コメディ・ライト小説(新)
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.6 )
- 日時: 2024/03/18 05:21
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
着信音で飛び起きた。美晴からだった。
「おはよう、晴斗!」
朝から何だよ。心の中ではキレている。
「昨日の子とはどういう関係なの?教えて!」
面倒くさいやつ、ここにもいた。
「彼女だよ!」
耳元で春川が言う。いつの間にか、春川が起きていた。
「あ、春川ちゃんだ。ねぇ!婚約届け書いてあげようか?」
是非とも書いてほしい。だけど春川は……。
「書いてほしいんだけどね……」
春川が事情を全て説明する。
「そ、そうなんだね。春川ちゃん……」
美晴が涙を流しているのが電話越しでも分かる。美晴が泣くのは珍しい。
「泣かないで、美晴さん!私は花崎と居るだけで幸せだから!」
春川が必死に言う。
「ごめんね。私は何もできなくて……私に出来ることがあったら何でもするよ」
そう言われて、すぐに春川は答える。
「デートスポット教えて!」
それでいいのか?でも何でもするって言っていたから、間違いではないのか。
「動物園とかどうかな?」
美晴に言われて、春川が少し考える。
「行きたいよね!」
春川がキラキラした目で俺を見る。春川って動物好きなのかも。
「行こうか」
動物園に行く事になり、春川が喜んでいる。
「お金は私が出すから、行ってらっしゃい!」
美晴がそう言って、電話を切る。俺らは動物園に向かう。最初に見たのはパンダだ。
「あ~、パンダ可愛い~」
春川がパンダに見惚れている。その姿に俺は見惚れていた。
「次はライオン、見に行こう!」
さっきまでパンダに見惚れていたのに、もう次の動物を見に行くなんて、意外と目移りする人なのかもしれない。
「ライオン、カッコよくて可愛いよね。ずっと見ていたい」
俺に共感を求めて聞いてくる。ここは、ちょっとふざけて答えようか。
「ライオンよりもカッコよくて可愛い、俺がいるだろ☆」
周りの人から冷たい目で見られる。
「は?何、言ってんの?」
春川にも冷たい目で見られる。
「ごめんね」
俺は即座に謝る。
「さっきの冗談だよ。本当は、キュンってした!」
キュンってしたという表現が気になったが、俺は人生で初めて女子をキュンキュンさせたことが嬉しかった。
「次は、ペンギン見に行こうよ」
俺が言うと、春川は元気な声で賛成と言った。
「ペンギン、可愛い」
実は俺、ペンギンが好きなのである。ペンギンをずっと見ていると、横から殺意を感じるぐらい強い視線を感じる。
「私、可愛い?」
まるで、口裂け女の私、綺麗?という台詞のように怖かった。
「春川も可愛いよ」
とりあえず、このように言えば良いと思ったらダメだった。
「私とペンギン、どっちが可愛い?」
俺は少し悩んでから、春川と答える。
「すぐに、春川(私)って言わなかったの、なんでかな?もしかして、私のこと嫌いなの?」
あぁ。またヤンデレ化させてしまった。俺はとりあえず、春川を置いていって、その場から逃げる。美晴に電話をかける。
「ねぇ、助けて……」
春川がヤンデレ化したことを説明する。
「可愛いって、言い続ければ直るよ!」
そう言われて、電話を切られる。春川のもとに戻ると、いない!?
「私、春川さん、今、あなたの後ろにいるの」
後ろから、そう言われる。今度は、メリーさんのような台詞を言ってきた。
「大丈夫だよ。私、怒ってないから。私も可愛いよね?」
可愛いと言い続けてあげた。
「好き!」
春川に大きな声で言われ、恥ずかしかったが嬉しかった。その後も色々な動物を見て周り、家に帰った。明日も楽しい日だと良いなと思いながら、眠りについた。