コメディ・ライト小説(新)

第16話 友達になりたい! ( No.22 )
日時: 2025/01/30 07:49
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14085

「フルーツ・ランク」は、投稿開始から15日が経ちました。「フルーツ・ランク」はこれからも、頑張って書いていきますので、よろしくお願いいたします。

しかし、時間は終わってしまった。あんなに楽しい時間は、今までになかったほどで、できればもう1回、味わいたかった。

楽しかったけど、結構疲れた。
りんごは、教室に帰ってきたころには、机の上に顔を伏せていた。
ふと、声が聞こえてくる。
「りんごってさー、意外と音楽、得意なんだね」
「そうだねー。ちょっと見直しちゃった!」
あちこちから聞こえてくる、りんごに対してのほめ言葉に、りんごは有頂天になっていた。

これだ、これこそが、信頼されるということ。今まで、そんなことを言われたことはなかったから、
めちゃくちゃうれしかった。

「りんごさん」
「ふぁい?」
先生に起こされる。りんごは、まだぼーっとしていた。
「演奏会、ありがとね」
先生はうれしそうに、教卓へと向かっていた。
りんごもそれを見て、なんだかうれしくなった。

「演奏会、お疲れさま!最高の演奏会だったね!」
コロンがポケットから出てきた。りんごは照れくさくなる。
「ありがとう、コロン」

一方で、秀平はやきもちをやいていた。自分だって、あれくらいできるのに。
「くそっ!りんごばっかり、ちやほやされやがって!」
りんごは、秀平に何か言われた気がしたが、気にしないことにした。
秀平も、いじってくることはなかった。さすがに、今日は周りの空気からしてダメだと感じたみたい。

「では、2時間目の授業を始めましょう。号令さん、お願いします」
「はい、先生、承知いたしました。起立!」
※先生とは、谷口先生のこと。
2-1の号令さんと呼ばれている大翔はるとは、優秀で真面目な男の子。先生の言うことは必ず聞き、すぐに実行する。まるで、先生の言いなり的な存在だが、大翔はそれがうれしい。先生に信頼されているということだからだ。そして、長きにわたって号令をしていたからか、いつしか号令さんと呼ばれるようになったのだ。それは、クラスメイトや他のクラスの生徒にも言われている。

号令さんの声は、透き通っていた。みんな、この声を聴くと、集中して授業が始められるのだ。まるで洗脳されたかのように。
「礼!着席!」
そのどれもの声が、すき通っていた。まるで有名なアイドルが目の前で語りかけているかのようだ。なので、大翔は亀森先生に次いで、女子生徒からは人気が高く、いつもラブレターをもらっているらしい。しかし、だからか、男子生徒からはうらまれているが、本人はまったくそれを、気にしていない。

「ああー、ひまだー。早く授業終わってくれねえかな?」
どこかから、こそこそと声が聞こえてきた。りんごの近くらしい。となりかと思って見ると、やっぱりそうだった。となりの席に座っていた、れもんがつぶやいていた。しかし、独り言に思えるが、りんごにさっきから聞こえてくる声で話してくる。なんか、めちゃくちゃ気まずい。

りんごは、我慢できなくなって聞いてみた。
「あのさ、れもんちゃん。授業に恨みとかあるの・・・?」
れもんは、りんごの方を向き、表情を変えた。
「あれ・・・?私、そんなこと言ってたっけ?」
まさか、さっきまでしゃべっていたことを、覚えていないというのか。
「えっ、だって、授業がどうとかって・・・」
「しゃべった覚えないよ?変なのw」
れもんは笑っていた。本当に何も覚えていないんだ。りんごはこの時、何か嫌な予感がした。
「ねえ、それよりさあ、この授業、つまんないよね?早く時間、進めちゃおっか!」
れもんが指パッチンを鳴らした。しかし、変化は何も起こっていないようだった。
(あれ・・・?どこか、変わった・・・?)
「それでは、これで授業を終わりにします」
さっき、授業が始まったばかりなのに、先生は何を言っているのだろうか。りんごは慌てて言う。
「先生!まだ開始から5分しか経っていませんよね!」
「りんごさん、何を言ってるんですか?もう授業は終わりですよ?」
りんごは時計を確認する。時間が50分も進んでいた。それが、一瞬のように感じたというのか・・・?いや、まさか・・・。
「おーい、りんごー!何言ってんだよ!お前、ついに時間も忘れちゃったの?」
秀平があおってくる。しかし、りんごは聞く耳を持たない。とにかく、なんで時間が進んだんだろう。慌てているりんごに、れもんが声をかける。
「これ、私の魔法の力なんだ」
魔法・・・?魔法ってあの、コロンも使っていたやつ・・・?そっか、そういうことか。コロンは、時間が止められて、れもんは時間を進められる魔法を持ってるのか。人間にも、そういう魔法があることに、りんごはおどろいた。授業が終わった後、りんごはれもんに話しかける。
「れもんちゃん!」
「なに?」
「その・・・さっきのについて、教えてほしいんだけど・・・」
「魔法の力?」
「そう・・・」
「話すと長くなるよ?」
「構わないよ」
「えっと、ここじゃ話せない。校舎の裏に来て!」
そう言い、れもんは走って教室を飛び出す。りんごも、それを見て、慌ててれもんに着いていった。
きっと、他の人には聞かれたくないようなことなんだろう。でも、どうして、りんごには教えてくれるの・・・?れもん・・・。

今回は、ここまでとさせていただきます。ついに、ヒロイン的な存在、れもんが登場してきましたね。次回は、れもんのことについて、もっと詳しく書いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。そして、他の個性豊かな生徒についても、号令さんみたいに、どんどん紹介していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、また次回、お逢いしましょう。