コメディ・ライト小説(新)

第17話 秘密のこと ( No.23 )
日時: 2025/02/02 10:26
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

りんごと、れもんは校舎の裏に来た。りんごはきょろきょろとしている。

こんな所があったなんて・・・。

校舎の裏に来たのは初めてだ。風によって樹木が揺れる。なんだか不気味な感じだ。

「それで、魔法の力ってなに!?」
りんごは、目を輝かせながら聞いてきた。

ああ、早く魔法の力を教えてほしい。魔法の力が分かれば、きっとコロンともっと、仲良くできるはず・・・。
れもんは、辺りをきょろきょろと見回した。そして、誰もいないのを確認し、口を開いた。

「魔法の力っていうのはね、魔法使いであれば、誰しもが持っているとされる、特別な力なんだ。魔法の力は、魔法を唱えるために必要な力だと思っている人が多いけど、本当はその人にしかない魔法を唱えるための力なんだよ。だから、人によって魔法の力で唱えた魔法は異なる・・・私は、時間を進められる魔法を持っていたんだ。なんでかは分からない、魔法を誰からもらったかも知らないけれど、なぜかその時は、これが魔法だってわかったんだよね。ほら、魔法の力って、想像するだけでいいから、唱えやすいんだ。それに、失敗が必ず起きないし。だからといって、あんまり唱えすぎると、へとへとになっちゃうけどね。ところで、りんごちゃんの魔法の力の魔法ってなに?」

れもんの問いかけに、りんごはびくっとなる。ここで、魔法の力はまだ出せないと言ったら、大樹や秀平のようにバカにされちゃうだろうか。もし、そうなったら折角できそうな友達がいなくなってしまう。それだけは嫌だ、けど・・・友達って嘘ついていいのかな・・・?でも、嘘つかないと、続かない場面だってあるよね?だけど、嘘はダメだって先生にずっと言われてきたし・・・。
(うーん・・・)
深く考えるりんごに、れもんが言った。
「あ!やばい!そろそろ授業始まっちゃう!行こう、りんごちゃん!」
れもんは焦っていた。もうそんな時間なんだ。
「う、うん・・・」
りんごは、れもんに着いていく。2人は急いで走り出す。

言えなかった。本当のことを、言わなきゃいけなかったのに・・・。どうしよう、れもんちゃん、怒ってるかなあ・・・。

りんごの想像
(はあっ!?なんで私は言ったのに、りんごちゃんは言わないわけー!?そうやって隠し事するとか、マジでサイテー!もう、友達やめるから!!)

ってなったら、まずいな。そうならないように、ちゃんと本音を出さなきゃ!

しかし、りんごは言えなかった。この緊張感、演奏会の時よりも大きい。

そうこう考えているうちに、教室に着いてしまった。りんごとれもんは、何とか間に合い席に座る。ちょうど、始まりのチャイムが鳴りだした。先生が教卓に立つ。
「号令さん、お願いします」
「はい、先生殿。承知いたしました。起立!」
相変わらず元気な号令さんだ。でも、号令さんがいなかったら、号令は務まらないのだから、案外、大事な役なのかもしれない。りんごは、そんなことを考えながら立ち上がった。
「礼!」
「お願いします!」
みんなよく、元気だなとりんごは思った。これから地獄の55分間授業が始まるというのに、どうしてそんなに集中していられるんだろう。
「着席!」
一斉に座りだす。
「はい!それでは、突然で悪いのですが、理科のテストをし忘れていたので、急遽、授業はテストに変更します!」
生徒たちは微妙な顔を浮かべた。
「えー、今日は実験って言ったじゃないですかあ!」
そう言ったのは、クラスの中でもトップでかわいらしい女の子、いちごだった。いちごは、いわゆるぶりっ子で、気に入らないことがあると、ずばりと言ってくる。ただ、顔立ちはめちゃくちゃ可愛いので、いちごは、男子生徒からは一番人気なのだ。そんないちごが、先生に反抗した。足を組んでいて、まるで自分が偉いって感じを出している。そして、いちごの形をした髪飾りがよく似合っていた。
「ごめんね、いちごさん。こっちも、急な変更でおどろいてるの。だから・・・」
途中で男子が割り込んできた。
「先生、実験するって先週から言ってたのに、それはないですよ!!」
「そうだそうだ!」
「大体、テストだなんて聞いてねえし!」
男子も抵抗する。
「でも・・・」
先生は困りだす。りんごもれもんも、なんて言えばいいのか分からずにいた。そのとき、コロンがひょこっと出てきた。
「うわー、荒れてるねえ」
りんごは、れもんにばれぬよう、こっそりとしゃべった。
「コロン。見てないで助けてよー!このままじゃクラスが崩壊しちゃうよー!」
「別にぼくは関係ないから。りんごちゃん、がんば!」
そう言って、他人事のように、コロンはポケットの中に入っていった。
(なに、このくま!理不尽すぎるよ!人が困っているときに、助けてくれないなんて!)
今までやさしいと思っていたコロンが、頼みを聞いてくれないことに、りんごはムカッとした。
ポケットに手を入れ、無理やりコロンを取り出そうとするが、どうやらコロンは触れないらしい。
中に入っているはずなのに、何もないように感じる。おそらく、妖精だからだろう。

いちごは、先生が困っているのを見て、ニヤリと笑った。そして、あることを言い出す。
「先生が、いちごに無理やりテストやらせるよお・・・」
いちごは、泣き出す。女子生徒は、それが演技だとわかっていた。しかし、男子生徒は、演技だとは誰も思わず、だまされやすいのだ。
「む、無理やりって!」
先生も限界が近づいているようだ。今日は特にイラついているのが、こちらからでもわかる。

「いちごちゃんを泣かせるなんてひどい!あんまりだ!」
「いちごちゃん、大丈夫?つらかったよね・・・」
男子が次々にしゃべりだした。まるで、いちごのボディーガードのように、男子はいちごを守っている。

「先生!生徒に無理やりやらせるのは、さすがにどうなんですか!」
ついに、あの号令さんまで、先生に対抗してきた。それだけ、いちごの演技は恐ろしいということだ。
「もう、好きにしなさい!」
先生はその場を立ち去る。おかげで、テストはできなくなったけど、先生がいなくなってしまった。多分、先生もその場にいるのは苦しかったんだろう。生徒にここまで口論されてしまっては、無理もない。きっと、職員室にいるんだろうと、女子生徒は悟った。
「ねえ、先生にあやまりにいかない?」
「そうだね、そうしないと、授業が進まないし」
女子がこそこそと話す。
「いやだね!俺たちは悪くないんだ!いちごちゃんをいじめた先生が悪いんだ!」
男子も反抗する。
「ねえ、でも・・・このままじゃまずいって。みんなであやまりにいこうよ。そうすれば、きっと先生も許してくれるよ」
一人の女子が、男子にお願いする。
「だめだめ!だめに決まってるじゃないか!」
「そうだよ女子ー!あきらめなw」
男子に続いて、いちごも言ってきた。まるで、自分は1ミリも悪くないって感じだ。
「もういい!あなたたちなんてしらない!私たちだけでいくから!」
そう言って、男子やいちごを教室に残して、女子は行ってしまった。
れもんが、りんごに声をかける。
「行こう?りんごちゃん!」
「う、うん・・・」
りんごは、どちらか迷ったが、行くことに決めた。このもやもやした気持ちは、直接あやまらないと消えないと思ったからだ。

さて、教室には男子といちごだけ残された。
「ちぇっ!なんだよあいつら!」
秀平が地団駄を踏む。

「そうだ!」
いちごは、いきなり手をたたいた。男子は、それに驚き注目する。
「ねえ男子、ちょっと耳、貸して」
男子はいちごに近づく。
「ごにょごにょ、ごにょごにょごにょ・・・フフフw」
いちごは、恐ろしい笑みを浮かべる。
「そりゃあ、良い考えだなw」
「実行するのが楽しみだぜ、ひひひw」
男子も、いちごに笑みを返した。その笑みは、何かをたくらむような恐ろしい笑みだった。

さて、今回は長文とさせていただきました。きりがいいので、ここで終了とさせていただきます。これから、クラスはどうなっていくのか、期待が高まるばかりです(私もまだ、この先は全然決めてません!)。次回は今日の午後もしくは明日の朝に投稿する予定ですので、よろしくお願いいたします。