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コメディ・ライト小説(新)
- Re: JYデビューしました ( No.2 )
- 日時: 2023/07/16 16:49
- 名前: 空 (ID: XVhgbfch)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
第一話 #ユーレイ
私は、幽霊というものになったようで。
「あの、これ落としましたよ」
声をかけても反応なし。
「もしもしー……って、わっ!」
肩を叩こうとすると、手がすり抜けた。変な感覚。地面に足をつけなくても、ぷかぷか浮くため、ラクな移動ができた。
「この時間の東京か」
太陽がじりじり照りつけ、たくさん並ぶ店から肉の香りがただよってくる。ふだん賑わう東京だけど、あまり人はいない。
何だろう。
学校をサボってぶらぶら歩き回っている気持ちになる。
ナゾの罪悪感にかられながら歩いていると。
かたい何かにぶち当たった。
「……痛た……」
自分の言葉に、ハッとした。
すり抜けない?
「わーっ、マジでごめん!」
「あ、いえ、こちらこそすみませ……」
謝ろうとしたところで、声がつまった。
ものすごく華やかな少女が、そこにいた。
金髪のツインテールに、派手なネイル。顔立ちが整っている。
まじまじと見つめていると、女の子が可愛らしく首を傾げた。
「あれ?どうして、そんなに地味な顔になっちゃったの」
……はっ?
耳を疑う。
た、確かに私は、自他ともに認める地味子だ。メガネに、校則を守ってきっちり着た制服。ところどころに、そばかす。
だからって面と向かって言うか?
かたまった私に、女の子は微笑んでみせた。
「ちょっと、ついて来て?」
少し後さずる。急に何だろう。
「ついてこないと〜、そばかすを2倍にする呪いをかけちゃうっ!」
「なっ……!」
可愛い顔で怖いことを言う。
一体この子、何者だろう。
私とぶつかっても体がすり抜けなかったから、普通の人間ではないことは確か。幽霊なのかな。
……気になる……。
意を決して、女の子の3歩後ろを歩き出した。
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