子生徒、いなくなってる……。。
立ち尽くす私をあざ笑うかのように、「ビュルッ」とどこかでヒバリが鳴いた。
▼??の場合▼
はぁ。
机に伏せて、俺は自己嫌悪におちいっていた。ナナメ前の席でも、同じような格好をして暗〜いオーラを放ってるやつがいる。
(さっきの女子だよな、あいつ)
自分でも、あんなにキレるなんて思わなかった。
『秋桜……?』
あの女子はそう言った。そこまで有名じゃなかったのかって、ショックだったんだ。
いや、これからだよな。この作品の名、絶対に全世界に広めてやる。
あ、その前にあの女子に謝ったほうがいいか……?
そんな俺の思考をさえぎるように、チャイムが鳴った。