コメディ・ライト小説(新)

Re: ショートストーリー集 ( No.7 )
日時: 2024/05/08 20:17
名前: 日影@hikage (ID: X4YiGJ8J)

昔々、あるところにお金が好きな王様がいました。

その王様はお金が好きなあまり、毎月一回国民から所持金の一割を取ることになりました。それを破ったり、一円でも嘘をついてしまうと法で罰せられて、さらに多くのお金や、食べ物が少ない牢屋に連れていかれてしまいます。

このお金好きの王様になって今年で二十年目です。国民たちはいらだってきました。

そこで国民はどうにかして王様を辞めさせないとと思い、一生懸命に考えました。ある国民は「服を新しくして返すので一週間預かります」と言って、服を奪おうとしました。また、ある国民は奇襲をかけようとしました。しかし、どれも失敗に及びました。王様は怪しいと思い、警備を厚くしました。それも大好きなお金を使ってです。とうとう国民は諦めました。しかしそこに小さな男の子が現れます。その男の子が「みんなのお金を全てここに持ってきて」と言いました。最後の希望だと思い、「後で返してくれよ」と念を押してすべての国民は全財産を男の子に授けました。後は失敗にならないよう願う事だけが国民にできることでした。

すると、翌日。男の子が王様になっていました。何をしたのか聞いてみると、「このお金を差し上げます。その代わり、私を王様にしてください」と言ったと言いました。お金が誰よりも大好きな王様は欲望のあまり許したそうです。
「しかしこれではこちらはお金がないではないか。どうして暮らしていいものか」
と一人の男がつぶやきました。すると男の子は
「見ておいたらいい」
とだけ言いました。

男の子は元王様の家に行きました。王様ではなくなったので小さな家に住んで居ました。男の子は元王様に
「あなたの持っているお金を全て私に返しなさい」
と言いました。しかし、元王様は、
「なぜ私がそんなことをしなければならない。私は王様なのだぞ」
と威張りました。
「さもなければ、法によって罰します。これは国の命令です」
と男の子は言いました。

欲望に満ちている元王様はもう財産は残っていません。住むところもなければ食べるものもありません。元王様は国民に助けを呼びました。しかし誰も何も言いません。自分がしたことを重く受けた元王様はこれからは優しい人になりました。誰よりも優しい、とても心が清い人に。今では王様は大人になった男の子の一番の兵として国の平和を守ってるそうですよ。