コメディ・ライト小説(新)

第13話 先生 ( No.15 )
日時: 2025/01/25 08:32
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14085

今まで「フルーツ・ランク」をお読みいただき、ありがとうございます。今回は、第13話となります。「フルーツ・ランク」は、学校生活が主となっており、先生や生徒のキャラが個性豊かなお話です。これからも、そういった生徒(先生)を紹介していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。そして、これからも応援をお願いいたします。

今回は、番外編ではないですけど、先生の紹介をしていきたいと思います。復讐がてらに見てください。

谷口先生
2-1の担任の先生。特に、りんごや転校生には厳しく、器が小さい。ただし、それでも生徒を思いやってくれる優しい先生だ。ちなみに、担任の先生は、亀森先生のことが好きらしい。先生同士の初恋、なんだか面白いネタになりそうです・・・。

亀森先生
全学年の音楽を指導している先生。昔は、有名な音楽大学に所属しており、本人は「音楽は楽しむべきだ」と語っている。また、顔もめちゃくちゃイケメンで、女子生徒は亀森先生に、いつも大はしゃぎ。その光景には、さすがの男子も引いているらしい・・・。

とある午後の2-1で、亀森先生はピアノの練習をしていた。実は、ピアノがあるのは、ゆいいつ2-1だけなのだ。
もう外は夕方で、そろそろ生徒の下校時刻だが、先生はそう早くは帰れないのが現状なのだ。

ああ、この働き方をせめて、改革してほしい。そうすれば、残業も少なくなるというのに。
ちなみに、なぜピアノの練習をしているかといえば、明日は大きな行事である演奏会があるからだ。
演奏会とは、この学校の一大行事であり、先生がともに演奏を披露する会だ。

ただ、これは体育館でやり、全校生徒に見られるため、1回でも失敗してしまえば、大恥をかくことになるという行事。さらに、亀森先生が間違えてしまえば、恐ろしいことになるだろう。

実は、今日の朝、会議で演奏会の話があって、亀森先生は音楽家だからという理由で、無理やり主旋律に入れられた。

その時は自分もまだ、軽い気持ちでいたが時間が経つにつれ、自分は間違えちゃいけないんだという気になった。

そして、その主旋律が崩れてしまっては、せっかくの演奏会も台無しになるだろう。それだけは嫌なので、必死で練習をしていた。

(よし、もう1回やろう)
練習をすればするほど、うまくなると思い、亀森先生は同じパートをもう一度弾いてみることにした。ここだけ、なぜかうまくいかないのだ。

その時、扉の奥からノックが聞こえてきた。こんな時間に、誰だろうか。
亀森先生はピアノを弾くのをやめ、「どうぞ」と声をかけた。
「失礼します」
そう言って、中に入ってきたのは谷口先生だった。
谷口先生は、女の先生で背が高く、眼鏡をかけている。谷口先生を知らない人から見たら、真面目な人だと思えるだろう。しかし、意外にもそんなことはない。

亀森先生は、谷口先生の方を向く。
「谷口先生!どうしたんですか?」
谷口先生は暗い表情をしていた。いつもの谷口先生じゃないと、亀森先生は悟った。
「あの、明日の演奏会についてなんですけど、実は急遽、水森先生がお休みになってしまって・・・」
水森先生とは、1-1の担任の先生で、おくびょうだけど、音楽は意外と得意な先生だ。水森先生には、2番目に大事なフルートのパートを任せていた。でも、まさかお休みになってしまうだなんて・・・。
「み、水森先生が!?」
亀森先生は、突然告げられたことにおどろいた。もう、演奏会は明日だというのに。このまま実行しようと思っていたのに。
「どうしよう!1人足りなくなってしまった!」
亀森先生は頭を掻く。
「そうですよね・・・。あの、これは職員室の皆さんから出したアイデアなのですが、亀森先生が2パートやるというのは、できませんかね・・・」
「私が!?無理ですよ!主旋律だけでも精一杯だというのに、これ以上、仕事を増やされてしまっては困ります!せめて、もっと前ならいいですが、そう事前に言われても・・・」
「ですよね・・・じゃあ、どうしましょうか・・・」
2人は、じっくりと考えた。その時、ガチャッと扉が開いた。2人は扉に注目した。
「あっ、失礼します・・・」
正体はりんごだった。一体、何の用だろう。
「こんな時間に、どうしたの?」
谷口先生が聞く。
「ごめんなさい、リコーダーを忘れてしまって・・・」
りんごは、すぐに自分の席からリコーダーを取り、急いで立ち去ろうとした。
「ちょっと待って!」
亀森先生が、りんごを呼び止めようとする。りんごは、リコーダーを両手に持ったまま、振り向く。
「あの・・・もし、よかったら、水森先生のパートをやってくれないか?」
亀森先生の顔は本気だった。
「わ、私がですか!?無理です!無理です!だって・・・生徒だし・・・それに、みんなの前でやるのは・・・恥ずかしいし・・・」
りんごは必死で逃げようとする。全校生徒がいる前で、演奏をするなんて無理に決まっている。
「そうですよ、亀森先生!事務員さんを探してみれば、いいじゃないですか!」
「いいから、彼女にやらせてくれ・・・。私の勘が、そう言っているんだ・・・」
亀森先生は黄昏ていた。
「なに、バカなこと言ってるんですか!ピアノのやりすぎで、おかしくなっちゃってるんじゃないですか!」
谷口先生も必死だった。
「私は音楽の先生だ。私に逆らうというのか?たしか、演奏会はすべて私が率いていいと言われたが?」
たしかに、おととい、そんなことを言った気がする。でも・・・。
「でも、それでもだめです!生徒にやらせるなんて・・・今までにありませんよ!」
谷口先生と亀森先生の口論は続く。
りんごは、どうしていいのか分からずにいた。
ただ、リコーダーを取りに来ただけなのに、こんなことに発展してしまうなんて。
「今までにないからこそ、面白い演奏会になると思うんだ!お願いします!」
亀森先生は、その場で土下座をする。
「そ、そんなことされても、無理なものは無理ですよ!大体、もう今からじゃ、遅いですし!」

こうして、口論は続き、10分後・・・。亀森先生が何とか勝ち、りんごは演奏会に出ることになった。りんごは、楽譜を渡された。この曲の、2パート目の部分を、最初から最後まですべて覚えなければいけないらしい。
(どうしよう・・・)
りんごは、倒れそうになりながらも、通学路を歩く。
道中、コロンがポケットから、顔を出してきた。
「よかったじゃん!演奏会なんて!人気者になれそう!」
「逆の意味でね」
「逆の意味?」
「きっと、明日は私が失敗して、先生を困らせてしまって、みんな私を見て爆笑するんだ・・・。
たしかに、そうなれば人気者にはなれるよね・・・」
「ちがう!ぼくが言いたかったのは・・・えっと・・・」
コロンは言葉が出てこない。慰めようとしているのに、こういう時に限ってうまく言い出せないのだ。
「やめてよ!そうやって、慰めようとするの!いつもいつも、コロンが上みたいでいやなんだよ!」
りんごは、泣きじゃくり、こちらを見ていた。その顔は、ぐちゃぐちゃになっていた。
(・・・・・・)
コロンは、突然のりんごの怒りに心配する。りんごは、そのままコロンをポケットから出し、逃げ出した。なぜかはわからないが、とにかくコロンの顔を見たくなかったんだろう。今まで、我慢してきたけど、別に慰められたくないし、そうやって言われるのは嫌だった。

(言っちゃった・・・)
りんごは、自分のやったことが悪いと思い、足を止めて後ろを振り返った。しかし、いつもは、ついてくるはずのコロンが、見当たらなかった。
「コロン・・・?」
呼びかけてもだめだ。りんごは、走った道を急いで戻る。
「コロン!コロン!」
どうしよう、私のせいだ。私があんなことを言ったから、コロンはいなくなっちゃったんだ。また、大切な友達を失ってしまったことに、りんごは後悔する。りんごは、涙を流しながらも、来た道を戻って、必死にコロンを探した。しかし、見当たることはなかった。時計を見ると、もう5時20分。早く戻らないと、母親に怒られてしまうというのに。頑張って探すも、コロンは見つからなかった。通学路の真ん中で、りんごはそのまま座り込む。
(はあっ・・・はあっ・・・)
すごく心が苦しい。せっかくの友達を失ってしまったこと、それを考えると気持ちが暗くなる。
「お願いだから・・・返事してよ・・・コロン・・・・」
りんごが、いくら泣いても、いくら問いかけても、コロンが現れることはなかった。自分がポケットからコロンを追い出し、その場から逃げ出してしまったからだろう。きっと、コロンは嫌われたと思っているんだ。でも、そんな遠くには行かないはず・・・なのに・・・。
「おじょうちゃん、どうしたの・・・?」
通りかかった高齢の男性が、りんごに声をかける。
「うっ・・・うっ・・・」
りんごは、泣くことしかできなかった。
急いで、手で涙をふさごうとするが、涙はポロポロとアスファルトの道にこぼれてしまう。本当のことを言っても、信じてくれることはないだろうと思い、黙り込むしかなかった。
「困ったなあ・・・あっ!ちょっと!」
りんごは、再び走り出す。なぜかはわからないが、その場にいるのが嫌だった。心配されるとか、慰められるとか、そういうのは嫌いだ。やはり、自分だけで頑張るしかないと、りんごは再び、コロンを探すのであった。きっと、まだ探していない所があるはず・・・・・・・。
りんごの服は、涙と座り込んだ時の汚れがついていたが、今はそんなこと気にならなかった。とにかく、コロンを探す方が先だと思ったのだ。
(そういえば、初めてだ・・・)
こんなことは初めてだった。友達のために、涙を流したり、必死で探したりしたことは、今まで一度もなかった。昔の自分なら、そのまますぐに、友達のことなんて忘れてしまっていたであろう。しかし、今は違う。コロンは、りんごにとって一番の、本当に大切な友達なんだ。自分がやってしまったんだ、自分で見つけ出さないと、だめ・・・なんだ・・・!りんごは、諦めずにずっと、ずっと探し続けた。しかし結局、コロンは見つからなかった。そして、母親が心配して、こちらに駆けつけてくれた。そのあとは、そのまま帰ってしまったと思う。その日は、りんごは夜も眠れなかった。ずっと、ずっとコロンのことが頭から離れられなかった。

やばいです、自分で書いた小説なのに、なんでこんなに涙が出てくるんでしょう!(知らねえよ)友達って大事ですね!皆さんも、小説カキコでも、現実でも、友達は大切にしていきましょう!私も大切にします!今回も、長文とさせていただきました。次回は、コロンが見つかるかどうか、そして演奏会について書きたいと思います!まだ、「フルーツ・ランク」は終わりませんので、安心してくださいね!それでは、また午後にお会いしましょう!ありがとうございました。