コメディ・ライト小説(新)
- Re: four seasons~想いを、紡ぐ~ ( No.4 )
- 日時: 2023/06/27 19:52
- 名前: 鏡花 (ID: XVhgbfch)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第三話 束縛系カノジョ
相当な時間がかかって、やっと名簿を見ることができた私は、教室に向かって猛ダッシュした。
自分の席を探して、死人のように机に突っ伏す。
……。
もう嫌だ……。
あの男子生徒には二度と会いたくない。悪かったのは私だけど、怖いよ、怖すぎるよ!
しかも、あの男子生徒を転ばせたことで、周りの人びとから氷のような視線を浴びるハメになったし。
「えぇ、ホームルームを___おい春原、起きろ!」
「す、すみませんっ」
クスクス、と笑いがおこる。先生にも怒られてしまった。寝てないのに。
「渡辺、おまえもか!」
「寝てないっすよ……」
「顔を上げて話を聞け!ったく……」
私と同じような人もいたみたいだ。
みんなの自己紹介が始まる。私はそっと窓に視線をうつした。雲ひとつない青い空を、鳥のシルエットが旋回している。
いいなぁ、鳥は。
お金がかからず遠くにいけるもんねぇ……。
「はい次、春原……おい、春原!!」
「あ、は、はいぃ!?」
鳥は、先生に怒られることだってないよねぇ。
▼▽▼
「ただいまぁ、ねえ聞いてよお兄ちゃ……」
靴をぬぎすてて、廊下を歩き出す。家の中はしんと静まり返っている。
あぁ、そういえば、始業式で早く帰ってきたんだった。お兄ちゃんはまだ高校だ。
手を洗って、ソファINする。ぼふっ、と音がなって、私の疲れ切った体を包み込んでくれる。ふと、となりにあった電話が目に入った。点滅している。
「だれからだろ……って、何これっ!」
知らない番号がうつっている。いや、驚くべきところはそこじゃなくて。
「ち、着信89件?」
私が学校に行っていた、たった2、3時間の間に……。
え、なにこの人。お兄ちゃんのカノジョかな。束縛系カノジョさん?
戸惑っていると、プルルルル、と電話が鳴った。
束縛系カノジョさん(推定)の番号だ。仕方がない。私は受話器を手に取った。