コメディ・ライト小説(新)

第4話 復讐 ( No.6 )
日時: 2025/01/18 08:14
名前: 小説嫌いな医師 (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

もう許せない!
りんごは、廊下を歩いていた。周りの声がちらほらと聞こえてくる。しかし、りんごにとって、そんなのはどうでもいい。今までりんごをいじってきたやつは許さない!そんな気持ちでいっぱいだった。その時だった。スカートにある右のポケットが動いた気がしたのだ。
(えっ・・・)
まるで中に生物が入っているみたいだ。左右に激しく揺れている。りんごは、周囲に気を配り、人気ひとけがなくなったのを確認して、そっとポケットから取り出してみた。それは、羽の生えた黄色い熊だった。りんごの手のひらから、羽を使って飛んでみせる。その熊は、めちゃくちゃ小さかった。一瞬、ぬいぐるみにも見えた。一体、どうやってポケットの中に入ってきたのだろう。
「ぷはぁ」
(く、く、く、くま!?しかも、なんでしゃべってるの!?)
あぜんとしているりんごに、その熊は話しかけてきた。
「こんにちは!りんごちゃん!」
や、やっぱりしゃべってる・・・。りんごは、ちょっぴりおびえながらも話しかけた。
「なんで、熊がしゃべってるの・・・」
いきなり出てきて、しかもしゃべりだしたのだ。おどろくのも無理はない。
「あ、そっか。自己紹介がまだだったね!ぼくはコロン。顔の形がクリみたいだから、そう名付けられたんだ!話すと長くなるんだけど、実はぼく、りんごちゃんのキーホルダーから出てきたんだ!」
コロンは明るい声だった。まるで、まだ幼い男の子と話しているような気がした。
「キーホルダー・・・?」
りんごがカバンを確認すると、たしかに朝つけていたはずのキーホルダーがなくなっていた。まさか、コロンがキーホルダーから変身したというのか。
「まさか、あなたが・・・?」
「そう、ぼくはキーホルダーから生まれてきたんだ!きみを助けるためにね!」
よくわかんないけど、とにかくこれは魔法の力ってことだよね。だとしたら・・・。
「あ、ちなみに時間を止めたり動かしたりしたの、ぼくの魔法だよ!おもしろかったでしょ?」
なに!?コロンの仕業だったのか。おかげでひどい目にあった。けど、りんごは不思議と怒りがわいてこなかった。コロンの仕業ってことは、コロンは魔法が使えるということなのだ。考えてみれば、すごいことではないだろうか。
「・・・あの、そろそろチャイムが鳴っちゃうから・・・」
「あ、その点はだいじょうぶ!また時間を止めておいたから、焦る必要はないよ!それより、りんごちゃん、さっきクラス全員に復讐しようとしてたでしょ?」
ギクッ。ばれてしまった。どうしてわかったのだろう。こっそり見ていたのか?それとも、まさかこれも魔法の力!?だとしたら、すごい!
「別に・・・してないよ・・・」
りんごはとっさにうそをついた。
「うそ、ついてるでしょ?ぼくには、りんごちゃんのこと、なんでもわかっちゃうんだから!」
「・・・・・・」
りんごは何も言えなくなった。おそろしい、まるで占いみたいにすべてが暴かれているようだ。りんごは怖くなって、急いで廊下を走る。
(んっ・・・)
コロンが着いてきた。
「ちょっと待ってよ!まだ話があるんだって!」
りんごは、もう必死で走った。
「ついてこないで!みんな怖いの!もうこれ以上、私のことを付きまとわないで!!」
「無理だよ!だって、りんごちゃんを最高の魔法少女にする、それがぼくの使命なんだから」
「えっ・・・?」
りんごは急に止まりだす。そして振り返る。コロンもりんごの前で止まった。
「そうだよ、ぼくはりんごちゃんのために生まれてきたんだ!だから・・・」
コロンが話している途中、りんごが急に目の前に来た。
「ほんとに、ほんとに魔法使いになれるの!?」
りんごの目は輝いていた。今まで、ずっと夢見てきた魔法使いになれるというのだろうか。
「はあ・・・それがぼくの使命だからね」
「やったー!」
りんごは、思わず飛び跳ねてしまった。そこに、コロンが口をはさむ。
「ただし、魔法使いつまりは魔法少女になるには、すっごーく大変な練習をしないと・・・って、どこ行くの!」
「ちょっと他の教室も見てみるー!」
りんごはそう言って、コロンを後にして走り出してしまった。
「はあ、まったくもう・・・」
コロンは先が思いやられながらも、ゆっくりとりんごに向かって飛び出した。
「すごい!ここも!ここも!ここも時間が止まってる!」
「ぼくの時間を止める魔法はすべての時間が止められるんだ。それより、そろそろ教室に戻った方がいいよ。この魔法には期限があって、あと1分くらいで効果が終わっちゃうから」
しかし、時間が止まっていることに夢中なのか、りんごはまったく聞く耳をもたない。そして、いきなりコロンの前に顔を寄せてくる。
「ねえ!ほんとに時間が止まってるよ!なんでこんなことできるの?っていうか、なんでコロンは動いてるの?」
興味津々に聞いてくる。
「あの、そろそろ時間が・・・」
「すごい!すごい!すごい!すごい!」
だめだ、全然聞いてくれない。もう残りの時間はないし・・・。
「いい加減にしろやー!!」
コロンは、さすがにキレる。りんごが急いでこちらに戻ってきた。
「ごめんごめん!それで、なーに?」
「なーにじゃないよ!もう時間が元に戻っちゃうよ!早く教室に戻らないと!」
コロンが急いでいる様子を見て、りんごもあわてる。
「え、そうだったの!?じゃあ早くしないと!」
コロンは急いでポケットに入る。りんごはそのまま教室に向かって走り出す。
(なんか、さっきから走ってばっかり。つかれたー!)
りんごは急に立ち止まった。
「どうしたの?早く教室に戻らないと!」
コロンがちょこんとポケットから顔を出してきた。りんごはコロンを見る。
「だって、もう・・・疲れたんだもん・・・はあっ・・・はあっ・・・」
「疲れたって、どんだけ運動不足なのよ!ほら、急いで!そんなんじゃ最高の魔法少女になれないよ!」
そういわれた瞬間、りんごの心が燃えてきた。そうだ、こんなことであきらめていては、最高の魔法使いになんてなれるわけがない。りんごは再び走り出す。そして、なんとか時間がもとに戻る10秒前に席に座ることが出来た。
「やればできるじゃん!」
コロンがほめる。しかし、それに対応できるほどの余裕はない。
「はあっ・・・はあっ・・・」
なかなか息が整わない。こんなに走ったのは生まれて初めてだ。りんごは座ったまま、机の上に体を倒す。そして、時間が元に戻った。
「それでは、授業をはじめます・・・ってりんごさん!また寝てるんですか!早く起きなさい!」
あの厳しい先生がより一層厳しくなる。
(寝てるんじゃないのに~・・・)
りんごは走って疲れているのだ。しかし、そんなことを言ってもだれも信じてくれないだろう。だが、りんごはとても起き上がれる状態ではなかった。結局、りんごのせいで授業が10分おくれ、先生やクラスのみんなに怒られてしまった。
(なんで、いつもこうなるの~!)
りんごは涙目になる。コロンがポケットからこっそりと顔を出し、りんごにこそこそと告げる。
「だから早く教室に戻ればよかったのに」
今だけはコロンにも反論できない、りんごなのだった。

今回は、ちょっとしたおちを考えてみました。この話は、りんごが魔法少女になるきっかけを作った話なので、これからの展開につなげられればなと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回からは、さらに魔法っぽく仕上げていき、ゆくゆくは他の魔法少女(まだ未定ですが)も登場させていきたいと思っております!これからも小説を頑張って書いていきますので、よろしくお願いします!