コメディ・ライト小説(新)
- 第24話 れもんの異変 ( No.38 )
- 日時: 2025/02/22 18:05
- 名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi
そして、掃除の時間、みんなで校庭に散らばっていた教科書を取り戻した。
もちろん、後日、教科書代は全員分、大樹と秀平がきっちりと支払ったという。
6時間目のチャイムが鳴った。先生は、まだ落ち込んでいた。
「では、6時間目の授業を始めます。その前に、日直を決めたいと思うので、誰か日直になりたい人は手を挙げてください」
しかし、みんなソワソワとしていて、なかなか手を挙げようとしてくれない。
やはり、日直とは、それだけリスクの高いものなのだろうか。
そのとき、一人の生徒が手を挙げた。りんごの隣の席にいた、れもんだ。
「私が・・・やります・・・」
自身はなさそうだが、反論してくる者もいなかったので、先生も許した。
「うん、それでは、日直はれもんさんにしましょう」
周りから、大きな拍手が送られる。
「では、れもんさん、号令をお願いします」
「は、はいっ!起立!礼!着席!」
緊張しているのが、りんごには伝わった。
れもんは、号令を早口で言い終え、急いで着席した。
「緊張したあ」
つい、言葉が漏れてしまう。りんごは、れもんの疲れに苦笑するしかなかった。
「それでは、4時間目にできなかった、魔法史の授業をはじめます。前回の授業では、物や人を動かす魔法をやりましたので今回はそれの復習と、魔法使いに変身してできる身体能力を確かめさせてもらいます。それでは、校庭に行きましょう」
みんな、嫌そうに校庭に行く。
「6時間目に運動なんかしたくねえよなw」
「ほんと、それなw」
大樹と秀平が愚痴を言うと、先生が鬼のようにして2人に向かってきた。
「大樹さん、秀平さん、いま先生はとっても機嫌悪いの。お願いだから、これ以上迷惑かけないでもられる?」
先生が怒っているのは、すぐに分かった。大樹と秀平は、先生におびえている。
「は、はいっ!」
逃げ出すようにして、大樹と秀平は校庭へと走っていった。
まずい、今日の先生は特に機嫌悪い。もし、この授業でりんごが間違えてしまったら、
先生の怒りはどうなってしまうだろうか。しかし、りんごは身体能力を使っただけで、
物や人を動かす魔法は全然練習していない。これは、宿題にされていたのに、りんごが全然やらなかったのが原因だ。校庭に向かう途中、学校から飛び出そうかとも思ったが、前みたいなことにはなりたくないのでやめておいた。
「それでは、皆さん、校庭に集まりましたね。まずは、復習からしてもらいます。目の前に教科書を準備しましたので、こちらを浮かせて、10m先にあるゴールまで運んでください。ただし、このとき白い線から出てはいけません。それでは、よーい、はじめ!」
みんな、物や人を動かす魔法を使い、簡単にクリアしていた。
そしてそのまま、大樹と秀平、りんごの番になってしまった。3人は宿題をしていない。もし、ここでできなかったら、宿題をしていなかったことがばれてしまうだろう。そうなれば、放課後に居残りになるだろう。
「りんごちゃん、がんばって!」
後ろから、れもんの声が聞こえてきた。みんなが見ている。失敗は許されない。
(動けっ・・・!!)
何とか、教科書を浮かすことには成功できた。どうやら、まだ大樹と秀平は浮かせることすらできていないらしい。しかし、まだこれで終わりではない。この浮かせた教科書を、向こうまで魔法で運ばないといけない。
(んんんっ・・・)
りんごは、力を込めるが、教科書は数cmしか動いてくれない。このままでは、教科書を向こうに運びきる頃には、日が暮れてしまう。また、先生も怒っているのが分かった。先生は、前髪を触っている。先生が前髪を触っているときは、機嫌悪いときだ。結局、頑張ってみたが、りんごは30cm教科書を動かしたところで止まってしまった。
「はははwそれしか、動かせないのかよw」
秀平がとなりから、わざとらしく声を上げる。
「教科書すら浮かせられない人には言われたくないけどね!」
「チッ・・・」
りんごの反論に、秀平は舌打ちをする。
「りんごさん、もう・・・」
先生が心配するが、りんごはあきらめたくはなかった。
「私は絶対にあきらめない!!」
「でも、りんごさん、そんなに長く魔法を消費したら・・・あなたの体がもたないわよ!」
先生の言葉なんて信じたくない。とにかく、教科書を動かしたい。
「別にいいです!私の体がもたなくても、教科書を向こうまで動かせれば、それでいいです!」
「なんで・・・そこまでして・・・」
「私は、先生に助けてもらったとき、思ったんです。私も、先生みたいな、強い魔法使いになりたいって!だから、ここで負けるわけには・・・いかないんです・・・!うっ・・・」
「りんごちゃん・・・頑張って!」
「りんごちゃんなら、できるよ!」
後ろの生徒から、応援の声が聞こえる。初めて、りんごは生徒に応援された。今まで、そんなことは
なかったのに。
「りんご、なんかお前変わったな・・・。前まではすぐにダウンしてたのに・・・。俺からも、言わせてもらうぜ。りんご、俺たちに見せてみろよ!お前の本気ってやつを!」
すると、みんなの応援があったからか、再び教科書が動き出した。先生も、思わずりんごに叫びだす。
「頑張って!りんごさん!教科書なんかに負けないで!」
応援されているのか、バカにされているのかわからなかったが、とにかくみんながりんごに注目している。あの大樹や秀平でさえも。りんごは、果たして教科書を最後まで動かすことができるのだろうか・・・。
とりあえず、キリが悪いですが、ここで終了とさせていただきます。次回は、続きということで、よろしくお願いいたします。