コメディ・ライト小説(新)

第23話 戦いは初めて! ( No.35 )
日時: 2025/02/12 17:25
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi

「おっ、やっと来たかw待ってたよ、りんごw」
りんごは、その甘ったるい声に身震いした。
「なんで・・・私の名前知ってるの・・・」
「ふふw」
ぶどうは、嫌らしいような笑みを浮かべてきた。
「君が有名だからだよ。フルーツキングであれば、誰でも知っていることさ。それより、君は前にみかん
を倒していたね」
「ち、ちがう!」
「言い訳はいらないんだよwそれより、なんでここに来たんだ?最低の魔法しか使えない魔法少女がw」
りんごは、顔を俯かせ、だまっていた。たしかに、まだ魔法は全然知らない。使えるのはほんの一部の魔法だけ。だけど、それでも・・・。
「大樹と秀平を助けに来た。それだけだよ」
ぶどうは、りんごの言葉に、一瞬固まる。その後、すぐに大笑いした。
「・・・ぷっ・・・ぐははははw大樹と秀平を助ける?いいか?いいことを教えてやる。大樹と秀平の服は、全部俺がいただいた。もっと言えば、俺たちは魔法が使える服、魔法の服を摂取することで、その人が覚えた魔法を全て習得できる。つまり、俺の体の中にはいま、大樹と秀平の魔法の力が備わっているということだ。つまり、その魔法の服をより多く食べれば食べるほど、俺たちフルーツキングは強くなれる。つまり、大樹と秀平は魔法の力を失い、俺はその魔法の力をてにいれた。お前らだけじゃ勝てるはずないってことだよwしかし、これを見てしまっては仕方ない。生かしてはおけないな!」
ぶどうの顔が一変する。
「相手はどんな魔法を仕掛けてくるかわからないから気を付けて!」
「うん・・・!」
初めて感じる、強力な魔法。その雰囲気で、どれだけ恐ろしいのかが分かってくる。
「ツブルームス!」
ぶどうがそう叫んだ瞬間、剣士のような形をしたぶどうが次々と姿を現した。身長は小さく、小人みたいだ。
「さあ、わが手下よ、行けっ!」
その手下は、りんごとコロンの方へ向かって走り出す。りんごは、怖くて逃げだそうとするが、
手下はずっとついてきた。
「ぐはは!逃げているようじゃ勝てないぞ!」
ぶどうが上から目線に主張する。
「りんごちゃん!ぶどうは体の表面が弱点なんだ!だから、そこを狙って攻撃すれば・・・!」
「分かった!」
体の表面に殴りかかるも、ゼリーのように素早く身をかわされてしまい、りんごはそのまま床に転んでしまった。そのスキをついて、手下はりんごに襲い掛かる。りんごは、顔を上に向けて目をつむる。もう、それしかできなかった。
「りんごちゃん・・・!!」
コロンが叫ぶ。その時、光のような速度で何かが走ってきた。まばゆい光だったが、それによって手下は成仏していた。りんごは、さっきまでの集団が一瞬にして消えたことに、おどろいていた。
(何が・・・起きたの・・・?)
それは、りんごにもコロンにも理解できなかった。少しして、谷口先生が走ってきた。その後ろには、生徒がいる。そして、校長先生のチームも駆けつける。
「間に合ってよかった・・・。りんごさん、勝手にいなくなっちゃだめですよ!」
りんごは、涙をこぼしながら、先生に飛びつく。
「ごめんなさい!!」
先生のおかげで、りんごは助かった。それがりんごにとって、とても嬉しかった。先生は、そんなりんごの頭を、優しく撫でていた。今日の先生は、いつもと違い、何だか優しく思えた気がした。

いきなり、クラスの全員が集結してきた。しかも、先生も含めて全員、魔法の服になっている。
「く、くそっ!どうして、ここが分かったんだ!」
ぶどうは、突然の出来事に焦る。れもんが口を開く。
「クローバーに、りんごちゃんの場所を聞いたんだ。それで、分かっちゃったよ。りんごちゃんは、いちごちゃんになりすましていたこと、そして君が日直さんだってこともね」
そう言われ、ぶどうは焦り出す。
「俺が日直さん!?そんなわけないだろ!」
「いちごちゃんが言ってたよ。日直さんもなりすまししてるって」
「あいつ!秘密やぶりやがったな!くそっ!もういい!次は勝ってやるからな!覚えてろよ、りんご!」
ぶどうは、そのまま走り去ってしまった。
「おい、服返せよー!」
「きゃああ!」
他の女子も、大樹と秀平の姿に気づいたのだろう。すぐに手で顔をおおっている。
大樹と秀平は、急いで追いかけるが、ついていけるはずがなかった。

後日、大樹と秀平は再び、魔法の服を購入することになったという。

そして、今では大樹と秀平はりんごに優しくなった気がする。
「困ってることねえか?」
「ここは、こうやって解くんだぜ!」
りんごが大樹と秀平を助けに来たからか、あれから大樹と秀平がりんごをいじってくることはなくなった。そのことに、りんごは嬉しくなっていた。

その頃、フルーツキングの集結している、大きな城、フルーツ城では・・・。
「なんで、お前はりんごでさえも倒せないんだ!それでもフルーツキングの所属か!」
大きな椅子に腰かけたフルーツ。その名はドリアン。どうやら、りんごを倒せなかったことに怒りを上げているらしい。
「ドリアン様、申し訳ございません!」
ぶどうは、土下座をして謝るも、ドリアンの怒りは大きくなっていた。
「せっかく、りんごを倒せるチャンスだったというのに!りんご一人も倒せないとは!」
「ごめんなさい!でも、大樹と秀平の服は食べましたので、強くなりました!」
「誰が大樹と秀平の服を食べろと言った!私が命令していたのは、りんごを倒す、そして服を奪うことだ。そんなことも出来ないとは、フルーツキング失格だな!」
「ごめんなさい!でも、まだフルーツキングやりたいんです!」
「お前みたいなやつは、フルーツキングにはいらん!もうどっかへ行っとれ!」
ドリアンに怒られ、ぶどうはうなだれながら、その場を立ち去った。ドリアンの怒りからして、
とてもその場にはいられなかった。フルーツ城を出た所で、ぶどうはりんごを憎む。
(これも、あのりんごが悪いんだ!俺は、今まで日直という重要な役を果たしてきたというのに・・・
あいつは遅刻はするし、忘れ物はするし・・・くそっ!次会った時は、許さねえからな!)
ぶどうは、手をぐっと握りしめながら、何処かへ歩くのであった。
谷口先生はというと、しばらくは立ち直れなかった。どうやら、日直さんがとても気に入っていたらしく、まさか、その日直さんがフルーツキングだったなんて、誰も思っていなかったからだ。騙されたという悲しみと、もっと一緒にいたかったという悲しみが一気に込み上げてくる。谷口先生は、職員室の椅子に座り、深い深いため息をついたのだった。

とりあえず、大樹と秀平がりんごをいじることはなくなり、一件落着かと思いきや、フルーツキングという、恐ろしい存在が段々と明かされてきました。次回からは、そろそろれもんさんが・・・かもです!
まだ言えませんが、次回のお楽しみということで、よろしくお願いいたします!