コメディ・ライト小説(新)

第12話 転校生 ( No.14 )
日時: 2025/01/24 07:42
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

※このお話からは、コラボを開始します。
※花咲徳栄高等学校とは全く関係がありません。名前が似ているだけです。

6時間目は終わり、下校の時間となった。みんな、後ろにあるロッカーから荷物を取り出し、机の上に置いた。

ちなみに、りんごのクラスは2年1組。この学校では全学年、3クラスまである。そこそこ生徒数の多い学校だ。

ついに、下校の時間になってしまった。せっかく、魔法が楽しくなってきたところだというのに。
(ああ、終わっちゃったなあ・・・)
学校に帰れるという嬉しみと、もう少し魔法を唱えたかったという悲しみが、りんごの心の中で混じった。黄昏ていた、りんごに秀平が声を掛ける。
「早くしろよw下校時間がおくれるだろw」
秀平が後ろから言う。分かってるのに。
りんごは、われに返った。そして、持っていたかばんを机の上に置き、すぐに席に座る。先生がそれを確認し、話を始めた。いつの間にか、どうやら帰りの会が始まっていたようだ。まったく気づかなかった。
(え、お前がにぶいんだろ?ちょっと屋上、一緒に行こうか?)
とまあ、ダークな話は置いといて。

「今日も一日、お疲れさまでした。魔法が上手くできなかった、大樹さんと秀平さんは、家で宿題となりますので、よろしくお願いしますね」
先生の話を聞いた瞬間、りんごは2人を向いてニヤリとする。2人は知らんぷりをしていた。
(くそっ・・・魔法はおれだけが使えればいいのにな)
秀平は、心の中で、ずっとそう叫んでいた。
魔法がおれだけ使えれば、きっと楽しいだろうな。他の人を魔法であっと驚かせてやれるのにな。そして、りんごにも魔法をかけて、いじってやるんだ。そんな毎日だったら、きっと楽しいだろう。テストの時は、魔法の力でカンニング。じゃんけんする時だって、相手の思考が魔法で読めれば、必ず勝つことができるだろう。秀平は、実は悪い事だけには頭が働く。
(そうだ!こうしちゃおう・・・w)
秀平は、先生の話も聞かず、ただ何かをたくらんでいた。それを、まだ誰も知ることはなかった。
ああ、楽しみだな。あいつの困る顔が目に浮かんでくるぜ。
さっきまで、あれほど嫌だった宿題も忘れ、秀平はそのことで頭がいっぱいだった。なので、もちろん宿題なんて、そっちのけにしてしまった。

先生が話を言い終える。やっと終わった。先生の話はいつも長いのだ。そして、最後の号令をしようとしたところで、突然、扉を開けて誰かが入って来た。容姿はめちゃくちゃ可愛く、我々と同じ中学生に見える。ただ、身長や体重は同じくらいなはずなのに、顔だけは大人っぽく見えた。「かわいい」。今、みんなから浮かんでくる言葉はそれだろう。彼女は、先生をどかすようにして、教卓の前へ行った。そして、こちらを振り向く。
「はじめまして、れもんです、よろしくお願いします」
(なぜ、この時間に・・・?)
プライドの高そうな子だ。りんごにとって、れもんは、前の時のみかんのような子で、めちゃくちゃ苦手なのだ。

「れもんさんは、今日から転校してきました。みなさんで、仲良くしましょうね」
仲良くなんて、出来る気がしない。りんごからしたら、ここにいるクラス全員が敵だ。それなのに、嫌いな人がさらに増えるなんて、たまったもんじゃない。
(ああ、魔法で彼女を追い出せたらな)
りんごは、そんなことを思っていた。

魔法を使いこなすのは難しいのは知っていたが、その一方で、魔法は使い方によっては、どんな効果も得ることができるのだ。
つまり、魔法が使えれば、やりたいことが何でもできてしまうということだ。しかし、今の自分には、そんなことができるはずがない。というか、まずやり方を知らないのだ。そんな魔法があるかも分からないし。
「えーと、では、りんごさんのとなりの席にしましょう」
げっ!まさか、自分のとなりに来るとは思わなかった。れもんは、平然として、りんごのとなりに座った。お互い、なんか顔を合わせにくかった。めちゃくちゃ嫌な雰囲気・・・。これは、絶対友達になれないやつ・・・。りんごは、そう察していた。気が合わないというか、何と言うか・・・。
「では、帰りの会を終わりにしましょう。日直さん、お願いします」

こうして、帰りの会はとりあえず終わった。そして、ついに帰ることができる。りんごは、すぐに教室を飛び出した。りんごに、友達はいない。だから、人の事を考えずに、急いで帰ることができるのだ。
(やった!やっと、帰れる!・・・うわっ!)
校門を出て、通学路に行ったところで、石につまづいて転んでしまった。
(うっ・・・)
身体を動かそうとすると、キズが出た場所がひりひりと痛む。とりあえず、運の悪い事に、しばらくは動けなそうだ。
(んっ!)
りんごは、石にいらつき、石をどこかに投げつけた。そして、その石はまっすぐと、秀平の足にぶつかった。
「いてっ!何すんだよ!」
秀平は、足を止めて、りんごの方を向いてにらむ。
「あ・・・ごめん・・・」
「まったく、次やったら、お前の秘密、さらけ出してやるからな!」
りんごは、そう言われ、顔色が変わる。あれだけはやめてほしい。あれだけは・・・。
わざとじゃないのに、しかし石(意思)を当ててしまったことは事実だ。
どうしよう、またやってしまうかもしれない。りんごは恐怖に包まれた。

実は、りんごには、とある秘密があった。それは、今の2年生が、花咲中学校に入学したころの話。当時は、桜が満開だったことを覚えている。ただ、あの時は、めちゃくちゃ恥ずかしい思いをしたのだ。
それは、たまたま、階段を上がるときのこと。下には秀平がいて、こちらを見ていた。そして、スカートの中を見られてしまったのだ。りんごは、すぐに後ろを隠そうとするが、もう遅かった。
修平が階段を駆け上がってくる。
「お前、スカートの中、そういう感じなんだなw」
最悪だった。嫌いな男子にのぞかれたのだ。すぐに殴りたくなってきたが、その気持ちを何とか抑える。
「いいか?このことは誰にも言うな?もし、先生にでも言ったら、俺もお前の秘密をチクってやるからな?」
秀平はめちゃくちゃ焦っていた。りんごは、どうしてもばれたくない秘密がいっぱいあったので、口止めを許した。実は、このほかにも、りんごにはいろいろな秘密がある。例えば、小1の時にはおもらしをしてしまったり、校則違反の下着をこっそり着てしまったり。何とか、みんなにはばれないようにやっていたのだが、秀平にだけは、簡単にばれてしまった。なので、これらの秘密は秀平とりんごだけの秘密となっている。

りんごは、すぐに秀平を呼び止めようとする。
「待って!ほんとにごめんなさい!あれだけは、みんなに言わないで!」
りんごは必死だった。涙が出始める。修平は後ろを振り返った。
「その顔、その顔wそうやってさあ、か弱くなるのが、女子の可愛いところなんだよwそうやって、簡単に必死になれるってすごいねw」
つまり、今までいじってきた理由は、りんごの反応が面白いからということだったのだ。
「お前、ほんと、すぐに反応しやすいからさwほんと、ちょろいねw」
秀平に言われ放題だ。しかし、りんごが反論できるわけがない。
反論してしまったら、またあの秘密をみんなに言ってしまうかもしれないから。
そうなってしまったら、りんごはさらに嫌われ、変なあだ名までつけられてしまうだろう。
しかし、だからと言って、親や先生にチクることはできなかった。
いつも、「チクったら、こっちもばらしてやる」と脅してくるのだ。
りんごは、その決まりをやぶることはできなかった。とにかく、秘密がばれてしまった方が、リスクが大きいと考えたのだ。
「じゃ、せいぜい頑張りなw」
そのまま、何事もなかったかのように、秀平はその場を立ち去った。
(最低・・・ほんと最低・・・)
そう言ってやりたかったが、秘密を盾にしている以上、一つでもおかしな行為をしてしまったら、それこそ秀平は、秘密をばらしてしまうだろう。ただただ、りんごは反論できず、涙を流すことしかできなかった。しばらくは、体が動かなくなっていた。いつもこうなるのだ。

例えば、昨日は「あの女にバカと言え、そうしないと帰らせねえぞ」と言われた。修平は、曲がり角で隠れて、りんごを見ていた。そして、ついに女が通りかかってきた。その子は、桜という名前で、クラスの中でもダントツで可愛い女の子だ。クラスの男子からは、いつもラブレターをもらっているらしい。そんな子に、「ばか」なんて言ったら、きっと格好の標的はりんごに向くだろう。そうとわかっていたが、秀平に脅されてしまい、りんごはいつの間にか、秀平の言いなりになっていた。
「ばか・・・」
ついに、言ってしまった。桜は、こっちを向く。その顔は、すごく怒っていた。
「あ・・・えっと・・・」
りんごは、何も言えなくなる。修平の方をチラッと向く。修平は、無責任なことに、「クスッ」と笑っていた。
「なに目、そらしてんのよ」
「ちがう!し、秀平が・・・あれ・・・?」
曲がり角に隠れていたはずの秀平がいない。だまされた。秀平は、きっと怖くなって先に帰ったのだ。「ばかと言ったら、すぐに俺が良い場所に案内してやるよ」とか言っていたくせに。
「秀平なんていないじゃん?ねえ、さっきの言葉、もう一回、言ってくれない・・・?」
桜はめちゃくちゃ怒っていた。それは、りんごにもわかるくらいだった。
りんごは、桜に何度も謝ることになったのだ。そして、下校途中の生徒にも見られてしまった。りんごの涙が零れ落ち、顔がぐしゃぐしゃになる。修平に、まただまされてしまった。じゃあ、秀平の言うことを信じなきゃいいじゃないかって?秀平の言うことを守らなかった瞬間、秀平はりんごの秘密をチクるに決まっている。そしたら、りんごは恥ずかしくてたまらなくなるだろう。なので、秀平の言いなりになるしかなかった。そうしないと、この学校生活は続けられない、そして、いつしか秀平からは逃げられないと思っていたのだ。りんごは、秀平に洗脳される毎日が続いた。嫌なことばっかりをさせられたが、「秘密を言ってやる!」と言われると、従うしかなかった。
修平は、自分が上の立場になっているように感じているのか、すごく楽しそうだった。とりあえず、これまで秘密は暴かれていないが、今まで恥ずかしいことをさせられた経験は、数多くある。
これも、りんごが弱いのが悪い。それはわかっている。でも、もうりんごは、秀平から逃れることはできなかった。

今回は、長文とさせていただきました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。再び、ご感想やご意見があったら、コメントにて投稿してもらえればと思います。今回は、りんごと秀平の関係でしたね。そして、新しく来た転校生、れもんというキャラも気になるところです。次回は、主に先生についてご紹介いたします。そして段々と、れもんなど他の生徒もご紹介していきたいと思っておりますのでどうぞ、よろしくお願いいたします。