コメディ・ライト小説(新)

メロン ( No.1 )
日時: 2025/05/27 17:39
名前: 小説好きな医師 (ID: lCrzzWFh)

 白い体育着を身に纏った高校1年生の女子生徒は、メロン広場に向かって歩いていた。
 空はどんよりと曇っており、今にも雨が降り出しそうだった。
 そんな中でも彼女は明るく、ひときわ大きな胸を揺らして歩いていた。

 彼女は、よくクラスの男子をいじることが多く、体は早熟で男子からは人気がある。

「大樹ー、早く行くよー」
 彼女は後ろに居た大樹という同クラスの男子に声をかける。

 大樹は急いで走り、やっと彼女に追いついた。
「はあっ……はあっ……」
 大樹は息を荒らす。

「こんなんで疲れるなんて、男としてだらしないよ!」
 彼女はそう言いながら堂々と歩く。

(せっかく走ってやったのに……)
 男、とか言われると差別されているみたいで何だか嫌だ。

「あの、ところで穂香さんは、なぜ飼育委員会に入ったんですか?」
 大樹は気になり聞いてみた。
 穂香は、大の虫嫌い。顔や容姿からして、あまりアウトドアは好きなイメージがないのだけれど。

「イケメンがいると思ったから」
 穂香は、ぼそっと答える。

「えっ……?」
 もしかして、僕のことと思いながら、大樹は少し照れ臭くなる。

「あ、因みにあんたの事じゃないから」

「ですよね……」
 また、ぼそっと言われた。特に何も言ってないのに、そう告げられると何だか悲しい。


 そう話しているうちに、飼育小屋に着いた。

 飼育委員会では、毎週月曜日にメロン広場と呼ばれる飼育小屋に集まり、メロンというポニーの世話をする。ただ、ポニーも馬齢としては15歳。人間でいえば年寄りなおばあさんである。

「にしても臭いねえ」
 穂香は飼育小屋に入った瞬間、メロンのいる前で平然と言う。

「それ言っちゃっていいんですか……」

「いいのいいの。だってホントのことだし。で、今日は削蹄さくていだよね」

「はい」

「っしゃ、やるか……」
 穂香は、そう言ってメロンに近づく。

「動くな動くな!」
 メロンは爪を切られるのが余程嫌なのか、その場から逃げ出そうとする。

「動くなってこら! んっ……」
 メロンは、穂香の大人な胸に触れる。穂香は、そのまましりもちをついてしまった。

 穂香の、ふいに出てしまった喘ぎ声は、低くて可愛かった。
「メロ……ン……?」

 先ほどまでのメロンとは違い、人間である穂香を見下すかのようにしている。

「大丈夫かっ! うわっ!」
 大樹が咄嗟に、メロンに近づこうとすると、メロンは後ろ足で大樹を蹴り飛ばした。
 普段なら優しいはずのメロンが今日はおかしい。もしかしたら、穂香の揺れる大きな胸に反応してしまったのかもしれない。

「馬にも性欲はあるんだなあ。うんうん」

「感心してる場合か! 早く助けてよっ! こいつさっきから、変なところペロペロしてくるしぃ」
 メロンは、優しく舌で穂香の胸を舐め回した。穂香には申し訳ないが、大樹は、その光景に興奮してしまった。これを見て興奮するなと言う方が無理がある。

 胸の形が気になるのか、大きさが気になるのか、メロンは何故、そんなことをしているのか分からない。しかし、この状態では穂香は逃げ出せないし大樹も手が出せない。

 その時、教室に戻ってくるのが遅いからと、担任の先生が迎えに来てくれた。すると、メロンはバツが悪そうにその場を去った。

(助かった……)
 ずっと、ペロペロされてしまうのではないかと思った。担任の先生、本当に神だ。

「大丈夫? この子、大きい胸が大好きなのよ、性別は女なのに不思議よね」

「は、はあ……」
 メロンのおかしな性癖には、こう答えるしかなかった。

 その後、穂香は2時間、メロンに舐められた体育着を着なけらばならないのであった。