コメディ・ライト小説(新)

Re: 絆されて、遠のいて ( No.2 )
日時: 2024/06/08 00:06
名前: 眩 (ID: i.Ip0eaI)

○第1章 幼少期の私は

幼少期は他の同年代の子供と比べたら厳しく育てられたと思う。だから、その子達の母親からは「この歳でしっかりしている」という印象を持たれ、実際に褒められることなどもあった。愛想もよく小さい時から母親の顔色を伺うことを自然に行っていたし、それが当たり前だと思っていたからなんの疑問も持たず、母親に「今は怒られなさそう」と感じたら、買って欲しいもののおねだりや食べたいものを要求していた。

厳しい教育、と言ってもすべてに対して難をつけられたり全否定、全拒否といった教育ではなく、しっかりできたら褒めてもらえる、たまには欲しいものや食べたいものの要求も受け入れられて、手に入れることができる喜びもこの歳で知っていた。「今は怒られるかもしれない」───そう感じた時はなるべく静かにいよう、いい子にいようとしていた。
「大きくなったらどんな人になりたい?」そんな質問に対して他の子が、女の子なら一度は憧れる戦隊ヒロインのアニメキャラクターを叫んだり、男の子なら一度は没頭する特撮ヒーローの名前を叫んだり、モデルやパティシエ、サッカー選手、野球選手と答える中で1人「しっかりした人になりたい」と、子供ながらに答えてしまうようなそんな幼少時代を過ごした。

無難で、特に面白みのない。
なにか印象に残るような成果も残さないけど、非があるわけでもないから気にかけてもらえない。
特に誰かとぶつかり合わず、欲しいぬいぐるみがあっても他の子が欲しいと言ってきたら、嫌がる素振りも見せずに受け渡してしまう。
意見を求められても確固たる意思がないから、反対や異なる意見を持つ人ともぶつかることがない。
人にも、物にも執着がなく固執しない。
───だから自分も、自分の周りの人も何もかも大切にできない、そんな人間になってしまったのかもしれない。