コメディ・ライト小説(新)
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- ホロフロノス〜刻限の輪廻〜
- 日時: 2017/07/02 20:59
- 名前: 珠紀 (ID: n0SXsNmn)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11776http://
【ご挨拶】
はじめましての方、はじめまして。
珠紀の名、又は覇蘢の名でご存知の方、お久しぶりです。帰ってまいりました。
約、二年ぶりです!!
『舞えし蝶は暗闇に散る*゚*。』はリアルのゴタゴタがあり途中放棄してしまいましたが、またいつかリメイクとして書きたいと思っています。
そして、、来ない間に(新)コメディ・ライトができていて驚きました((ガクブル
今回も、勿論の事恋愛ものです。少しSFちっくにカキカキしていきます。
ノロマな更新ですが、よろしくお願い致します。
【前作品 完結物】▶▶http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=33422
珠紀の小説の世界観等、掴んでいただければ泣いて喜びます。
駄作品ではありますが細目で見ていただければと思っております。
【目次】
イラスト>>13
Prolog>>3
第一章 夢 一>>6 二>>7 三>>8 四>>9
第二章 十年後の世界 一>>10 二>>14 三>>17 四>>18
【お客様】
てるてる522さん とてもわくわくするような短編集の書き方をなさっていて読んでいる時のわくわく感が堪らないです。長編・短編どちらも執筆なさっているので皆様も是非。
いろはうたさん 約二・三年前から交流を持っている作者さんです。この方がいるだけでホッとするような珠紀にとってはそんな人です。たくさん賞をとっている素晴らしい方なのでこの方の作品を見にいかないなんて損ですよ。
ひよこさん この方も前から交流している作者様です。ひよこさんの作品はなんと言っても文章力。素晴らしいです。色で表すならば半透明。どんな色にも自由自在に変えられる才をお持ちです。皆様も是非。
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.5 )
- 日時: 2017/03/04 13:29
- 名前: 珠紀 (ID: 7W.y1FpB)
...〒 いろはうた様
い、い、いろはうたさんが、き、きて、くくくくくくれたぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ(号泣)
なんだか、(新)の方には昔交流してた人もいなくて、なんだか寂しいなぁ。。。
たくさん、(新)の人とも交流しなければ(* )=3(鼻息)
ワクワク感があるとともに、書きたいものがありすぎて詰め込みすぎてしまう(;´д`)トホホ…
日向子ちゃん、ヒロインです。
なんだか、序盤は暗い感じかなと思います。。
もっとイチャコラさせたいんですが、ストーリー的に(汗)
私の乙女ゲ好き心が騒がぬよう必死に抑え、見事にシリアスな部分を書きおえますガクブル
また、いろはうたさんの小説におじゃまさせていただきますね!
コメント、ありがとうございました!
_珠紀
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.6 )
- 日時: 2017/03/04 13:33
- 名前: 珠紀 (ID: 7W.y1FpB)
――よく夢を見る。
そこは、荒廃した光景を彩っていた。
瓦礫の山の前を通りすがる人々は皆うなだれ、引きずるように歩いている。
その姿からこの世界に絶望していることがうかがえる。
そして私は。
わたし、は―――――?
―ピピピッッピピピ…ッッピッ
「……うるさい」
乱暴に目覚ましを止めた手をたどると大きな膨らみのある布団にたどり着く。
もぞもぞと動く"それ"は勢い良く布団を引っペ返すと、一切乱れていないふわりとしたボブの髪にお日様のバレッタをつけ、一目散に部屋を出て階段を降りた。
「お婆ちゃん、おはよう」
座布団の上でお茶を飲んでいる祖母に挨拶すると、いつものように近くの仏壇の前に座る。
「お母さん、お父さん。おはよう」
両親は亡くなっている。
母は日向子を産んですぐに。
父は病気で昨年他界した。
残ったのは、日向子と母方の祖母だけだった。
今はその二人暮らしである。
仏壇から母の形見の懐中時計を首に下げ、朝支度を早々と済ませた日向子は玄関へと移動した。
「行ってきます」
ポツリと呟くと遠くから祖母の「いってらっしゃい」という声が聞こえる。
それを確認して、玄関の扉を開き歩きだした。
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.7 )
- 日時: 2017/03/05 22:37
- 名前: 珠紀 (ID: DHvILgv3)
「あっ」
教室のドアを開けると既に1人、机に突っ伏して寝ている男子がいた。
日向子は気にせずその男子の前の席に座り、後ろを振り返る。
「………」
ツンツンと短く切られたその男子の頭をつついてみる…………反応はない。
「ユウちゃん」
"ユウちゃん"そう呼びかけると、その男子は眠そうに瞳を開き頭を起こした。
短い前髪にセットする必要のない短い髪の毛。いかにもスポーツしてますというような髪型だ。
「…ふあ〜あ」
起きて早々間抜けな欠伸をかいて頭を掻くような素振りをする。
「昨日もゲームで夜更し?いい加減、やめたら?」
「ラストまで行ったと思ったら裏ボスがいてさ〜」
よくぞ聞いてくれたと言うように、身体を机から乗り出して昨日のゲームについて語り始める彼の名は漣 優、日向子の幼馴染である。
「そう」
素っ気無い返事をし、クルッと前を向き読書を始める。
優は、つまんねぇの、と唇を尖らせまた寝始める。
日向子は、続々とクラスメイトたちが教室に入るのを一瞥しながら読書をしている。
いつもの日常だ。
『日向子』
この声を除いては。
この頃、おかしな夢を見る。
その夢は日に日に起きている時にも声が聞こえたりとあらわれるようになった。
最初は気にもしなかったが、最近は頻繁に声が聞こえる為とても迷惑している。
「はぁ」
大袈裟に溜息をつく。
疲れているのか。
原因として頭に浮かぶのはそれしかなかった。
日向子は、何故か聞き覚えのある声にざわざわと胸騒ぎがした。
「席につけ〜」
「!」
先生の声で現実に引き戻される。
読んでいた本を閉じると、頭を切り替えHRの先生の話に耳を傾けた。
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.8 )
- 日時: 2017/03/08 11:57
- 名前: 珠紀 (ID: dXUQaT2.)
***
――カチカチ…カチッ
静まり返った部屋の中で、懐中時計だけが鳴り響いている。
また夢を見た。
今度はいつもよりも鮮明に。
空を見上げると烏が鳴いている。
「痛…っ」
ピリッとした痛みに下を見る。
素足のままだった。
どうして………
足の裏を見ると血が滲んでいる。
瓦礫を踏んでしまったのだ。
あたりを見渡すと、沢山の瓦礫の山だった。
近くには鉄骨のビルが原型を留めないほどに崩壊されていた。
風景に色彩を与えるはずの草木は枯れ、暗褐色の光景がそこには広がっていた。
全身に鳥肌が立つ。
この世界はやけにリアルで、夢だという意識が頭の片隅にあるのに、風景に見入っているとつい夢であることを忘れてしまう。
再び空を見上げる。
黒に揺れる空。
黒いモノが空を蝕んでいた。
暑くもないのに額から汗が流れ落ちる。
「いらっしゃい」
いきなり背後から声をかけられ、身体を震わせ後ろを振り返る。
そこには黒マントの青年がいた。
「…誰?」
一歩下がり問いかける。
「……………」
彼は無言だ。
フードで顔が隠れており表情が見えない。
口だけは確認できるが、、動く気配すらない。
「ねえっ………!?」
呼びかけると同時に強い風が吹き身体を攻撃する。
それと同時に男のフードが脱げた。
「………あ」
思わず声が漏れる。
彼の髪は白く染められていた。
風に揺られ、きらきらと白銀に光る。
彼と目があった瞬間、彼は人形のように微笑んだ。
「もう少しだね」
そんな言葉を残して。
その刹那、グラっと視界が歪む。
今までの目の前にいた男の姿も、見えない。
驚きはしなかった。
日向子は知っている。
これは現実の自分が、覚醒したからなのだと。
そしてゆっくりと意識は途切れ、奇妙な夢の世界は終わりを告げた。
重たい瞼を開けるとそこにはいつもの天井がある。
「やっぱり」
夢だった。
本当に変な夢。
ゆっくりとベットの上に身体を起して窓の外を見ると、もう日が昇り始めているのか、光がカーテンの隙間から室内に漏れていた。
枕元の時計を見ると、六時を少し過ぎたところだ。
ベットから降りて、そっと窓にかかるカーテンを開いた。
「……あの男の人……誰だったのかな……」
そう呟くと、準備する手つきが少し鈍くなるような気がした。
- Re: ホロフロノス〜刻限の輪廻〜 ( No.9 )
- 日時: 2017/03/11 16:49
- 名前: 珠紀 (ID: KiZFEzWe)
「おい、大丈夫か?」
登校中、優の声で日向子は我にかえる。
「ごめん、ボーッとしてた」
「最近お前変だぞ」
話をしながら、歩く。
そんないささかな光景の中、道の突き当りから、不意に一人の人物が姿を現した。
子供ではないことはすぐに分かった。
男はどう見ても二十代で、背が高い。
そして、何よりも奇妙な格好━━きっちりと着込んだ濃い色のロングコート。肩の両側は金色の房状の装飾があり、頭には服装と同じような金の刺繍のついた黒い帽子をかぶっている。まるで軍人の仮装のようだ。
彼は日向子の方へ向かって歩き目の前で足が止まる。
「……!」
その男は黒の髪を無造作に伸ばしているせいで片目はすっかり隠れてしまっていた。整った面差しと暗い目が片方だけ覗いている。
「日向子」
そして、男は確かに日向子の名前を呼んだ━━低く、悲しい声色で。
そのまま、日向子に向かって手を伸ばそうとする。
「あ……」
日向子は逃げなかった。
いや、驚きのあまり足がその場で凍りついてしまっていた。
立ちすくんでいる彼女の手を、男が掴もうとする。
「おい、何してるんだよ!」
しかし、その言葉と同時に、日向子の眼前に優が立ちはだかった。
彼女を守るために自分の体で壁を作り、男の顔を睨みつけている。
「ユウちゃん……」
「そこをどけ」
男は優に、低くそう告げた。
しかし、彼はその場から動こうとはしない。
「ヒナに何か用ですか」
丁寧な口調だが、優の声はこれまでに日向子が聞いたこともない緊張をはらんでいた。
「お前には関係ない……そこをどけ」
「どかない」
その言葉に男の顔が怒りに歪んだ。
「……何の力も持たない、子供のくせに」
男が何かを呟いたと同時に、背後から別の男の声が聞こえた。
咄嗟に日向子が振り返ると、警備員の制服を着た中年男性がこちらに向かって走って来る。
「!」
男は警備員の声を聞いた途端、日向子に伸ばしかけた手を引っ込め帽子を深くかぶる。
そして、脱兎のごとく道を駆け抜け、あっという間に突き当りへと姿を消した。
「君達!大丈夫か!」
駆けつけた警備員は、二人に向かってそう尋ねた。
咄嗟に頷いた彼女らに怪我がないことを確認し、彼は男を追って突き当りへと姿を消した。
周囲には、騒ぎを聞きつけてどこからともなく人が集まり始めている。
ざわめきの中で優が日向子に聞いた。
「大丈夫か?ヒナ」
「う、うん……私は大丈夫……」
日向子が頷き返すと、優はほっとしたような表情を浮かべる。
「そっか。でもあいつ、ヒナの名前呼んでたよな……あの男の顔、知ってるのか?」
「……」
一瞬迷った。
日向子は全くあの男とは面識がなかった。
しかしなんだか懐かしい感じがしたのだ。
こんな事を言ったところで気が動転していると思われるのがオチだろう。
日向子はそっと首を横に振った。
「知らないよ……」
「そっか。じゃあ行くか」
優はそれだけ言うと、横に並んで歩き始める。
校門に近づくと優は、先に行くからと先に歩いて行ってしまった。
お互いに中学生になったことも考えると、優の行動も理解できる。
自分達はまだ子供なのだけれど、ゆっくりとその状態から抜け出そうと準備を始めているのだ。
日向子はそんなことを思いながら、もう校門をくぐってしまった優の背中を見送り、自分も校門に向かう道路を渡ろうとした。
しかし、車が来ないことを確認した日向子が、道路の真ん中辺りまで歩いたところで、突然右の十字路から黒塗りの車が猛スピードで日向子に向かって走って来た。
「……!」
驚きの余り、体が凍りついて動かない。
ほんの数秒の間に車は日向子の目の前まで迫って来る。
━━轢かれる!
逃げ出すこともできず、日向子は目を閉じた。
次の瞬間、彼女の体を巨大な鉄の塊が衝突した。
ガシャリと身につけていた懐中時計の壊れた音がする。
「ヒナ!!!!!!!!!!!!」
一瞬、優の叫び声が聞こえた気がした。
そして━━
力尽きたように日向子はゆっくり瞳を閉じた。