コメディ・ライト小説(新)
- 第18話 とある作戦 ( No.26 )
- 日時: 2025/02/02 08:37
- 名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
閲覧回数が325回を突破!18日間、「フルーツ・ランク」を支えていただき、ありがとうございます。これからも、よろしくお願いいたします。
その時、いちごを除いた女子生徒は、職員室に向かっていた。今日は、なぜか職員室までの距離が長く感じる。中には、泣いている女子生徒もいた。
ついに、職員室に着いた。
「失礼します」
次々に中に入っていく。
みんなで、先生の前に集まる。
「せーの・・・」
そう、息を合わせようとしたのは、陽菜という女の子だった。彼女は、何でも進んで積極的にやってくれる。みんなのためなら何でもするという感じだ。
全員で息を合わせて言う。
「先生、本当にごめんなさい!」
先生は優しい顔をする。
「顔を上げなさい?」
女子生徒は、ゆっくりと顔を上げた。
「あなたたちは悪くないわ。悪いのは、いちごさんの方よ。私こそ、急にいなくなって、ごめんなさい・・・」
先生も泣き出す。先生の泣いた顔を見るのは初めてだった。あの気の強い先生でも、泣くことはあるんだなと思った。
先生は、女子生徒を優しく抱きしめる。それは、だれにも止められないものだった。
しばらく抱きしめ、ゆっくりと手を離した。
「さあ、教室に戻りましょ!授業、再開するわよ!」
「はい!」
女子生徒は声をそろえる。いつもの先生に戻り、なんだか安心した。
一方、教室では・・・。
「これでいいのか?」
秀平がいちごに聞く。修平は、前の扉の上の方に、黒板消しをはさんでいるところだった。これで、前の扉が開けば、黒板消しが頭の上に落ちてくるという仕組みだ。いちごは、手を横にして言った。
「うーん・・・ま、いいんじゃない?」
秀平は、いちごにやっと認められ、自分の席に座る。
(くっそー!俺に指示してくるとは、あいつー!)
しかし、秀平がいちごをにらんでも、いちごはまったく気にしていなかった。なんてプライドの強い奴なのだろうか。
「そういえば、あんたたち、引き出しの中身、全部出した?」
「はい!」
秀平以外の男子は口をそろえる。いちごと男子以外の机の上には、引き出しの中にあった物が置かれていた。
「じゃあ、机の上に出した物を全部、校庭に放り投げて」
「・・・・・・」
いちごの言葉に、男子は戸惑い始める。急に、そんなことを言われても、できるはずがない。
「あーあ、できないんだー。男子って、非力なんだねーw」
「どういう意味だよ!」
大樹が対抗する。いちごも、大樹の近くに歩いてきた。自分の体の前で腕組みをしている。
「だって、物を捨てられないってことは、つまり、持てないってことでしょ?じゃあ、力が弱いってことだよね?ちがう?」
いちごの言い方に、男子はむきになる。
「なんだと!いいとも、やってやるよwおらー!!」
大樹は、机の上にあった物を、どんどん校庭に放り投げた。そのスピードはすさまじいものだった。
それを見ていた他の男子も、すぐに動き出す。秀平も、周りに合わせようとしたのか、校庭に物を投げだした。
「わー、すごい!みんなでやれば、楽勝だね!」
全部の物を放り投げたころには、男子はクタクタだった。
「あー、疲れたー!」
「もう、帰りてえー!」
愚痴を吐く男子に、いちごは微笑む。
(これを見たら、あいつら、きっと悲しむぞwフフフ・・・)
そのとき、先生と女子生徒が教室に戻ってきた。扉を開けたところで、りんごの頭に黒板消しがぶつかる。
「いたっ!」
りんごは、頭を掻く。何かが当たったような気がした。床を見ると、黒板消しが落ちていた。
(こ・・・黒板消し・・・?)
「はははははw引っかかったw」
男子が、こちらを指さして大笑いしてきた。さっきまでの疲れが、一瞬で吹き飛んでいったようだった。
「あなたたち、いたずらをしてはいけません!」
先生は、すぐにその犯行が男子だとわかり、叱るが男子は、まったく気にしていなかった。
先生も、それに呆れて、無視することにした。先生は教卓の前に立って、みんなに指示を出す。
「それでは、授業を始めますので、席に着いてください」
男子生徒といちごは、にやけながらも席に着いた。女子生徒は、それを見ておかしいとは思ったが、まさか私物を捨てられているなんて、思いもせず席に座る。
「では、まずは魔法の教科書を出してください。テストのために練習しておきましょう」
魔法の教科書、それはほぼすべての魔法が載っている教科書である。魔法は全部で約60種類もあるらしい。しかも、人によって、その魔法の効果は違い、今まで個人魔法(フルーツ・チェンジ。この時だけ、浮遊物が必要)、外縁魔法(人によって違う魔法。魔法の力の魔法とも呼ばれる。その効果は様々だが、動物でも使える)、移動魔法(人または物体を移動させられる)、魔法の力(すべての魔法を使うにおいて、必要な力。使いすぎると体がヘトヘトになる)について紹介してきた。魔法の教科書には、この基本的な魔法以外にも、様々な魔法が載っている。その教科書を出そうとするが、りんごは引き出しの中に教科書がないことに気づいた。休み時間の時に、準備しておいたはずなのに。周りを見ると、他の女子も焦っていた。
「先生!教科書がありません!」
「私もです!」
みんな、次々に焦りだす。それを見て、いちごと男子はクスクスと笑う。
(これって、あの時と同じだ・・・)
りんごは、あることを思い出した。それは、昨日のことだった。りんごは、秀平に教科書を隠されたことがあった。もし、今回もそうだとしたら・・・。
試してみるしかないと、りんごはコロンにお願いする。
「コロン!時間を止めて!」
コロンは、眠たそうにして、ポケットの中から出てきた。
「えー、今お昼寝タイムなんだけど・・・」
「みんなの教科書が無くなってるの!お願い、助けて!」
コロンは時間を止めた。
「じゃ、あとは頑張ってね・・・」
再び、ポケットの中に入る。
「ありがとね、コロン!」
さあ、どうだろうか。りんごは、秀平の引き出しの中をこっそりと、手で探ってみる。しかし、中には何も入っていなかった。何度試してみても、同じだった。
(なんで・・・?なんで、どこにもないの・・・?)
まさか、校庭に捨てられているとは、思いもしないだろう。りんごは青ざめる。
(もしかして、この教室にはない・・・?)
きっと、りんごが職員室に行っているときに、男子といちごが何かしてたんだ。もう、犯人は確定していた。しかし、教科書がないと、疑ったところで言い逃れられてしまう。どうにかして、制限時間内に教科書を探し出さなければならなかった。一応、ごみ箱やトイレも探してみたけれど、見つからなかった。
(どこに隠したの・・・)
りんごは、諦めかける。このままじゃ、この授業は進められない。その場に座り込む、りんごなのであった。
今回は、少し長編にさせていただきました。次回からは、コロンやれもんも、中心にしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。そして、いちごや男子の行った行為が発覚し、
教育委員会や校長先生も登場します。りんごや他の生徒をいじめた、いちごや男子に天罰を下してほしいところです。これからも、期待が高まります。