コメディ・ライト小説(新)
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- ショタコンだなんて言わせない
- 日時: 2017/03/01 18:23
- 名前: 梨乃 (ID: CKpJ5zkK)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11741
#プロローグ
去年まで、恋と、部活に励む毎日だったあたし。けど、最上級生、3年になって、恋愛なんてしなくなってしまった。
そんなあたしが、貴方に出会うきっかけは、なんだったかな?
元カレのときから、繋がってたって。運命だって、信じたい。
あたしの、ノンフィクション小説。
#登場人物
桜井 ゆな(サクライユナ)
→中学三年生。バスケットボール部に所属。物事に積極的に行動する、物怖じしない性格。勝の元カノ。
岸本隼(キシモトハヤト)
→中学一年生。兄に憧れてソフトテニス部に所属。小6まで人間不信、潔癖の極みだったが、だいぶ解消された。勝の弟。
岸本勝(キシモトマサル)
→中学三年生。ソフトテニス部の部長。リーダー格の男子と絡みだし、少しずつグレる。ゆなの元カレ。
輿儀歌穂(ヨギカホ)
→中学一年生。バスケットボール部に所属。3年が現役の時にはかなり、ゆなのことを苦手意識していたが、絡み出して変わった。
西本としみ(ニシモトトシミ)
→中学三年生。バスケットボール部に所属。ゆなと仲が良く、しかし、裏表がはげしい。ゆなのことを尊敬している。
末永光(スエナガヒカル)
→中学三年生。吹奏楽部に所属。ゆなたちとは他中で、ゆなと同じ塾に通う。ゆなともっとも仲がいい友達。
まだまだ登場っ!
- Re: ショタコンだなんて言わせない ( No.2 )
- 日時: 2017/03/02 17:16
- 名前: 梨乃 (ID: CKpJ5zkK)
~隼side~
「もう、ともや!お弁当忘れてた」
「ん??」
そんな声が聞こえたのは、幻聴ではないだろう。俺、岸本隼らテニス部が朝練をしていたときだ。
「おぉ、さんきゅさんきゅ」
「もう、鞄中入れとくよ」
「わり、助かるわ」
ボタンをあけ、スカートが短い。髪も、若干アレンジを含めている。着こなしからして、3年だと思った。3年の、桜井ともや先輩と、やたらと話す3年。
「誰?」
「え?しらんの?桜井先輩の双子のおねーちゃんよ?」
「めっちゃいい人じゃん?顔もそこそこいいし」
「まぁ、悪くはないな」
「平凡が1番いいんだよ」
「え?え?」
2年の先輩たちがおもむろに話し出す。え?あぁ、あの人が。
「何だっけ、名前」
「ゆな??」
「あ...」
俺たちが話していると、いきなり練習中のはずの3年、鮫島希琉くんが話しかけてきた。カッコイイし、上手だし、本当に憧れで、大好きな先輩。
「鮫島先輩!」
「確かにかわいーよな。普通に。可もなく不可もなく?」
「あ、希琉!」
「えっ」
駆け寄ってくる桜井先輩のお姉さん。ゆな、先輩。2年生の先輩たちは、バツ悪そうな顔で逃げた。俺だけ、足が動かない。シャイな俺は、希琉くんの後ろにさっと隠れる。
「おつかれー。教室の落書き、消えてなかったよ」
「げ、まじで?消しとってくれたらうれしーなぁー?」
「はいはい。優しいゆなちゃんが消してあげましょう」
「やかましいわ」
ゆな先輩が笑う。その瞳が、俺を見る。若干、目を見開いた気がした。
「あ...たしか、勝の、」
「そうそう。まっさーの弟。シャイやけ隠れとるだけ」
希琉くんが言ってくれる。ふぅん、とゆな先輩は言って、顔を覗き込んできた。
「えっ...?」
「かわいーっ。同じ学校の先輩後輩なんやけ、仲良くしよ?」
そう言ってほほえむ先輩。そして、校舎の方へ走っていった。
「知っとる?まっさー、ゆなと付き合っとったの」
「え...!?」
「知らんかったか。6年の時な。俺らの喧嘩で別れたけど」
「そう...なんですか」
...あぶないあぶない。兄弟で同じ人好きになるとか。前代未聞だろ。まぁ、好きになんてなんないと思うけど。去年までの前科があるし...。
「まぁ、ゆな今こそ部活ばっかしてんけど、去年まですっごい恋愛キラーだったからな。一昨年は先輩?去年は他中?同級生はまっさーか。今年はどうなるかね?」
わやだな、ゆな先輩。くすくす笑い出した俺を見て希琉くんは頭をぽん、と叩いてきた。
「練習しよーぜ」
その言葉に。もうすぐ引退する先輩の言葉に。俺は、しっかりと、うなずいた。
「はい!」
青空は、何かが起こりそうなほど、綺麗に澄み渡っていた。
- Re: ショタコンだなんて言わせない ( No.3 )
- 日時: 2017/03/04 09:24
- 名前: 梨乃 (ID: 7HladORa)
#2 〜ゆなside〜
「いくよーっ!」
「「はい!」」
「勝つよーっ!」
「「はい!」」
「南中ーっ」
「「ふぁい!!」」
今日は、夏季選手権の当日。これで、形の上では引退。まぁ、あたしたちは次の大会もあるから...。
お決まりの掛け声。あたしがやっている。第一戦は、市内で最下位の片山。市内2位のあたしたちには余裕。
そして、コートに立つあたしたち。顧問は、あたしたちを見て、満足そうにうなずいた。
「よし、いってこい!」
「「はいっ!!!」」
「タイムアウト!」
相手の顧問が叫んだ。あたしたちはベンチに座る。
3ピリオドの時点で102対2。楽勝だ。
「桜井」
「はい?」
顧問に呼ばれる。
「今からは、お前以外1年生入れる。パスを回してあげてくれ」
「えぇ!?3年の引退試合、なんですよ!?いくらなんでもそれは...」
あまりに無茶苦茶。素人である1年を...?そういうと、顧問はやれやれと肩をすくめる。
「お前がそう言うのもわかる。けどな、頼むわ」
「...、はい」
渋々頷く。まぁ、試合に出れるだけ幸せか。
再開される。あたしは顔を一発叩いて、試合に臨んだ。
「おつかれ!」
「さすが、南中!」
試合後。140対10で勝ったあたしたちは、観客席にもどると、他中から声をかけられた。
「ありがとっ」
「桜井ゆなって、お前?」
勝った喜びを素直に吐露していたとき。北城中の服を着た男子に声をかけられた。顔面偏差値が高い学校。いけめん。そう思いながら返事をかえす。
「あたしだけど?」
「南中の部長よな?」
「見たらわかるでしょーが。4番だわ」
初対面の男子だけどサバサバ言い返す。すると、向こうの男子は笑った。
「憧れてんだよ、桜井に。よかった、さっきの試合」
「あぁ、ありがとね」
へらっと笑う。すると、男子はなぜか無言になる。
「あ、そういえば、名前きいてねーや。あなたの名前は?」
「壁田煌晟。これで会うの最後かもな」
「煌晟ね。うん...そうかもね?」
「壁田ーっ!」
「なにナンパしてんだよ!」
なんかいい感じになったとき。壁田煌晟の同中の人が叫んでくる。
「してねーし!」
「そろそろいくぞー」
「わぁったよ」
壁田煌晟は、あたしのほうをちらっと見た。
「明日も、会おうな。見ててやるよ。お互い、どこまで行けるか、勝負な!」
そう言われて。
「お手並み拝見だわ」
あたしは、肩をすくめていいかえした。
⚠️3ピリオド...バスケで使う言葉。1〜4まであって、試合の一区切りの時間。
- Re: ショタコンだなんて言わせない ( No.4 )
- 日時: 2017/03/05 20:49
- 名前: 梨乃 (ID: CKpJ5zkK)
〜歌穂side〜
今日は夏季選手権。面倒くさい。こんな市内の大会くらいで先輩たちが負けるはずがないのに...。
私、與儀歌穂はひそかにため息をつく。
かほは、バスケに憧れる友達、三浦直華たちとこの春、バスケ部に入部した。そしたら、先輩は怖いというか、うざいというか、苦手な人ばっかりだし、練習はキツイし。正直、やめたい。けど、もうすぐ先輩たちが引退するから。続けられんの。
「かほ?みて!」
「なに?」
横にいた直華に話しかけられる。今は昼休憩。この時が1番休まる...。
「どこ??」
「あそこ!南中のテニス部じゃない!?」
「あ、ほんまよ、え?はやとおるやん」
示された場所を見ると、かほ達の中学のテニス部の3年。そこにいるまっさーに隠れるように、はやとがたっていた。
「え?なんであいつらきとん?」
「いってみよーや」
直華がいって、かほ達は走った。
「今日って、テニス部の試合の日じゃないの?」
先輩たちには内緒で、廊下に出て話す。私服で見る先輩たちはやっぱりカッコイイ。はやといてますがな。
「おまえってアホなん?雨降ってんだけど」
「お...屋内テニス」
「どんな豪邸の王子様だよ」
直華のボケにまっさーが突っ込む。はやとが軽くわらって、沈黙がおとずれた。
「...んで、はやとがなんでいんの?先輩たちと絡みあったっけ?」
かほが聞く。と、はやとは、したを向いて答えようとしない。
「ちょっと?別に隠すもんでもなくない?」
「ここで喧嘩はやめな、南中の1年」
何も言わないはやとに腹が立ったかほが少し声を荒げると、イケボが聞こえた。これ、誰だっけ...。
気づく前に、首根っこがつかまれる。
「なっ...」
「壁田煌晟っ...!?」
そう、昨日、ゆなちゃんに話しかけてた3年の先輩...。...イケメンかよ。
「なっ、桜井?」
「え、何言って...わ、ゆなちゃん!?え、なんで!?」
「デート!?」
直華が興奮して言う。壁田煌晟の後ろにいたゆなちゃん。直華の言葉に少し頬をふくらませた。
「昨日会ったばっかの人と付き合うわけないやろ?」
「あ、すんません」
「で...んん?はやとくん?って、あ!」
ゆなちゃんがまっさーの後ろのはやとに気づいた...と思ったら、はやとが急に逃げ出す。
「はやとくん!?」
「はやと!」
ゆなちゃんは、呆然としていた。...まぁこの人可愛いからな...今まで人に拒絶されたこと無いんだろうけど。...はやとは去年までやばかったからな、人嫌いが。吐き気がするような潔癖。
他人がついだ給食はすてて、新たに自分のを継ぎ足した。
他人がおいてくれた牛乳を、水道まで洗いに行った。
今は全然普通だけど、...基本、はやとは初対面の女子無理やけんな...。
「...ねぇ、なんではやとあんな反応したの?」
直華が問うてくる。
「いや、かほにきくなよ」
「いくら女無理だからって、あの態度はなくない?ましてや、先輩よ?」
「たしかに...」
まっさーも、3年のテニス部も、壁田煌晟も、ゆなちゃんも直華の言葉をまっている。
「前にも絡んだことがあって、なんかトラウマにスイッチが入ったんじゃないの」
直華は簡単に、はやとの傷口をえぐる。
ゆなちゃんの、なんか傷ついた表情が、いつまでも脳内に残っていた。
- Re: ショタコンだなんて言わせない ( No.5 )
- 日時: 2017/03/06 18:43
- 名前: 梨乃 (ID: CKpJ5zkK)
#3〜ゆなside〜
夏季選手権が一応終わり、次は県大会...の前の試合。ちなみに、煌晟の中学も無事進出。
時は9月。もうすぐ文化祭がやってくる。
合唱コンクールの歌はもう決まった。『走る川 』だ。ちなみに、伴奏者はあたし。前科があるからあたしだとは思ってたけど...。
今の時間は全クラスが合唱の練習。あたしたちは、全クラスに聞こえるように廊下で歌う。
「不屈の...不屈の不屈の決意で、走り...走り続ける...」
これから!というとき。1-1の担任、釜山があたしたちのクラスにやってきた。やむをえなくストップ。 皆、中途半端に歌っていてイライラしていた。
「なんですか」
「相談があるんだけどー」
「「...」」
この先生の相談は相当ダルい。聞かなかったらあとが怖いやつ。
「歌いあいこせん?合唱曲の」
ええ!?1-1と!?みんなそう思ったらしく、固まっている。
「え、べつにいいですけど...?」
「ありがとー、じゃあちょっと待っとってね」
あたしがokすると、釜山はすぐさま上の階へ上がっていった。そして、降りてくる1年。
「はやと、こっちの校舎で指揮者して。そうそう、3年のほう。皆は反対の校舎いってー」
釜山が指示したら、はやとくんはあたしたちの校舎にきて、三年に囲まれながら指揮をするようになった。セッティングが完了する。
「いいよー、歌って!」
流れ出す音楽。
『大空讃歌』。一回聞いて、あたしたち3年がやみつきになった曲だ。
「あぁ...広い大空、自由にはばたけるなら 僕は飛んでいきたい どこまでも...」
クライマックス。
「どこーまーでーもー...!」
はやとくんピシッとやって終わる。可愛いわぁ...ほんっと。あれが勝の弟とか考えられんもん。目から違うし...。
「じゃあ、次、3年生お願いね」
釜山に言われて、歌い出す。
「戻れないいのちを...戻れない命を...一心に走る走る はしる...」
「やーがーて...大地は広がる...未来はふりそそぐ 花の匂い香りに染まって...ゆったりと流れてゆく」
「愛の予感のない予感を 予感をったーずーさーえっ...てー...!」
拍手喝采。ちらっと向い校舎にいる1年をみる。絡みのない1年があたしを見ていた。
「では、そうじ始めます」
「おねしゃーす」
合唱練習がおわった放課後。あたしたちは掃除時間だ。あたしは時間稼ぎも含めて、職員室に鍵を借りに行った。
すると。
「しつれいしましたー」
職員室からでてきたのがはやとくんで...。え、まさか?本物...?気づいたときには、あたしは遅かった。
「はやとくんっ」
声をかけていたから。
「はい...?」
警戒しているようなはやとくん。あたしは、笑顔を作り、はやとにむけて言ってやった。
「指揮者やろ?頑張ってね」
そう言うと。はやとくんは、したを向いて小さく礼をしてくれた。
「...と...います」
聞こえたのはその言葉。けど、ありがとうございます、ってゆってるのはわかった。
可愛いな...。その感情が初めて芽生えた。
9月23日。この日は特別な日になったな。そう思えた。
- Re: ショタコンだなんて言わせない ( No.6 )
- 日時: 2017/03/07 15:45
- 名前: 梨乃 (ID: CKpJ5zkK)
〜隼side〜
「指揮者やろ?頑張ってね」
そう言ってきたのは、3年生のゆな先輩。この前、なりゆきで3年1組と合唱練した日。
この前も希琉くんといるときに話しかけてくれたけど、話したのはこれがはじめて...ってか、先輩の女子と喋ったこと自体が初めてなんだけど。
あの日を堺に。ゆな先輩は、俺にコンタクトをとってくれるようになった。だんだんと、少しずつ...けど確実に、距離は縮まったと思う。
俺と話してくれたときの、ゆな先輩の表情は、期待させる...。さすがは、あのまっさーの元カレ。そんなことを毎回考えていた。
「地震だ!」
「うわっ」
ある日の5時間目。俺らを地震が襲った。しかも、結構な大きさ。...下の階の3年生からは爆笑が聞こえるけど。
地震はまだ続く。
「え、まって、あの3年何してんの!?」
地震が続く中、立っていた小松りなが叫んだ。見れる人は窓際に見に行く。やっとゆれがおさまって、小松がさしたところをみた。
「なっ...」
「ゆなちゃん!?」
2階をみると、窓から落ちかけているゆな先輩がいた。窓際に見えるのは、テニス部の先輩である、大西弘樹先輩で、手を差し伸べているのは希琉くんだ。
...こんなのんびり見ている場合ではないと思うんだけどね...。
「っ!」
ゆな先輩は、窓のふちにつかまったまま上にいた俺たちを見上げた。
「えっ、ちょっともー、恥ずかしいじゃーん。大西やめてー」
「あっ!!」
與儀が叫んだ。笑顔であったゆな先輩が背中から落ちたのだ。
「先輩!?」
「ゆなちゃんっ!?」
どさっ、という音がして、恐る恐るみんなしたを見る。...と。
「陽向!?」
「扇谷!ナイスキャッチー!」
なんと下には、2組の扇谷陽向が外周をしていて、ちょうど落ちてきた、という。...わーや。
「おうぎぃっ!?なんっ...」
「お前が落ちてきたんだろーが!」
全校生徒の前でこのいちゃつき様。俺は、みていられなくなって目をそらした。
...んん?見ていられなくなった?なんで?
そんな俺の思考を察したように、與儀が近づいてきた。
「はやとって、ゆなちゃんのこと好きなの?」
「え?いや別に...?」
「あっそ。まぁどうでもいいけど、はやく付き合わんと取られるよー??ゆなちゃん、ああ見えても元カレ多いけ」
「いや少ないように見えんし」
言い返すと、與儀は大声で笑い出した。うるさっ!俺は、こういうがさつ系女子は無理。
「まぁー、あのはやとが彼女できるとは思えんけどねー。くっそ潔癖が」
「悪い?」
「もーすぐゆなちゃんできちゃうんじゃなーい??煌晟ってやつと」
煌晟...??あ、あの試合のやつね。
「やけ、俺好きじゃないって」
「はたからみたらそう見えるなー」
「ほっとけ」
...俺は好きなやつなんかいないし。まず、女どころか人間にも興味なかった俺が、恋?
笑わせてくれる。
俺はため息をついて、したにいるいまだイチャつくゆな先輩と陽向を見ていた。
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