コメディ・ライト小説(新)

第30話 亀森先生 ( No.44 )
日時: 2025/02/27 16:31
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

授業が始まっても女子は水魔に大注目。亀森先生は、どうしたらいいのか分からずにいた。いつもなら、女子は亀森先生に注目しているはずなのに、今日はいつもとは違った。これもすべて、水魔のせいだ。亀森先生は、仕方ないとそのまま話を進めた。
「それでは、今日はこちら、ランクを付けてもらいます」
そう言うと、生徒達は一気にランクの方へと目をやった。ランクは、まるでバッジのような形をしていて、大きさは3cmほどしかなかった。
「このランクは、必ず左胸に付けてください。そうしないと、効果が現れませんので。
ちなみに、ランクには5つの種類があり、魔法がうまく唱えられれば、自動的に星の数が増えます。つまり、星の数が多いほど、優秀ということです」
今までにはなかった物をもらえることに、生徒達は興奮気味だった。
前の子からランクを受け取ると、自主的にバッジが動きだし、りんごの左胸に飛び乗った。ランクが突然動き、りんごはびっくりしてしまう。
「あの、このランクって勝手に動いたりする・・・?」
れもんに、こっそりと聞いてみる。もしかしたら、れもんもそうなっているのかもしれない。
「なに言ってるの?そんな訳ないじゃんw」
「だよね・・・」
しかし、りんごの左胸にはちゃんとランクが付いている。りんごは、魔法の力が少しこわく感じてしまった。もしかしたら、このランクは他のランクとは何か違うのかもしれない。しかし、先生や他の生徒に言ったところで、ましてやれもんでさえも、信じてはくれないだろう。
「ランクには、特秀、秀、優、良、無があります。現在、みなさんは無からのスタートですが、練習していけばきっと、ランクが上がっていくはずです」
最初は全員同じなんだと、りんごは少し安心した。コロンが、ポケットから顔をこっそりと出す。
「よかったじゃん、りんごちゃん!これでりっぱな魔法使いだね!」
「りっぱって・・・私なんてまだまだだよ・・・。フルーツ・キング一人でさえ、たおせないし・・・」
「でも、りんごは最高の魔法少女になれるんだよ!」
コロンは、必死だった。りんごをなぐさめようとしているのだろうか。
「なんで、なれるってわかるの?」
「それは・・・。たよりがいのあるぼくがついてるからだよ!」
胸を張るように、コロンは応えた。りんごは、思わず笑ってしまう。
「ふふ・・・ありがと。これからも、よろしくね!」
「うん!」
二人は、まるで友達のように仲良くなっていた。いや、もう友達というより親友と言ってもいい気がする。りんごが誰かと話していることにれもんは気づき、声をかけてみた。
「りんごちゃん、誰と話してるの・・・?」
れもんは、不思議そうに聞く。りんごは、他の人にバレたらまずいと、すぐにごまかす。
「い、いや何でもないよ!」
りんごは、れもんに向けて笑ってみせるが、それはごまかしているような笑いだったことが、れもんにはすぐに分かった。また、りんごはあせっている時には、右のポケットを気にするくせがあることを、れもんは知っていた。りんごは、右のポケットをさわっていたので、何かかくしていることにれもんは気が付いた。
(絶対、何かかくしてる・・・)
れもんは、どうしても気になり、りんごに聞いてみることにした。
「あの、もしかして右のポケットに何かいるの・・・?」
「えっ!?別に・・・?何も入ってないよ・・・」
幸い、コロンは他人には見えないようになっているが、まさかここまで探られるとは思っていなかった。
そして、りんごは緊張のせいか、トイレに行きたくなってきた。
(さっきの休み時間は、れもんと話してたから行けなかったんだよなあ)
もじもじとしているりんごに気づいたれもんは、りんごにそっと声をかける。
「もしかして、トイレ行きたい?」
「うん・・・」
「いいよ、亀森先生やさしいから、きっとだいじょうぶ」
「ありがとう・・・先生、トイレに行ってきてもいいですか・・・?」
「もちろん、大丈夫だよ」
りんごは、そう言われ、なるべく急いでトイレに向かって走り出した。もう限界に近かったのだ。だが、ギリギリ間に合い、りんごは教室に戻った。そして、ドアを開けると・・・。
教室には、水魔以外、誰一人いなかった。静かになった教室が、逆に恐怖を感じる。
「え・・・」
りんごは、がくぜんとしてしまう。りんごがいない間に、一体何があったのだろうか。コロンも、顔を出してきた。
「あれ?なに、その熊?かわいいねえ」
りんごは、水魔のなれなれしさにけいかいする。
「フルーツ・キングはね、君の姿も見えるし、君の声も聞こえるよ。君、魔法で生きてるんでしょ。名前は?」
「コロンだけど・・・」
コロンも、しっかりとけいかいしていた。
「コロンかあ。いい名前だねえ」
りんごとコロンは、水魔にこわがっていた。
「あれ?もしかして、わたくしのことをうたがってらっしゃいます?」
「みんなは・・・クラスのみんなはどこに行ったの!」
りんごはあせっていた。短時間でクラスの生徒や亀森先生が消えてしまったのだ。
「はあ。みんな、ぼくが食べちゃったよwえっ?フルーツ・キングは人間は食べないって?ああ、まあそうだけど、面倒くさいし、あいつらさわいでうるさかったから、一人ひとり食べちゃったよw生かしてると、周りに気づかれそうでさw」
まるで他人事のようにしゃべり続ける水魔に、コロンとりんごは真面目な顔をしていた。
「でも、よかったよ。りんごちゃん、君と一人になれる時間を待ってたんだw君は、フルーツ・キングでは有名でね。ここで、たおさせてもらう!」
りんごは、手をぐっと握りしめる。
「それは、こっちのセリフだよ!」
コロンが反論する。
「さあ、りんごちゃん!」
「うん!」
りんごは、目をつむって急いで魔法を出し、その魔法を見つめ、「フルーツ・チェンジ!」と唱えた。すると、りんごの衣装が制服から魔法の服に変わるとともに、りんごに再び魔法の効果くすぐりが現れた。
「んっ・・・これっ・・・どうにかできないのっ・・・ひゃっ・・・」
「魔法の効果は、魔法を唱えると必ず現れるから、どうしようもないと思う・・・」
コロンは、申し訳なさそうに答える。今のりんごの姿は、まさにいとおしく思えた。
「魔法の服になったところで、このシャインマスカットには勝てないのさ!」
ちなみに、水魔はすでにシャインマスカットに変身していた。今までのフルーツ・キングとは強さがちがう気がした。
「そんなことない!フルーツ・キングって、そうやって人をいじってきて、さいていっ!」
りんごのその言葉に、水魔はいっしゅん、とまどってしまった。
「・・・な、何ですとっ!このシャインマスカットに向かって、そんな口を利くとは許せませぬ!マスカットン!」
そう唱えると突然、りんごの方に向かってあざやかな緑色の魔法が飛んできた。それも、今までよりもスピードも速い。
「りんごちゃんっ!」
コロンが、その魔法に気づいたころには、もう魔法はすぐそこまで来ていた。りんごは、今度こそダメだと、目をつむった。果たして、りんごの命はどうなってしまうのだろうか・・・。

さて、水魔はまさかのシャインマスカットだったというお話でした。次回からは、りんごとシャインマスカットの戦いになりますね!りんごとコロンの久々のチームワークにも必見です!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!「フルーツ・ランク」は、ついに全話の6割を終えてしまいましたが、これからも読者の方々の期待に応え、頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。