コメディ・ライト小説(新)

第19話 一大事 ( No.29 )
日時: 2025/02/07 15:34
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

スレ主さんは、しばらく荒らしの対応に入りますので、小説は書くのに時間がかかります(1週間に1回くらいは書きますけども)。皆様には、ご迷惑をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。荒らしについては、詳しくは雑談提示版にある「闇バイト(まだ名前は不明)への対処ついて※重要な提示版」をご覧ください。

「りんごちゃん!りんごちゃん!」
教室の真ん中にうなだれていたりんごに、コロンが声をかける。りんごは、コロンの呼びかけに気づく。
「早くしないと、時間が元に戻っちゃうよ!」
りんごは、再び顔をうつむかせながら、涙を床にこぼしていた。顔は、今までにないくらいぐしゃぐしゃである。
「りんごちゃん!お願い!みんなを助けられるのは、いま君しかいないんだ!」
コロンが精一杯さけぶも、りんごが動き出すことはなかった。
「無理だよ・・・こんなに探しても、見つからなかったじゃん・・・きっと無理だよ・・・」
諦めかけるりんごに呆れて、コロンは教室の外に飛び出した。

もしかしたら、教室の外にあるのかもしれない・・・。

一瞬、そう思い、その直感を信じてみた。一応、学校全体を探しておいた方がいいだろう。

そして・・・。

残るは校庭のみとなった。校庭の方へ出ていくと、そこにはバラバラになった教科書が地面に落ちていた。これは、確実にあいつらが上から落としたんだ。そうじゃなきゃ、こんなバラバラにはならない。教科書は散乱し、ページが開いたまま、地面に伏せていて、中が土で汚れている物もあった。

これはひどい。でも、まずはこの教科書をどうにかしないと。

そう思ったコロンは、自分だけの力ではどうにもできないので、急いで教室に戻り、りんごにその旨を伝えた。

「ほんとに!?」
うなだれていたりんごが、突然顔を上げる。
「うん・・・」
そうとわかれば、教科書を取り戻せる。でも、りんごだけの力だと時間がかかるので、先生に言っておかないと。そう思ったときに、ちょうど時間が元に戻った。急いで、コロンはポケット内に入る。
「せ、先生!」
「りんごさん、授業中ですよ?椅子に戻りなさい」
りんごは、直接床に座り込んでいた。でも、今はそんなことどうでもいい。コロンに言われたことを、ちゃんと伝えないと。
「それより、教科書が見つかったんです!」
りんごは必死に話した。信じてもらえないかもしれないと思ったからだ。
「本当ですか?」
先生は、やはり疑わしい感じだった。男子やいちごは、りんごの発言にクスクスと笑う。まさか、この短期間で見つけられるわけないと思っていたのだろう。
「はい!校庭で発見しました!」
「・・・わかったわ。皆さん、またきゅうきょで申し訳ないけど、一緒に校庭に来てくれない?」
「承知しました、先生殿!」
号令さんは、はきはきとした声で言った。こうして、男子やいちごも連れてかれ、クラス全員で校庭に向かうこととなった。そして、校庭を見る限り、それはおそろしい光景だった。本当にこんなことがあるのだろうか、現実とは思えないようなひどさ。せっかくの、4月からもらえた新しい教科書は、みんなぐちゃぐちゃになってしまっている。
「と、とにかく!教科書については、後日新しい教科書を問い合わせしますので、
安心してください!あと、内緒で教科書を捨てたのは誰ですか?」
先生は、今までにないほどの怒りだった。その怒りには、男子生徒でさえ、勝てるわけがなかった。そのとき、先生の怖さを知った生徒なのだった。そして、男子は次々と名乗り出る。まさか、あの号令さんまで、やっていたとは、ちょっと意外だ。そして、残るはいちごのみ。
「さあ、いちごさんも早く来なさい」
しかし、いちごは知らんぷりをしていた。
「私は、何もやってないもん。ただ、男子たちに命令してただけだもん」
こんな状況にもかかわらず、相変わらずのいちご。なんて、わがままな奴なのだろうか。
「それは、やっていたのと同等です!かかわりがあるのなら、早く来なさい!」
先生は、ものすごく怒っていた。その怒りに、男子でさえひるんでしまっている。
「先生、だめだねえw」
いちごが、急に先生に近づいてきて、笑いを見せてきた。まるで、自分が上だと主張しているかのようだ。
「何がですか!」
先生の方も、さすがに平常心が保てなくなっていた。
「みんな、よく聞いてねw君たちがもってたノート、ぜーんぶ捨てちゃったw」
みんなの反応を面白がるようにして、本音を告白した。つかまっていた男子も、被害に遭った女子も、いちごの周りの人はみんな、いちごをにらみだした。
「みんな、怖い顔ーwそんな顔してたら、きらわれちゃうよー?」
いちごのあおりは、まだまだ続く。先生がとっさに捕まえようとしたところで、いちごはかわす。
「先生、おそいよーwじゃ、ってことで、君たちのノート、全部捨てたから。これで、机の中がすっきりしたでしょ?私に感謝しなさい!」
まるで、女王のような甲高い声に、生徒は怒りをあらわにした。
「いちごちゃん、それはあんまりだよ!」
「そうだそうだ!ノートを捨てるのはさすがにひどいよ!しかも、僕たちのまで!」
男子も、さすがにキレたようだ。いちごは、ばつが悪そうにする。
「あんたたちのために捨ててやったんでしょ!それに、なによ!男子はみんな、私の味方でしょ?なのに、そうやって裏切るんだ、ひどーいw」
その言葉が、どうやら男子に響いたようだ。わざとらしく言う、いちごの言葉に、男子はショックを受ける。クラス一の可愛い女子に嫌われるというのは、本当にショックだろう。男子に、迷いがでてきた。
「やっぱ俺、いちごちゃんについてこうかな・・・」
「だめだよ!また、ワナに引っかかったらまずいし・・・」
男子に迷いが出てきたところで、いちごはさらにわざとらしく、男子を誘う。
「ほんと、男子って最低だねwそういうことする人、だいっきらい!!」
その言葉が、授業中の校庭に響き渡る。思春期の男子にとって、女子に「大嫌い」と言われるのが、どれほど辛いかはりんごにはわからなかった。
「ごめん!いちごちゃん!やっぱ俺、いちごちゃんについてくよ!」
「俺も俺も!」
男子は、ついに決断を決め、先生から急いで逃げた。先生は、男子を捕まえようと追いかける。いちご率いる男子は、急いで校庭を走り回った。先生は必死で追いかけていた。先生は、意外と足は速かった。でも、これじゃまるで鬼ごっこみたいだ。せっかくの授業が、台無しになってしまっている。さて、先生は男子やいちごを捕まえることはできるのだろうか・・・。

今回はここまでとします。少し長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ご感想、ご意見があったら、コメントにて投稿をお願いいたします。