コメディ・ライト小説(新)
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- 未来改変 《changefuture》【完結】
- 日時: 2017/04/09 09:41
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
どうも、はじめまして。ラッテという者です!
元SAKUYAとして活動していましたが、新しい名前で新たに活動していきます!(SAKUYAとして書いている作品もしっかりと書きますよ!)
作者は不定期更新で、また文才が無いため駄文になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
*目次*
《第1章 永遠の夢》
Re;1 雨>>1
Re;2 序>>2
Re;3 原>>3
Re;4 分>>4
Re;5 神>>5
《第2章 人》
Re;6 悪>>6
Re;7 力>>7
Re;8 黒>>8
Re;9 視>>9
Re;10 謎>>10
Re;11 国>>11
《第3章 死の恐怖》
Re;12 説>>12
Re;13 何>>13
Re;14 光>>14
Re;15 滅>>15
Re;16 絶>>16
Re;17 悲>>17
Re;18 良>>18
Re;19 終>>19
《第4章 新しき物語》
Re;20 真>>20
Re;21 夢>>21
Re;22 白>>22
Re;23 焰>>25
Re;24 瞬>>26
Re;25 世>>27
Re;26 言>>28
Re;27 家>>29
《第5章 両者激突》
Re;28 任>>30
Re;29 戦>>31
Re;30 離>>32
Re;31 始>>34
Re;32 巨>>35
Re;33 加>>36
《最終章 神への反逆》
Re;34 王>>37
Re;35 邪>>38
Re;36 反>>39
Re;37 本>>40
Re;Final 神への反逆>>41
*お知らせ*
2017/4/3 登場人物紹介 作成!
2017/4/4 てるてる522さんからコメントを頂きました! >>23
2017/4/8 遅くなったけど参照100突破!!
2017/4/8 登場人物紹介をリニューアルして再び作成!!>>33
2017/4/9 物語完結!!
2017/4/9 後書き 作成!>>42
- 未来改変 ( No.8 )
- 日時: 2017/03/31 13:04
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;8 黒
そこからの奶斗は早かった。
昔同級生だったというトラックの運転手の話から、黒桐魁斗の居場所を割り当てた。
今、この世界では、黒桐魁斗は働いている。
《探偵》として。
あとは探偵事務所へ向かうだけ。
奶斗は、ひたすら走った。
今回の場合は、フューチャーを発現しなくても、事務所へ向かう事は出来ただろう。
しかし、奶斗は今まで繰り返してきた人生の中で、自らの意思を操作して、意図的にフューチャーを発現させる事が可能になっていた。
レインボーキックを纏い、事務所へと向かった。
周りの人間に、不思議がられるのでは無いか?
その点は、大丈夫である。
フューチャーの内の一つ、《オールステレス》が、発動しているからである。
奶斗の分岐点の中には、どうしても周りの人間に見られてはいけない状況になるものも多々あった。
そういう場合に発動するのが、このオールステレスである。
周りの人間から見られないようになる。
しかし、あくまで《見えなくなる》だけである。
人間の視界には必ず死界がある。
オールステレスは、人間の死界から出来るだけ外れるようになっているだけなのだ。
だから当然、誰かに触れられると、死界から外れていた姿が視界に入り、姿は丸見えになってしまう。
使い勝手のいい力では無いのだ。
《黒桐探偵事務所》
黒い文字で大きな看板に書かれていたので、いとも簡単に発見する事ができた。
郊外の商店街の端にひっそりと建っている割には、堂々とした看板だ。
そう思いながらも、未来を変えるために奶斗は中へ入った。
選択肢が現れたが、一瞬で《入る》に設定された。
やはり、黒桐魁斗は強大なキーなのだ。
一階はカフェになっているので、二階建ての建物で残っているのはあと二階だけ。
階段を上がり、インターホンを鳴らした。
すると、中から入れ、という言葉が聞こえてきた。
リセット直前に聞いた、あの声と同じ声。
奶斗は、勢いよく扉を開けた。
中は綺麗に整理されていた。
いや。ソファーにテーブル、冷蔵庫にテレビ。あと洗濯機。これだけしか家具は中に存在していなかった。
今まで見たことの無いあまりにも綺麗すぎる内装を見て感想が出て来ずにただ唖然としている奶斗の前に、スーツを着た黒桐魁斗が現れた。
そして、言った。
「待っていた。哀しき少年、天月奶斗。」
- 超千里眼 ( No.9 )
- 日時: 2017/03/31 13:29
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;9 視
《待っていた》
この言葉は、奶斗を大きく困惑させた。
世界がリセットされる時、記憶がそのまま保存されるのは、能力保持者の奶斗一人のみ。
それ以外の人間は愚か、すべての生命は文字通り《リセット》される。
はずなのだ。
それなのに、この人間、黒桐魁斗は、待っていたと言った。
つまり、天月奶斗を知っている。
奶斗は、黒桐魁斗に一度もあった事がない。リセット直前までは。
つまり、黒桐魁斗には、リセット直前の記憶がある。
《リセット》の影響を受けていない。
一体、何故ー?
「訳が分からないって顔だな。安心しろ。俺にはリセット直前の記憶なんて無い。お前と出会った事も、無い。」
記憶なんて無い。会ったこともない。
なのに、知っている。奶斗の能力の事を。
どういう事か、ますます理解ができなくなってしまった奶斗は、とりあえずソファーに座った。
魁斗も、今まで硬かった顔を少し柔らかくして奶斗の向かい側に腰を降ろした。
「なんで俺の事を知ってるんですか?あなたは。」
このように会話をするのも、奶斗にとっては久しぶりの体験であった。
分岐点を通過するため、通過点の会話なら、幾度となく交わしてきた。
しかし、自分の意思をもって人と会話をするのは、実に久しぶりなのである。
「タメでいいよ。それで、なんで俺がお前の事を知っているのか、だったな。」
コクリ、と奶斗は頷いた。
「視たからさ。お前の事を。」
当然、理解できる訳がない。
なんと言葉を返していいか分からない奶斗は、固まってしまった。
「まぁ、分かりやすく言うと、俺もお前と同じく、特殊な能力を持っちまった人間なんだ。」
この言葉に、奶斗はひどく驚いた。
今まで繰り返した無限にも思える人生の中で、自分と同じく能力を持っている人間に出会ったことなど、一度も無かった。
次々と現れる新情報を処理しきれていない奶斗のことなど気にもせず、魁斗は話を続けた。
「俺の能力、というか《オリジン》って呼んでるんだ。俺らと同じく、能力者たちは。」
まだ先程の情報を処理しきれていなかったが、これだけは聞いておかなければならない、と一旦情報処理をやめた奶斗は、身を乗り出して質問した。
「他にも能力者がいるのか!?」
「ああ。俺の知る限りでは、十人は確実にいる。全員、何らかの拍子で手に入れてしまった、という訳だがな。」
一万五千六百九十三回繰り返した人生で、そんな人物に出会った事がない。
そんなにいるなら、どうして今まで出会えなかったのか。
「話を戻そう。俺の能力は、《超千里眼》。目標にした人物の心の中、考えている事、今までの人生、年齢、性別、性格などが頭の中に入ってくる能力だ。その他にも、遠く離れた所の映像を目に映す事などもできる。俺がお前の事を知ったのは、お前を視たからさ。」
一応、すべての情報の処理が終わった。
つまり、黒桐魁斗はあらゆる秘密を暴いてしまう事ができるのだ。
今まで奶斗が体験してきた人生を、一瞬でこの男は理解してしまった。
恐るべき能力を持った男だ。
「何で雨の世界で俺がお前にそのような事を言ったのかは分からない。だが、意図は想像する事ができる。」
奶斗も、大方想像がついた。
「俺なら、お前の記憶の中の少女の正体を、視る事ができる。」
この世界の一番の謎。
謎の少女の正体。
それが明らかになった時、世界は加速するだろう。
最善の、未来へと。
- 未来改変 ( No.10 )
- 日時: 2017/03/31 13:55
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;10 謎
魁斗が視ることの出来るのは、目標にした人物の《名前》《年齢》《性別》《性格》《過去》《心情》そして、《記憶》。
それが全て情報として、頭の中に刷り込まれる。
しかし、《記憶》だけは例外だ。
そもそも、《記憶》と《過去》は、何が違うのか。
答えは簡単である。
《その人物が体験してきた事》か、《その人物が干渉した事》かである。
前者は、過去のことを表している。
分かりやすく言うと、奶斗が体験してきた人生が視えるのだ。
ならば後者は、記憶の事を指している。
つまり、魁斗の視ることのできる《記憶》というのは、奶斗が体験してきた分岐点、キーの事を表しているのだ。
謎の少女。リセットの前に現れた少女の事ではない。
確かに彼女も大きなキーであることには違いない。
しかし、それ以前に重要なのは、奶斗が助けている交差点の少女である。
彼女が、奶斗の分岐点の原点。
原点の謎が解き明かされたのなら、連鎖してそれ以降の分岐点の謎も紐解けて行く。
今一番視なければいけないのは、交差点の少女の正体なのである。
先程も言った通り、魁斗が視る《記憶》は、視え方が他の視ることの出来る事象と違う。
記憶だけが唯一、映像として目に焼き付けられるのである。
その記憶の中の人物でも、魁斗は視る事ができる。
しかし、記憶の中の人物は、視ることのできる事象の範囲が狭まってしまう。
《名前》《年齢》《性格》
この三つだけである。
しかし、それだけでも知る価値はある。
名前さえ暴けば、あとは様々な手段を使いその人物の元へ辿り着くことができる。
人間は、名前を知られてしまったら、どう防ごうと正体が暴かれてしまうのである。
そう考えると、魁斗の持つ能力は、非常に危険な力である。
超千里眼を手に入れたのが常識のありそうな魁斗で、本当に良かった。
魁斗がこの能力を手に入れた経緯。
それを奶斗が尋ねても、彼は口を開かなかった。
人は誰だって他の人間に言いたくない事が一つや二つくらいあるものだ。
それを追及されると、根本的な人間的問題が破滅する恐れもある。
奶斗の前には、《追求する》《追求しない》の分岐点が現れた。
この後どちらを選ぼうと、魁斗にはどちらを選択したのか視られてしまう。
ならば、今は《追求しない》。
知りたい気持ちは当然ある。
だからこそ、魁斗が自ら口を開けるまで、待つのだ。
記憶の中の人物を視る時は、非常に時間がかかる。
初期のパソコンを開く時に非常に時間がかかったが、それと同じような感覚だ。
ずっと頭の中でロード中で、一向にダウンロードされない。
ダウンロードが終わるまで、魁斗は集中しなければいけない。
それでも、彼には話す余裕くらいあるが。
「なあ、魁斗。どうしてそこまで俺に協力するんだ?」
魁斗は集中した表情のまま、答えた。
「何となく、予感してるんだ。お前が未来を改変して、最終到着点が雨の世界から変わった時、能力は無くなる。そんな予感が。この能力を、俺は望んで手に入れたわけじゃない。むしろ、嫌っているほどだ。それが無くなるなら、どれだけでも協力する。それに、雨の世界が世界の行く果てなんて、嫌だしな。」
よく集中しているのにこれだけ話す事ができるな、と奶斗は感心した。
それと同時に、感激した。
最強の、協力者が現れたのだから。
ようやく視る事が終わったらしい。
少女の名は、三条 沙耶。
魁斗や奶斗はおろか、おそらく知らない人間はいないであろうという程の有名人物であった。
今から四年前に、《儀式》と名付けられた、少女の大量虐殺。理由は、国のトップしか知らない、そのあまりにも非人間的な行いによって、政府は解体された。
その虐殺された少女の中で、最後まで抗った、《英雄》と呼ばれた、死んだはずの少女。
それが、三条沙耶。
- 未来改変 ( No.11 )
- 日時: 2017/04/03 18:58
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
Re;11 国
《儀式》
この言葉が指すことを、日本国民は恐らく全員が知っているだろう。
この国を揺るがした事件は、これからも語り継がれていくに違いない。
それほどの出来事なのだが、実はその真実を知っている者は国のトップしかいない。
《少女の大量虐殺》
国民が知っているのは、国が流した曖昧な情報だけなのである。
しかし、この男・魁斗は違う。
超千里眼は、映像で流れている人物を視る事だって出来てしまう。
そう。テレビに流れている人物から情報を得る事だって可能である。
《知っている》。魁斗は、儀式の《真実》を。
「けど、今は話している場合じゃない。行かなければならない場所が出来た。」
そう言って魁斗は少し乱れていたスーツを正して鞄を手に取った。
奶斗は問いたい事が多数あったが、今は魁斗の言う通りにした。
選択肢が出現したからである。
《ついていく》《ついていかない》
いま、魁斗についていけば、何かが起こる。
今は、黙ってついていく。奶斗は、そう決めた。
魁斗はドアの鍵を掛けて、バイクに乗り出した。
奶斗は後ろに乗り、渡されたヘルメットを被った。
そして、バイクは勢い良く飛び出した。
「意外と冷静なんだな。」
「これでも魁斗より長く人生積んでるからな。」
「そういえばそうだな。」
沈黙。二人の間には沈黙が流れた。
しかし、気まずい沈黙では無い。
信頼の証拠の、沈黙である。
「どこに行くか、くらいは教えてやっても良いぞ。」
奶斗は迷ったが、一応聞いておくことにした。
「俺たちが今から向かうのは、国会議事堂だ。」
その時、確実とはいえないが、しかし確かに、奶斗は理解した。
これから対立することとなる、つまり敵は、《国》なのだと。
第2章 終わり
- 未来改変 ( No.12 )
- 日時: 2017/04/03 19:28
- 名前: ラッテ (ID: 5YaOdPeQ)
『人は、人という短い期間の中で、死の恐怖を克服する事は出来ない。人は、その定められた時間の中で、立ち向うしかない。そう。死は、人にとって一番の弱点なのだ。』
《第3章 死の恐怖》
Re;12 説
黒霧探偵事務所を出発してから、もう一時間は経過しただろう。
国会議事堂にはまだ到着していない。
今奶斗と魁斗がいるのは、近道という事で選んだ路地裏だった。
急がば回れ。誰もが知っていることわざだろう。
急いでいる時こそ、近道はしてはいけない。
誰もが知っているのに、誰もが土壇場では忘れてしまうことわざ。
近道をするという行為は、それ相応のリスクを伴うのである。
魁斗の能力は、《未来》まで見越す事は出来ない。
よって、近道する事により現れる危険は、視る事が不可能なのである。
しかし、奶斗の能力は、未来を見越す事までは出来なくても、選択肢により最善な未来へとアシストする事が可能なのである。
それならば、なぜ。わざわざ近道をする行為を選択したのだろうか。
答えは簡単。選択肢が出現していないからである。
魁斗が近道をしようと言い出したのは、あまりにも道が混んでいたからである。
普段ならば、《近道をする》《近道をしない》の選択肢が現れる分岐点のはずだ。
しかし、分岐点は訪れなかった。
考えられる説は、二つ。
単純に、近道をするという行為が確定事項だから。
簡単に言うと、分岐点では無かったから。選択肢が現れるまでも無い、あまりにも当然な事だから、分岐点が訪れなかったという考え。
この考えが、現時点においては一番有力な説だろう。
もう一つの説は、既に未来が確定しておりその道筋を辿っているだけに過ぎないから選択肢が現れない、という考えである。
もし選択肢が現れなかった理由が後者であるのならば、今奶斗たちが置かれている状況は危険極まりない、という事になる。
これまでに選択した選択肢により確定された未来を通過するまで、定められた行動しか起こす事ができない。奶斗の能力が、ほとんど役目を果たさなくなってしまうのである。
奶斗の考えは、当然魁斗にも伝わっている。
二人の間に流れていた沈黙は、いつの間にか緊張感へと変わっていた。
その張り詰めた空気を良くも悪くも変えたのは、突如目の前に現れた謎の男である。
急ブレーキをかけた反動で男の前に飛ばされてしまった奶斗は、確かに聞いた。
男が発した声でも無い。
魁斗が叫んだ声でも無い。
確かに聞いた。確かに聞こえた。
聞き覚えのある、少女の声が。
『アタタクオチカギカミサティー.』
奶斗は、意識が途絶えた。