コメディ・ライト小説(新)

第27話 れもんの力 ( No.41 )
日時: 2025/02/26 13:21
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「うわあああああああああああああ!!」
まるで赤ん坊のようなうめき声をあげる、大樹と秀平だが、もういちごは直ぐそこだった。また、こんな外で裸になってしまっては、生徒にははずかしがられ、谷口先生にはしかられるだろう。しかし、足が動かせない大樹と秀平にとっては、これはどうしようもないことだった。
(もうだめだ・・・)
また、あの時みたいに、フルーツ・キングに服を食べられてしまう。もう二人は、目をつむるしかなかった。その時だった。何かの魔法を感じた。一瞬だったが、それは確かに魔法だった。いちごも、それに気づき、すぐさま手で魔法を防いだ。
「だれ!?だれの魔法よ!!私の計画をじゃまするのは!!」
すると、こちらに向かって一人の女の子が歩いてきた。それは、れもんだった。服装は、やはり魔法の服姿だった。大樹と秀平は、初めて見るその姿に、興奮してしまっていた。れもんの魔法の服は、黄色に輝いていて、りんごとはまた違っている。
「そっか、この魔法はあんたのだったってことね。ずいぶんときたえてるみたいじゃない」
れもんは、そっと口を開く。大樹と秀平には、どういう意味かさっぱり分からなかった。
「まあね。昔から毎日、魔法使いにあこがれて、練習してたから」
「まだ生徒は、直接こうげきするしかできないと思っていたけれど、まさか魔法でこうげきしてくるなんて。めずらしい魔法使いだねえ。魔法でこうげきできるのは、フルーツ・キングだけだと思っていたよ。あんた、フルーツ・キングだよね?」
「・・・そうだけど」
れもんは、まだ強気でいた。
「フルーツ・キングであるくせに、そっちの味方をするわけ?」
いちごは、相変わらず上から目線だ。
「別にいいでしょ。私がどっちの味方になるかは、私が決めることだし・・・」
れもんは、あせっていた。まさか、れもんがフルーツ・キングだったなんて、誰も思いもしなかった。しかし、そのことが事実だとしたら、大樹と秀平でさえ、口をぽかんとしていた。
「このことを、ドリアン様に伝えたら、どうなるかしら?」
「・・・・・・」
れもんは、その一言にばとうされたのか、何も言えなくなってしまった。
「いやだよねえ、ドリアン様に怒られるって。今からならさ、まだやり直せるよ?秀平と大樹をやっちゃおうよ?」
いちごは、相変わらず元気だ。しかし、れもんも負けてはいない。
「私は・・・私は、フルーツ・キングでありながらも、大樹と秀平を守るから!」
いちごは、その言葉にがくぜんとする。そして、深い溜息をついた。
「ま、いいよ。じゃ、3人まとめてやっつけちゃうんだから!」
いちごは、れもんに向かって「あまリーヌ!」と唱えた。れもんは、急いで逃げようとするが、そのすさまじさに当たってしまった。そのまま、足が急に動けなくなり、前へ倒れてしまった。
その姿を見たいちごが、倒れているれもんの前に来て、にやにやとしながらあおってきた。
「惜しかったねえwあまリーヌの魔法は、私にとって最強の魔法なの。逃れられると思わないでねw」
こんな笑顔、見たくもなかった。まさか、今まで魔法の練習をしてきた自分が、いちごに負けるなんて思っていなかったから、だから、逃れられると思っていた自分が恥ずかしい。
「さあ、いちごにあんな魔法を送ってきたんだから、まずはあなたからだね。いちごをいじった罪は重いよーw」
軽べつするように言われ、れもんはいらついた。しかし、ここで抵抗できるわけはないと分かっていたので、れもんはにらみつけるしかなかった。自分がこれから、どうされるのかは分かっていた。だからこそ、恥ずかしい思いや悔しい思いが心の中にあった。
「うわー、怖い顔ーwいちごをにらんだって、何も変わんないよ?」
誰のせいでこうなっているんだと言いたくなってきた。いちごの立ちながら、れもんを見下すその姿は、まるで自分の方が上だと主張しているかのようで、すごく悔しかった。
「あまリーヌにかかった者は、みんないちごのやりたい放題なんだよねwあんたの魔法の服、いただくね!」
そう言って、いちごは、れもんの服に手を差し伸べた。
「フルーツ・キングではね、相手の服に手を当てて、マルミエールって唱えるの。すると、相手の魔法の服の力は全て、フルーツ・キングの方へ行き、あんたたちの魔法の力は全て吸収される。さらに、マルミエールの副作用で、対象となった魔法の服はこの世からなくなるってこと。まあでも、いちごをあんな魔法でいじってきたんだから、取り上げた方がいいね。そんなフルーツ・キングをかいめつさせるような魔法は、いちごがもらってあげる」
れもんは、今までにないほどの怒りに満ちていた。
「ふざけないで!あんたたちなんかに魔法を渡すわけないでしょ!これは、練習してきてやっと成功した、特別な魔法なの!」
大事そうに自身の魔法の服を守るれもんに、いちごは再びにやけた。
「特別な魔法だからこそ、フルーツ・キングは欲しがるんだよ。まあ、あんたが嫌がったところで、魔法の服はいただくけどね」
れもんは魔法を唱えようとした。しかし、足が動けないせいか、まったく使えなかった。大樹と秀平も、がんばって足を動かそうと試みるも、やはりダメみたいだ。

「大樹、秀平、ごめん・・・」
大樹と秀平は、れもんの方を向く。れもんは、今にも泣きだしそうな目で、こちらを見ていた。
「なんだよ急に!」
秀平が、少し怒り気味に答えた。
「守ろうとしてたのに、こんなにすぐにつかまっちゃって・・・」
「別に悪いのはれもんじゃねえよ・・・悪いのはいちごだ!」
「そうだそうだ!」
大樹も秀平に同情する。
「ああもう、うるさいわね!静かにしないと、あんたたちから先にやるよ!」
いちごは、大樹と秀平にどなった。すると、大樹と秀平はだまりこんでしまった。
「でもさ、ほんとにかわいそうだねw助けは誰も来ないんだねwつまりさ、君たちは見捨てられたんだよw」
いちごは、れもんの耳元でささやく。
「ち、ちがう!見捨てられてなんてない!」
「あきらめの悪い生徒だね!もうあきらめな!」
そして、そのまま、いちごはれもんの魔法の服に触れた。れもんは、必死に自分の身体を守った。大樹や秀平がいる前で、恥ずかしい姿をみられるわけにはいかなかった。
「さあ、いくよ!マルミエー・・・」
その時、何かが見えた気がした。非常にまぶしい光だった。でも、なぜか見覚えがあった。いちごは、その魔法に気づき、すぐに体を防いだ。
(今までにない魔法の威力、このままだと負ける・・・!)
その光は、強力な魔法だった。それが数秒間にわたって続き、やっと光が消えたかと思うと、いちごはその場にたおれこんでいた。奥の方から、校長先生がこちらに向かって歩き出す。校長先生は、魔法の服姿で登場してきた。茶色いスーツで、何とも言えない格好良さがあった。校長先生は、たおれているいちごの前に来た。その顔は、非常に怒っているのが、いちごでさえも分かった。そして、大気や秀平、れもんにかけられていたあまリーヌの魔法は、消えていく。
「動ける・・・」
れもんは、思わず声を出してしまう。大樹と秀平も、久々の足の感覚に大喜びだ。
そして、三人は喜んだ後に、いちごの方をにらみつけた。
「な、なによ!もう、ゆるさないから!」
そう言って、いちごは逃げ出そうとする。しかし、足がすくんで動けなかった。
「なんで、動けないのよ!」
いちごはあせっていた。急に足が動かなくなってしまったのだ。
「私の魔法の力だ。反省するよう、足を動かせないようにしておいた」
校長先生が答える。
「うそ・・・でしょ・・・じゃあ、ずっといちご、このままってこと・・・?」
いちごは、絶望してしまう。いちごは、三人に泣いてあやまるが、三人が許してくれることはなかった。
それを、こっそりと見ていたぶどうがいた。その様子を見て、大変だとすぐにフルーツ城に戻り、ドリアンに、そのことを報告した。
「なんだと!?あのいちごがつかまった!?」
「はい・・・」
ぶどうは、ドリアンの怒りに言いにくそうにしていた。
「くそうっ!また、フルーツ魔法使いのしわざか!一体、どうすれば・・・」
ドリアンが悩んでいる時に、誰かが奥から現れた。
「わたくしにお任せください!」
そう言ってきたのは、シャインマスカットだった。顔はイケメンで、ぶどうの弟らしい。
「シャインマスカット!?本気で言っているのか!」
ぶどうはおどろき、声を張ってしまった。
「はい、兄上!わたくしであれば、イケメンな男性に化けることができます。そして、転校生だと名乗れば、フルーツ・キングとバレる心配もないでしょう。ドリアン様、いかがでしょうか!」
「うむ!よく分かった、では明日から頼むぞ!」
「はいっ!」
その声ははっきりとしていて元気だった。
まさか、再び新たなライバルが現れるとは、まだ花咲中学校は知らないのであった。

さて、長文となってしまいましたので、今回はここまでとさせていただきます。ついに、いちごをやっつけましたが、次回からは新たなライバルが登場しそうです!この後の、りんごたちの学校生活が気になります!それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました!残り23話を目標としておりますので、第50話までお付き合いいただければと思っております!また、ランクシリーズを作成しようと思っております!ランクシリーズとは、○○・ランクという名のシリーズのことです!第一作は、「フルーツ・ランク」でしたので、第二作は「ベジタブル・ランク」など、どんどん続きを書いていきたいと思っております!とりあえず、「フルーツ・ランク」は第50話までのつもりですので、よろしくお願いいたします!