コメディ・ライト小説(新)
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.5 )
- 日時: 2024/03/18 05:19
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
昨日は疲れたからだろうか。春川は、まだ寝ている。寝相が悪く、布団から出ていたので、布団を掛け直す。頭を優しく撫でて、俺は部屋から出る。今日は久々に公園の桜が見たくなったから。春川と出会った思い出の場所の桜。支度をして、俺は公園に向かう。誰も座っていなかったので、ベンチに座る。小学校低学年ぐらいの子供達が遊んでいる。サッカーをしたり、鬼ごっこをしたり、ドッジボールをしたり、楽しそうでいいなとか、そんなことを思って見ている。後ろから肩に手を置かれる。
「ねぇ、花崎……私のこと置いていって、こんなところで何してるの?私がいなくて、楽しい?……私のこと嫌いになったんだね……」
耳元で囁かれて、後ろを見ると春川がいた。春川がヤンデレ化してしまった。
「久々に、この公園に来たくて来たんだよ」
すぐに納得してくれた。ヤンデレ化しても、すぐに直ることが判明した。春川が俺の隣に座る。
「この公園って結構、人多いよね。私たちがなんかしてもバレなそう」
小学生が蹴ったボールが春川の頭の辺りに飛んでくる。俺が手でボールを打ち落とす。思ったよりボールが痛かった。
「あ、ありがとう」
春川が頬を赤くして照れながら、お礼を言ってくる。ボールを蹴った小学生が近づいてくる。
「ごめんなさい。お二人がイチャイチャしている所に、水を差すようなことをしてしまって……」
こいつ、本当に小学生か?
「でも、お兄さん。彼女、守れて良かったでしょ?」
小さな声で笑いながら俺に言ってくる。この小学生、人の心の中まで読んでくる。もう一人、小学生が近づいてきた。
「ねぇ、二人はいつから付き合ってんの?どこまでした?」
おい!さっきの小学生とは、違った理由でヤバい奴来たんだが。
「ちょっと、その質問には答えられないね……」
俺はとりあえず、そう答える。
「へぇ~。つまんないの」
つまんないとか言わないでくれよ。聞いてきたの、お前だろ!
「ごめんね。私たちは、付き合っているってことしか言えないかな」
やっと小学生は納得してくれた。小学生達が帰っていく。
「あ!晴斗、こんなとこで何やってんの?」
よりによって、一番見つかりたくない人に見つかる。それは俺の姉の花崎美晴だ。
「誰……お前?」
また春川がヤンデレ化した。
「この子、彼女?」
美晴に聞かれる?
「ねぇ、あんた何者?花崎は私のもの!」
春川が、いつもより低い声で言う。春川の目の光が消えている。
「ずいぶんと嫉妬深い子だね」
美晴が微笑んで言う。
「黙れよ。あんたは、花崎の何なの?」
春川のヤンデレ化が悪化していく。公園なので、周りに人がいる。
「ねぇ見て!」
「あ、修羅場かな?」
周りの人から、色々と言われているからやめてくれ。
「春川、落ち着いて。こいつ、俺の姉だから」
理解してない顔で春川が見てくる。
「どういうこと?」
理解できてないのか。
「だから!こいつは俺の姉で、春川は人の姉に嫉妬していたってこと」
あ、どうしよう?と言いたそうな顔で春川が見てくる。
「私、何やってんだろ……」
絶望的な表情をしている。
「まぁ、元気出しなよ。春川ちゃん!」
そう言って、美晴が春川に近寄る。美晴が春川の耳元で何かを呟き、春川の顔が赤くなる。
「じゃあね!私、帰るから。お二人は楽しんで!」
美晴が帰っていく。じゃあ、俺たちも帰るかな。そして、俺らは家に帰った。今日も夢を見ずに眠った。