コメディ・ライト小説(新)
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- 不帰の僕と
- 日時: 2016/03/24 04:22
- 名前: 北風 (ID: baOn2Ld/)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
クリックありがとうございます。
北風です^^
この小説は2作目になります。
まだまだ初心者ですが、飽きられないように頑張っていきます!
コメントやアドバイス、リクエスト等は随時受け付け中です。
読者様の期待に応えられるような作品にしていきたいです!!
- Re: 不帰の僕と ( No.1 )
- 日時: 2016/03/24 04:39
- 名前: 北風 (ID: baOn2Ld/)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
≪不帰村の物語 壱≫
むかーしむかし。僕にとってはとてもとても昔。僕が生まれた頃の話。
とある山中に不帰村という村がありました。
この村の住人は平成の世だというのに文明からかけ離れた生活を送っていました。
鶏の声で目覚め、清流で顔を洗い、畑仕事に精を出す。
人々は幸せでした。この村には争い事など無いからです。
誰が一番かだなんて、決める必要が無いのです。
既に、決まっているのですから。
- Re: 不帰の僕と ( No.2 )
- 日時: 2017/01/01 15:49
- 名前: 北風 (ID: 82QqnAtN)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
≪少年の日常≫
ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ
「うぅーんむぅ…………」
ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ
「うぅっさぃ………」
ピピピピピ ピピピピピ ピピピピピ
「んんんぁぁーー!」
ピピピピピピピピピピピピピ………
「ほりゃ!」
ガチャン!!
と音を立てて目覚ましが止まりました。
俺が止めました。
チョップで。
時計の針は7時40分を指しています。
まずいです。
学校に行かねば。
布団から跳ね起きて制服に着替えると、玄関に置いてある鞄とお母さんが作ってくれたお弁当を持って家を飛び出しました。
朝ごはん?なんですかそれおいしいんですか?
…………まあおいしいんでしょうね。俺はもう3年ほど食べてませんが。
朝弱いんです。
「はっはぁっはっ」
白い息を吐き出しながら、見慣れた通学路を駆け抜けていきます。
100m前方には学校の校門。
腕時計を見ると7時52分。予鈴はまだ聞こえてきません。
やった。今日は間に合いそうです。
心の中でガッツポーズをしながら俺はラストスパートをかけました。
80m……70m……60m………
校門が徐々に近づいてきます。
50m……40m……30……20……10……0!
ゴーーール!!
両手を上げて校門の内側に飛び込みます。
と、同時に鳴る予鈴。
よしっ。よく走りました俺!
気分はまるで盗塁王です。遅刻寸前だというのに何でしょうかこの清々しい気分は。
さぁ、教室へ急ぎましょう。
…………。
…………………?
「う?」
いくら足を動かしても前に進めません。
足元に目線を移動すると、なんと体が浮いています。
「へっ!?」
そしてどんどん上へ昇っていくではありませんか。
「うやぁぁあ!た、助けて!」
足をバタつかせながら俺は叫びました。お母さんお父さんお祖父ちゃんお祖母ちゃん、誰か助けて下さい。お手伝いしますから。肩叩きしますから。もう寝坊しませんから……いや、やっぱ最後のはちょっとキツ―――
「うるっさい!暴れるなこの馬鹿が!」
べしっ
「あうっ」
突如、罵声と共に頭を叩かれました。
「な、何するんですか!」
俺は涙目で上を見上げました。
「何するんですか、じゃない!遅刻だぞ円井!!」
「あ………上谷先生」
担任の先生でした。俺の襟首を掴んで鬼の形相で睨んできます。
上谷操先生は、いかにも熱血教師といった感じの先生です。
指導は厳しいけど、生徒思いで人望があります。
これだけ言うと男性教員のようなイメージを抱くかもしれませんが、この先生は女性です。長い髪を後ろで一括りにしており、27歳で178cmという高身長の持ち主です。あと、結構顔がかわい―――
べしっ
「あぐっ」
………頻繁に俺の頭を叩きます。
「い、痛いですよー!」
「うるさい!何ぼーっとしてんだ!遅刻だっつってんだろ!」
「ふ?ちこく?だって今7時55分だからセーフじゃあ……」
べしっ
「あがっ」
あんまりです!
「この馬鹿!今は8時55分だぞ!」
「え?」
俺は腕時計に目を落としました。
「…………………」
顔から血の気が引いていくのが分かります。
「分かったらさっさと教室まで走れぇ!!」
上谷先生は俺の襟首を離すと咆哮しました。
「は、はぃぃぃっ!」
俺は多少先生の迫力に気圧されつつも大声で返事をすると、教室へと駆け出しました。
※
からからから………と控えめに教室のドアを開けると、クラス中の目が俺に集まってきました。
「ぅ……ぁ………」
恥ずかしくて思わず下を向いてしまいます。
遅刻には慣れていてもこの瞬間にはいつまでも慣れません。
顔が赤くなっていくのが分かります。
「お………遅れてすいません……」
俺は教壇に立っている社会科の大倉先生に軽く頭を下げるとそそくさと自分の席に着きました。
「気をつけなさい」
大倉先生はそう一言言うと授業を再開しました。
「ふぅ~」
俺は小さくため息を吐いて、地理の教科書を鞄から取り出そうとしました。
ごそごそ………
ごそごそ………
……あ。
「忘れました………」
俺の小さな呟きは、誰にも聞かれることなく2月の寒空に消えていきました。
※
俺の名前は円井珠洲。
ただのしがない中学1年生です。
コンプレックスは身長です。もう13歳になるというのに138cm。
身体測定の度に憂鬱になります。
あと、顔が可愛いとよく言われます。
女子みたいだって。
いや、女子「みたい」と言われるならまだ良いんです。
最近は俺の事を「女子だ!」と断言する友達もいるんですよ。
そりゃあ確かに俺は普通の見た目ではありませんが……。
俺は肩の辺りまで伸びた真っ白で少しふわふわした自分の髪を弄り、エメラルドグリーンの目を瞬かせました。
こんな見た目だから、よく外人の女の子に間違われます。
立派なメイドインジャパンの男子なのに………。
こんな見た目でも、芸能人を目指していたりするなら必要なものかもしれません。
ですがあいにく俺の家は何十年も前から続く剣道道場。俺はそこの跡継ぎなのです。
この世界ではフィクションの様な外見など誰にも求められていません。
何か、生まれる所を間違えたような……そんな気がします。
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