コメディ・ライト小説(新)

第33話 日常茶飯事 ( No.47 )
日時: 2025/03/03 07:42
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

そして、幸せな今日は終わっていき、再び普通の学校生活が始まっていた。
りんごは、コロンが現れてから、遅刻がぐっと少なくなっていった。

「おはよ!」
後ろから声をかけてきたのは、れもんだった。
りんごは急だったのでびっくりして、すぐに返信を返した。
「お、おはよう・・・」
れもんは、りんごを見るなり目を輝かせていた。一体、何の用だろうか。
「聞いたよ!りんごちゃん、人や物を動かす魔法で空を飛べたんだって!?」
「う、うん・・・2階くらいまでだけどね・・・」
周りの子に比べたら、そんなの全然・・・。
れもんは、どうしてこんなにうれしそうなんだろう。
まるで、昨日の出来事を忘れたかのように、にこにことしている。
「そういえば今日、音楽の授業でリコーダー使うからね!」
りんごは、身震いしだす。その顔は、すごく縮こまっていた。
「うん・・・うん・・・」
それに気づいたれもんが、りんごにそっと問いかけた。
「もしかして、リコーダーわすれた?」
「・・・・・・」
ここで、そんなことは言えなかった。昨日の出来事があったため、おそらく先生に言われたことをわすれてしまっていたのだろう。
れもんは、りんごの姿からして察した。
「うーん・・・そっかあ・・・」

そのまま、歯切れが悪くなり、学校に着いてしまった。
教室の扉を開け、二人は中に入る。
大樹と秀平が、くつろぐようにして座っていた。そして、こちらを見るなりしゃべってきた。
「あれ?お二人さんも早いねえ」
まだ、教室には大樹と秀平しかいなかった。
「今日はアレがあるからね」
(アレ・・・?)
りんごは、アレがなんなのか気になった。
「そっか、アレだもんな。3時間目が楽しみだぜ」
大樹と秀平は、「ククク・・・」と笑っていた。
りんごは、我慢の限界がきて、れもんに聞いてみることにした。
「あの、アレってなに・・・?」
「え!?今日は、球技大会だよ!?」
れもんは、めちゃくちゃおどろいていた。
そう言われると、そうだった気もしてきた。
「帰るね・・・」
「ちょっと待って!球技大会、楽しくないの?」
れもんが、心配するように聞いてきた。りんごは、大樹と秀平を泣くような目で見ながら、こう言ってきた。
「だって、この2人が必ず私をねらってくるんだもん・・・」
まるで、りんごをいじったかのようになってしまった。
「ちょっと、どういうことよ?」
れもんは、キレ気味になっていた。りれもんは、りんごのためなら、いつでも守ってくれる存在なのだ。
「りんごは当てやすいんだよ!それに・・・」
「それに?」
れもんが、どんどん問い詰める。秀平は、少し考え口を開いた。
「・・・それに、男子の間では、りんごを当てれば高得点だって話になってて・・・」
「はあ!?どういうことよ?」
れもんの怒りがふくれていった。
「俺たち男子は、りんごが泣く姿が大好きなんだ。りんごは、ボールを当てられたら、必ずのように泣くから、りんごを先に泣かせられるのは誰かって、必ず球技大会では競い合うことになってるんだ」
秀平は、言いにくそうにしていたが、すべてをばくろしてしまった。
「そっかあ、楽しみって、そういうことなんだ?じゃあ、もっと楽しみにさせてあげる」
「えっ・・・?」
二人は、なんだかわからず、お互いに顔を合わせた。れもんは、大樹と秀平を引っ張るようにして、体育館へ連れていった。

そして、10分が経ち、3人は教室に戻ってきた。
「きつい練習だったぜ・・・はあ、はあ・・・」
「れもん、体力やばすぎだろ・・・」
大樹と秀平の声はかすれていた。れもんは、笑顔で戻ってきた。
「二人とも、先に戻ってくる前に、ありがとうございますは?」
その顔は、少し怒っているようにも見えた。
「ありがとうございます・・・」
大樹と秀平でさえも、れもんにしたがうしかなかったのであった。

さて、これで第33話が終了いたしました。次回は、球技大会ということで、よろしくお願いいたします。魔法にとらわれすぎず、たまには学校生活を書いてみるのも、いいものですよねえ。