コメディ・ライト小説(新)

第1話 私はりんご! ( No.1 )
日時: 2025/01/15 16:58
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14085

ここは、りんごの部屋。主人公であるりんごは、学校に行く準備をしていた。

私はりんご!花咲小学校に通う、ふつうの小学生!好きな食べ物はりんご!嫌いな食べ物はえーっと・・・。

「りんご~、早くしないと遅れる~」
母の声が聞こえる。
りんごの部屋は2階にあり、母の部屋は1階にある。
「わかってるよ!」
制服のボタンを留めながら、そう答える。
(いま準備しているところなのに!)
「もう、あんたがいつもマイペースだから!」
母が呆れて言う。こっちだって大変なのに。
「だってしょうがないじゃん!お母さんの子供なんだもん!」
「わ、私はマイペースじゃありませんっ!とにかく着替えなさい!」
母は焦って言う。いま、着替えてるっつーの!

こんな感じで、朝はいつもドタバタ。
いつも母は私がマイペースに寝すぎているせいだって言うけれど、そっちだってそうじゃん。まったく、親だからって偉そうにしないでほしいよね。

やっと制服に着替え終わったりんごは、急いで階段を下りる。ダイニングテーブルの上には、母が作ってくれた朝食があった。私は自分の席に座る。

「まったく、マイペースなところは誰に似たんだか・・・」
そう言いながら、母も席に座る。
(だからお母さんにだって・・・)
「さ、とにかくいただきましょう!」
「いただきます!」
「いただきます」
こうして、やっと朝食に入る。残り時間はあと5分。いつもギリギリで遅刻することがほとんどだから、急がないと!しかし、目の前にある朝食は、りんごが大好きなりんごだらけ。りんごだけは、味わって食べなければいけないと、ずっと思っていたので、りんごにとっていつも通りに食べた。

「・・・・・・もう、なんでそんなにゆっくりできるのよ!」
母は、ゆっくりしているりんごを見て思わず口に出す。
「だって、りんごだよ!りんごはゆっくり食べるって決めてるもん!」
りんごは食べながら話す。
「はあ・・・」
母は重くため息をつく。
(ほんと、誰に似たのかしら・・・)
(だからお母さんだって・・・)
こうして、朝食は終わり、この時点で15分オーバー。
りんごは急いで、玄関の方へ行く。母も玄関へ見送りに行く。
靴を履こうとしたところで、あることを思い出す。
「あれ?」
「どうしたの?」
「りんごのキーホルダーがなくて・・・」
いつもカバンに付けているはずなのに・・・。
「知らないわよ、昨日ちゃんと確認しなかったのがいけないんでしょ!」
なんて理不尽な親だ。こんなに可愛い子供を気に留めないなんて!
「そんなことないもん!ちゃんと確認したよ!」
「ポケットの中は?」
りんごはスカートのポケットの中を確認する。すると、左側に何かがあった。それを取り出してみると、りんごのキーホルダーだった。探していたやつだ。
「あった!でも、どうしてこんなところに・・・?」
りんごは突然のことに疑問に思う。
「覚えてないの?昨日、友達に見せた後、そのままポケットに入れてたじゃない」
「そう・・・だっけ・・・?」
「はあ、マイペースで忘れん坊で・・・」
「・・・・・・」
りんごは言い返せなくなる。
「さ、早くいかないと遅刻しちゃうよ!」
「もう遅刻してるのに急ぐ必要ある?」
「早くしないと1時間目にも間に合わないでしょ!ほら、キーホルダー付けて!」
りんごはキーホルダーをカバンに付ける。
「はい、いってらっしゃい!」
「いってきます!」
「急ぐのよー!」
りんごは途中まで走り、家が見えなくなった瞬間、歩き出した。母はいつも、考えすぎなんだ。そんなことを考えながらいると、いつの間にか校門に着いていた。りんごは、いつも通りマイペースで、あくびをしながら玄関へと入っていった。玄関の靴箱は、当たり前のようにみんな、外靴のみが置いてあった。今日、遅刻したのはりんごだけらしい。ああ、やだな。担任の先生は谷口先生という名前で、いつもは優しいけど、怒るとめちゃくちゃ怖い。特に、なぜかりんごだけには厳しくて、ちょっと遅刻しただけでも怒られる。ああ、30分しか遅れてないのに、また怒られるのかあ。私は教室に行くことが憂鬱だった。このまま帰ろうかとも思ったが、帰ったら帰ったで母に怒られるので、結局、帰れなかった。

そして、ついに嫌々、教室の前へ来る。そっと、バレないように扉を開け、後ろの席の方へと向かっていく。りんごの席は大体後ろの方なのだ。
「バレてるわよ」
先生が言う。りんごはぴたっと足を止める。
「ご、ごめんなさい・・・」
とりあえず謝っておく。
「まあいいわ」
「えっ、いいの!?」
りんごは嬉しくなった。あの鬼のような先生が叱らないんだもの。
「休み時間に職員室に来てちょうだい。きっちり話があるから」
嬉しくなったのは一瞬だけだった。先生から、そう告げられた瞬間、どっと気持ちが落ち込んだ。みんなの前で怒られないのはまだいいけど、休み時間の時まで鬼になった先生の事を思い出し、授業に集中できないのだ。

りんごは落ち込みながらも席へと歩く。
「遅いぞりんご~w」
とある一人の男子が、こっそりとりんごに言ってきた。その名は大樹。スポーツや勉強がそこそこ出来るんだけど、いつも私が遅刻するといじってくるんだよね。もう、先生に叱られるだけでこりごりだっつーの!
りんごは込み上げてくる怒りを何とか抑え、席へと座った。そして、りんごはななめ右の席の子を見た。
(かっこいいなあー・・・)
ななめめ右の席に座っている子は、秀平という男の子だ。秀平は、いつもかっこう良くて、スポーツや勉強も抜群。特に笑顔をするときの顔はもう、最高すぎる。そう、りんごは今、秀平に恋をしているのだ。とはいっても、まったく進歩はしてないけど。
「りんごさん」
りんごは先生から呼ばれたことを知らず、うっとりとしていた。いつまでも見てられる。
「りんごさん?」
なんてかっこう良いんだ。この学校で一番イケメンなのは、やはり秀平な気がする。
「りんごさん!!」
先生は、ついに3度目で怒鳴った。私は我に返り、焦り出す。
「は、はい!なんですか!?」
「なんですかじゃないわよ!ほら、教科書の15ページ読んで!」
「はい!えーっと・・・」
こうして、直ぐに1時間目は終わった。途中からだったので、授業が短かった。りんごがぼーっとしていると、大樹がこっちに歩いてきた。
「なあ、もしかして授業中、秀平のこと考えてたんじゃねーの?」
こっそりと耳元でささやいてきた。私はすぐに言い返す。
「そ、そんな訳ないし!そんな訳・・・」
「お前、秀平のことが好きなんだろ!」
私はつい、むっとなってしまう。
「別に秀平のことなんて好きじゃないし!き、嫌いだし!」
思ってもないことを言ってしまった。フフフと大樹は笑う。周りの人がこちらを見ている。
(ばかあ!大樹のばかあ!!)
そう言ってやりたいが、りんごは黙っていた。言ったところで、また何か返されるだけだろう。それで、さらにいじられても嫌だし仕方ない。その時、チャイムが鳴り出した。2時間目の始まりだ。みんな席に着く。
(あれ、教科書どこだっけ・・・?)
りんごは再び焦り出す。引き出しやロッカーを探しても、ぜんぜん見つからない。なんで、ちゃんと準備しておいたはずなのに・・・!
「フフ・・・」
大樹はこっそりと笑った。そう、大樹の引き出しには、りんごの教科書があった。さっき話していた合間に、こっそりと教科書を盗んだのだ。しかし、りんごがいくら叫んだところで、みんな「またか」と助けてくれるはずはない。
(やーいw)
大樹は、焦ったりんごを見ながら、心の中でそう思っていた。先生が、扉を開けて教室に入る。
「さあ、授業始めますよー。号令おねがいします」
「起立!」
日直がそう言う。号令がかかってしまったら仕方がない。りんごは諦めて起立する。
「れい!」
「お願いします!」
「着席!」
さて、教科書を早く見つけ出さないと!もしこれが、担任の先生にバレたらきっと、さらに叱られることになるだろう。それだけはいやだ!しかし、どんなに探しても教科書は見つからない。いや、見つかるはずがないのだ。
(なんで・・・どうして・・・)
りんごは涙目になりながら、必死に周囲を探す。この時、まさか大樹が自分の教科書を隠していたとは、思いもしなかった。大樹は今まで、暴言は言ってきたけど、物を盗んだりしたことは一度もなかったからだ。まさかとは思ったが、りんごは大樹を疑うのはやめた。もう、授業は始まってるし、もし本当に教科書を隠していなければ、また大樹からいじられることになる。そうなったら面倒くさいので、りんごはやめた。

第1話はとりあえず、これにて終了します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。