コメディ・ライト小説(新)

転生しまして ( No.1 )
日時: 2025/05/17 08:39
名前: 毛筒代 (ID: THBfOZma)

 年齢、それは時間と共に加算されていくもの。
 年齢を加算してしまっては、もう元に戻ることは出来ない。

 けど、やはり再び中学生に戻りたい、それを何度考えたことだろうか。

 頭の中では分かっていても、どうしても中学生に戻りたいと感じる。
 理由としては色々あるけれど、こうして生活してきた退屈なニート生活が、つまらないってことと、中学生の頃に告白のチャンスを逃してしまった彼女に今度こそは告白したいというもの。

 もし彼女に告白できたなら、今の俺の人生はどう変わっていただろうか。

 と考える日々が最近多くなってきた。


「はあ……」
 青年は重いため息をつきながら、勢いよく床に横たわる。

 今の自分が辛い。
 ただ、それを考えれば考えるほどに中学生の頃を思い出してしまう。

 もう分かっている……。
 中学生の頃に戻れないってことは分かっているはずなのに……。

 こんなことを考えても仕方ないと、青年はいつものように昼寝をした。


 青年が寝ている間にお伝えしておこう。

 青年の名前はみなと
 一見は何処にでもいる、普通の青年だ。
 色々あって今はニート生活をしている。まあ、そこら辺については後でお伝えしよう。


「ふあああ」
 体を起こし両手を伸ばす。

 多分、よく寝た…………ん?

 服の方に違和感があった為、目線を下の方へと向ける。

 それは、明らかに大きめなサイズの服だった。
 寝る前まではぴったりだった服が、今ではブカブカになっている。

 服が大きくなったのか……?

 しかし、この家には湊一人。それは考えられない。

 だとしたら……まさか……!?

 嘘だろと思いながらも立ち上がり、部屋の隅に置いてあった鏡へ向かう。

 歩きにくい……ズボンを裾上げしていないから無理もないが……。


「!?」

 鏡に到着し自分を確認すると、更に驚いた。

 自分で驚くのも可笑しいけれど、本当に自分とは別人みたいだ。
 服は思った通りブカブカで、自分が小さくなったことに、やっと気づけた。

 しかも鏡に写ったこの容姿は、別人でありながらも何処か見覚えがある……。
 別人っぽいけど自分と似た感じもある、この雰囲気……これって、まさか……。


 どこだ……どこにある……!!

 中学生の頃の卒業アルバムを探していた。
 もう20年前の物だけど、まだ捨ててはいないはずだ。

 絶対、どこかにあるはず…………。


 あった……!!

 本棚の奥に隠れていた。
 卒業アルバムを手に取ると、付着していた埃をすぐに払った。

 そして中を開く。

 懐かしい……って、今はそれどころじゃないだろ!

 湊は真面目に卒業アルバムを見返す。
 
 まさか、もう一度これを見ることになるなんて思わなかったな……ん?

 ある2枚のページには、個人写真があった。
 一番右上には湊の写真が載っている。

 もしかして!?

 湊は、その写真を見てピンときた。

 卒業アルバムを、そのまま手に抱え再び鏡のところへ行く。
 鏡に写った湊の姿と卒業アルバムの写真を見比べる。

 若干、違いはあるが、ほぼ同じだ。

 これは中学生になれたと断定して間違いないだろう。
 アニメとかで、よく見る転生というやつだろうか。

 まあ、どちらにしろ中学生になれたことは事実だ。
 つまり、今までやり過ごしてしまったことを取り戻せるかもしれないということ。

 よし、久々にあれでも着てみるか。

 湊はクローゼットのところへ行き、手探りで何かを探し始めた。
 中学生に戻れたその顔は、とても嬉しそうだった。


 告白できなかった頃の思い出なんて、今から塗り替えてやる!!

 これから、湊の新しい生活が始まる……!!