コメディ・ライト小説(新)

第34話 球技大会 前編 ( No.48 )
日時: 2025/03/05 08:32
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

ついに、今日の3時間目は球技大会。
ちなみに、この学校では球技大会はドッジボールとなっている。

2時間目休み、りんごはうとうととしていた。
「早くこないと、かぎしめちゃうよー」
れもんが、扉の所でりんごを呼んでいる。
今、教室にいるのはりんごとれもんだけで、他のみんなは体育館に行っていた。
「・・・・・・」
りんごは、だまったままだった。
球技大会、あの男子のいやらしい顔は忘れられない。
そんなりんごにとって最悪な日が、とうとう来てしまった。
「はあ・・・」
れもんは、重いため息をついた。
「大丈夫だよ、あいつらだって小学生じゃないし・・・」
れもんは、落ち込んでいるりんごに、どう声を掛ければいいのかわからなくなってきた。
とりあえず、りんごのかたをさわってみる。
りんごは、ゆっくりとこちらを向いた。
「久しぶりw」
その顔は、まるでいちごのようだった。
れもんは、その恐ろしい笑みにこわくなり、ふれていた手をはなした。
「まさか、いちごなの!?」
りんごに変装したいちごは、ゆっくりとうなずいた。
「なんで、あなたがここにいるの!?前に校長先生にふういんされていたはずなのに・・・」
「りんごの力を借りたんだw」
「り、りんごの力・・・?」
「うん。もっと言えばりんごの魔法の力。何とか使わせてもらったよ」
そう言われたしゅんかん、れもんは嫌な予感がした。
「じゃあ、りんごちゃんは・・・?」
「はい」
そう言って、りんごの形をしたキーホルダーを渡してきた。そのキーホルダーは、キラキラとかがやいていた。
「これって、まさか・・・」
「そう、りんごをキーホルダーにしてあげた。もうりんごに、魔法の力はないからね。でも大丈夫、これでいつでもりんごが持ち運べるってことだよ?」
してやったりと満面の笑みを浮かべるいちごに、れもんはもう限界だった。
「ふざけないで!これ以上、ひどいことするなら、魔法でまたやっつけるよ!!」
いちごは変身しなかった。何か特別な理由でもあるのだろうか。
「前みたいに、変身しないの?」
「別にいいよ。いちごをやっつけたら、りんごは元に戻せなくなるけどね?」
「どういうこと・・・?」
「つまり、りんごを元に戻せるのはいちごしかいないってこと。それよりさ、そろそろ球技大会はじまるよ?」
れもんは、いちごをにらみながらも、体育館へと行った。
いちごも、りんごに変装したまま、れもんの後を追った。

二人はろうかを走る。
(球技大会が終わったら、絶対に戻すからね!)
れもんは、キーホルダーを大事に持ちながら、走っていった。
(球技大会が終わったら、絶対にれもんもやっつけてやる!そうすれば、私は優秀なフルーツ・キングとして、ドリアン様にほめられるわ!ふふふ・・・)
いちごは、再び笑みを浮かべる。

れもんといちごは体育館に着く。
そして、ついに球技大会が始まる。
最初は、相手からのスタートだ。
秀平は、りんごに向かって笑ってみせた。
(やはり、まずはりんごちゃんを当てないとなw)
秀平が勢いよく投げる。
いちごは、なるべく重心をボールに集中させ、手でボールを抱え込むようにしてキャッチした。
みんな、りんごのキャッチにおどろいていた。
「うそ・・・だろ・・・?」
秀平は、りんごがこわくなってきた。自分が投げたボールが取られるのは、これが初めてだ。
「りんごちゃんが、ボールを取っただと!?」
「いつもなら、すぐ当たるのに!なんか、今日のりんごちゃん、すごい・・・!」
みんなの声援に、いちごはうれしくなってきた。
一方、秀平はまだ落ち込んでいた。せっかく、朝から大樹と練習していたのに、それが水の泡になってしまうなんて。
「んっ・・・!」
そう言って、いちごはボールを勢いよく投げた。適当に走り回っていた大樹に当たってしまう。
「うわっ!いてえっ!」
あの大樹が痛がるとは、相当な強さだったのだろう。その大樹の痛みに、周りの生徒はりんごをけいかいし始めた。
「秀平、任せた!」
大樹は、秀平にボールを投げ、そのまま外野へ行った。
秀平は、りんごの強さに笑いをみせた。
「おもしれえじゃねえかwだったら、これでもくらってみろ!!」
そう言って投げたボールは、時速30kmを超える素早いボールだった。しかも、強さがあるため、より威力が増していて、ボールがまったく転がっていない。
(弱い・・・w)
りんごは、まったく引き下がることなく、簡単にボールをキャッチしてみせた。
「おれの、得意技が・・・防がれるだと・・・!?」
秀平は、絶望しそうになっていた。れもんは、そんないちごをにらんでいた。
同じチームだが、なぜか許せない。
「りんごちゃんつよ!」
「秀平負けちゃうんじゃないのー?」
相手の外野たちが、秀平に向かってあおってきた。
「うるせえ!」
秀平が、外野たちに向かってさけんだ。
(いまだ、後ろを向いている今なら・・・)
いちごは、足を構え、素早くボールを投げた。全身に力を集中させ、ボールにすべてを込めた。
秀平は、何かに気づき、前を向く。すると、とてつもないスピードで、ボールがこちらに向かって飛んできた。
(しまった・・・気を抜いているすきに・・・間に合うか・・・!?止められるか・・・!?)
秀平は、重心を下に向け、両手をボールが来る位置に構えた。
(どうせ、今からかわしてもおそい・・・だったら捕まえてやる・・・!!)
秀平は、ボールを止めることができるのだろうか・・・。

第34話をお読みいただき、ありがとうございました。まさかの、いちごが再登場するお話でした。この後も、とりあえず球技大会のことを書こうと思っております。応援をよろしくお願いいたします。