コメディ・ライト小説(新)
- Re: 桜はすぐに散るから ( No.7 )
- 日時: 2024/03/18 05:26
- 名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
「カフェ行こうよ!」
春川に体を揺さぶられて起こされる。
「なんでカフェ行きたいの?」
急にカフェ行きたいとか言ってきた理由が知りたかった。
「デートといえばカフェだと思うからカフェ行きたいって思ったんだよね」
それが理由なのか。でもカフェに行きたいという気持ちはわかる。
「じゃあ、行こう!」
まだ俺は返事をしていない。それなのに、俺が行きたいという気持ちを見透かしたのだろうか。
「ちょっと待て!今、何時か知ってる?」
俺は春川に問う。
「知らない」
なんと今は3時なのだ。それなのに、こいつは起こしてきてカフェに行こうと言ってきた。
「時計見て!3時だから……こんな時間にカフェやってないよね」
春川が時計を見て驚いている。
「え?本当だ。起きていていい?」
こんな時間だということに気づいてくれたことはいい。しかし、春川は起きていようとしている。
「寝てくれ!」
俺は寝不足だと吐き気に襲われやすい。
「え~。寝ない」
結局、春川は寝てくれた。俺が寝れていない……いや、寝れない。春川が俺の腕を枕にして寝ている。その顔が可愛くて、何か良い匂いがして、寝れないのだ。
「おはよう!」
春川の声が頭に響く。朝7時か……。寝不足で吐き気がする。
「早く出掛けようよ!」
朝からなんでこんなに元気なんだろうか。俺は身支度を整え外に出る。太陽が眩しい。
「ここのカフェ来てみたかったんだよね」
早速、店内に入る。俺たちは一番奥のテーブル席に座り注文する。カフェラテ2つとケーキを2つ。注文をしたらすぐに来た。
「うわ、美味しそう!」
春川が目を輝かせている。確かに美味しそうだ。カフェラテのほろ苦さとケーキの甘さのバランスが良い。俺たちはカフェで1時間ぐらい過ごす。
「よし家に帰るか!」
そう言いながら席から立ち上がる。会計は勿論、春川が払う。外に出て、周りの景色を見る。この場所は、ビルが建ち並ぶ都市の中にそっとあるんだな。改めてこのカフェの周りを見て思った。
「そういえば私たち、恋人なのに恋人繋ぎしてないよね……」
確かに、と共感する。春川が俺と生きる時間は、もう4分の3終わってしまっているけど。そう考えると切なくなる。俺は春川の手を握りしめる。生きてる温もりがする。
「温かい……」
春川が呟く。春川と俺は、同じことを考えていると思いながら家に帰った。春川は、疲れたのか、すぐに寝てしまった。俺もすぐに寝ないとな……そう考えながら、春川の寝顔を見る。明日も春川が楽しく生きられますように……と願いながら寝る。
__また幼い頃の夢を見た。
知らない少女が今日も話しかけてくる。
「今日も桜、見に来たの?」
少女の目を見て俺は頷いた。
「桜、好きなんだね」
少女に言われる。俺はまた頷く。
「好きなものを好きって言えるのは良いことだよ」
この少女の言葉が今も俺の心には残っている。