コメディ・ライト小説(新)
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- 恋芽生え、愛が咲く。〜短篇集〜
- 日時: 2017/06/29 21:06
- 名前: 珠紀 (ID: F08K/Z64)
━━言いたくても、
言えないこの気持ち。
言いたくなくても、
言わなきゃいけない。
ねぇ、どうすればいいの?
胸の奥にまかれた種は、
いつの間にか芽を出して
育っていた。
"恋"
という種から咲いた
"愛"
という花。
赤、青、黃……
貴方が咲かせる花は何色?
ようこそ。
色とりどりの花々が咲き乱れる
『極上の花畑へ』
作者長編小説▷http://www.kakiko.cc/novel/novel1a/index.cgi?mode=view&no=10620
目次
君の存在>>1
愛しの神様>>2
恋愛ゲーム>>7
禁断Series>>10
お客様
てるてる522さん
アリンさん
いろはうたさん
- Re: 恋芽生え、愛が咲く。〜短篇集〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/01 23:30
- 名前: 珠紀 (ID: v2e9ZzsT)
『君の存在』
三浦瑞 Tama Miura
石橋拓哉 Takuya Ishibashi
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……あんな思いをするなら、恋愛なんてもうしない……
私はそう誓った。
…***…
「綺麗……」
放課後、私は一人で天体の雑誌を見ていた。
星は飽きない。
いろんな色、形…
私は昔から星が大好きだった。
「何?ここのスポット俺と行きたい?勿論、OKですけど」
後ろからムードもなく話しかけてくる男。
「……」
「無視!無視ですかぁっ!さすが俺のタマ!」
うるさい…
本当に。
「誰が『俺の』」
半年前、拓哉が告白してきた。
勿論、断ったのだけれど、拓哉は『諦める』という単語を知らなかった。
「もう、何度も何度も私のところに来ないで。返事は一緒なんだから……」
……あんな思いはもうしたくないの……
私は拓哉に背を向け、歩き出す。
「ちょっ!タマ!待って!一緒に」
「ひとりで帰る」
「待てって!」
グッと腕を掴まれ、振り解こうとしたが力が強い。
「……俺……昔のタマを捨てた男と一緒にされてんの?」
「うるさい!!!!!」
何よ……
男はみんなあっさり裏切るんだから。
「拓哉、モテるんだし、テキトーに彼女作ればいいじゃん……」
「……はあ?おい……だから俺は」
「もういい加減にしてよ……っっ何度も断らせないで!!!!!」
……一瞬……何かを踏み潰した音がした。
そんな顔……させたかったわけじゃないのに……っっ
私は背を向け走り出した。
…***…
家についてどんなに時間がたっても拓哉のあの顔が頭から離れない。
傷つけたかったわけじゃない……
ただ私が……怖いだけなの。
ーピロロロンー
着信音がなり、涙を拭いて電話に出る。
「……はい」
「瑞!すぐ来て!!」
友達の千尋からだった。
「拓哉が事故った!!」
事故った……?
嘘。
だってさっき普通に話してて……
何で……
「何で!!」
私はすぐに病院へ駆けつけた。
「拓哉っ!」
病室に入ると、元気にはしゃいでいる拓哉の姿。
「ぇ…」
急に力が抜け、その場に座り込む。
「あ、瑞!」
千尋がそれを支える。
「……拓哉……無事、だったの?」
そう拓哉を見上げた。
「え……ねぇ……この人、誰」
返ってきたのはそんな言葉だった。
「……え?」
病室にいた千尋達がざわつく。
「な、何言ってんの?この子は瑞だよ?記憶喪失?」
千尋が私を立たせながら拓哉に問いかける。
「は?何言ってんの。正常だっつの、千尋だろ?伸之に晴香に志穂、智に向井。パーフェクト♪」
拓哉は私の存在だけ消していた。
もう傷つけたことを謝ることすらできないのだ。
ー次の日
「はよー」
拓哉は擦り傷だけだったらしく、いつもどうり元気に登校していた。
だけど…
「拓哉……瑞のところに来ないね」
半年前に戻っただけ…
それだけ。
千尋の言葉をそう片付けた。
ードンー
「あ、悪い」
ふざけて遊んでいた拓哉が私の机にぶつかる。
と、ひょうしに筆記用具が落ちそうになるのを、拓哉が間一髪で止めた。
「あっぶねー……」
「あ、ありがと。拓哉」
「こっちこそごめん、三浦さん」
……一瞬『三浦』って誰だと思った。
「おーい拓哉っ!」
「おー、今行く!」
目もあわさずに駆け出す彼の背中が、はじめて…
遠いと思った。
━━月日は二カ月経ち、だけど尚、拓哉の記憶は戻らないままだった。
「そういえば……拓哉、彼女できたらしいよ!」
「え!?マジで!?瑞のこと好きだったんじゃないの?」
「瑞の記憶だけ二ヶ月前の事故でなくしたんだって……」
教室にいた女子達の話が耳に入る。
「はぁ?何そのドラマチックなシナリオ……」
「ま、いんじゃない?瑞、相手にしてなかったし」
……拓哉に彼女。
好きだよ、と言う拓哉の顔が頭に浮かんだ。
いつもふざけてたけど、拓哉は私を見てくれてた……
これは……そんな拓哉を傷つけた、罰だ。
いても経ってもいられなくなり、私は『あそこ』へ向かう。
「え!?瑞!?どこ行くの!」
「展望台!!」
拓哉が事故にあう前、話していたパワースポット。
神様、お願いです。どうか。
━━展望台についた私は息を大きく吸う。
「拓哉を返してくださぁああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!」
拓哉から私を消さないでください……
今頃『好き』と気づくなんて。
「声でけぇ」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「拓哉」
そこには爆笑している拓哉がいた。
「だっはははっ!おまっ!デカすぎ」
ぽかんと拓哉を見つめる。
「ってかさぁ……何で一人できてんの?あんなに誘ったのに」
『あんなに誘った』って…
「拓哉……記憶」
私がそう言うとバツが悪そうに下を向く。
「あー……ごめんなさい。記憶喪失とか嘘デス」
「はぁ!?」
「いやいやいや!ごめんって!!怒らないで?タマちゃん」
「何……で……」
いつもどうりの拓哉に涙が溢れる。
「何で……嘘なんか……ついたの」
「……俺がタマのこと忘れるわけないじゃん」
抱きしめられて拓哉の香水の香りに包まれる。
「俺に好きって言われることで、タマが傷つくんなら……事故利用してタマを忘れたフリをしてずっと片思いでいいかなぁと思ったんですよ」
ポンポンと背中を叩かれ、わざとらしく敬語で話す拓哉。
「でも、彼女できたって」
「はぁ?誰がそんなこと言ったんだよ」
『俺はタマだけだっつの』
そう拗ねたように呟く彼を愛しく思った。
そっと抱きしめ返す。
私が彼に想いを伝えるのはそう遠くない話。
私が勇気を出して言ったときはちゃんと受けとめてよね…?
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
- Re: 恋芽生え、愛が咲く。〜短篇集〜 ( No.2 )
- 日時: 2017/04/02 23:55
- 名前: 珠紀 (ID: v2e9ZzsT)
『愛しの神様』
藤田亜依佳 Aika Fujita
学春 Haru Manabu
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は小さい頃から持病があった。
それは今でも治らないままで、学校なんてきちんと行ったことなんてない。
外の世界なんて知らない。
私は『鳥籠の鳥』ー…。
だけど、そんな私が絶望で埋め尽くされなかったのはかけがえのない存在があったから。
「亜依佳!寒い!暖めて!」
病室の扉を荒く開けられたかと思うと急に抱きつかれる。
「冷たっ!…外こんなに寒いんだ」
そのかけがえのない存在というのは彼のことだ。
「うは~……亜依佳、あったけ……」
私は彼の身体を抱きしめ返して、クスリと笑う。
「……ん?」
「なんでもなぁい」
「そ?あ、はい写真」
春が写真を差し出す。
春の夢は『カメラマン』だ。
私の病室にくるたびに、外の景色を撮って持ってきてくれる。
春が病室に来るのと同じくこれも私の楽しみである。
「わぁ……ツリーだぁ」
写真に写っていたのは大きなクリスマスツリーだった。
そう、今日は二十四日。
クリスマスイヴだった。
「見たいなぁ」
「明日、行く?」
私の呟きに、春は嬉しそうに返す。
「俺も亜依佳と見たいし」
「あ……でも……」
私には外出許可は出ない。
……一生。
「ごめん……行けない」
春は私に何でもしてくれるのに……
私は何もしてあげられない。
「そっかぁ。じゃあ来年までの辛抱だな」
え……
「は、春!春は行っていいんだよ!?別に私にあわせなくてもっ」
「はあ?…誰と行けってよ、カップルのイベントなんだから亜依佳がいねーと意味ないし」
春……ごめんね。
私はみんなが出来ることもあなたにやってあげられない。
力強く春に抱きつく。
「……?どした?」
「何でもない」
約束さえも守れないんだから。
…***…
「亜~依佳」
「あれ?今日、学校終わるの早いね」
「サボった」
ーゴチンー
「ひでーよ!殴るなんて!」
「もぉ…サボりなんてダメでしょ?」
思いっきり叩いた頭を春は抑えつけて恨めしそうに私を見つめる。
「だって、会いたかったし」
ポツリと呟いて、彼は背中を向けてしまった。
……拗ねた……。
「……は……………っ!」
春の名前を呼ぼうとしてその声が途絶える。
……発作。
「亜依佳?」
異変に気づいたのか春は私の方に駆け寄った。
「先生!」
運良く先生が通ったために、私は落ち着いた。
けれど……春は先生に連れて行かれてしまった。
きっと、『あのこと』だ。
━━十分経って春が帰ってくる。
案の定、春の顔は青白く怒りを露わにしていた。
「心臓の手術……成功率三十%……手術しないと後一年」
ポツポツと喋り始める春。
「……っざ……んな」
「……」
「……っ……ふざけんなよ!!なんで……っ!なんで黙ってたんだよ!!」
「手術しなければ一年も一緒にいられる!」
春の怒鳴り声に重なり私の声が響く。
「私は……少しでも春と一緒にいたい」
「一年しかいられない」
春に睨まれて、身体が震える。
「……じゃあ三十%に賭ければいいの?死ぬのは私なんだよ!?……っ無責任なこと言わないで!」
嫌だ……イヤだ……
離れたくない。
まだ生きて…春のそばにいたいのに……
「ただ……一緒にいたいだけなのに……」
涙が手の甲に落ちた。
そっと春に抱きしめられる。
「亜依佳……聞いて。俺は、亜依佳以外を好きになることなんて有り得ない」
「え……?」
「残りの七十%。俺は一生亜依佳を好きでいる……これで百%だ」
そう話す春の身体は震えていた。
声もかすれて泣いていた春の姿をみて私は首を大きく縦に振った。
━━手術当日
「春君、来ないわねぇ」
手術二十分前。
もう準備しなきゃいけない時間なのに春はまだきていなかった。
もし……このまま会えなかったら……
そんな考えが頭をぐるぐると回る。
「亜依佳!」
春の声が響いた。
声の方を振り向くと息を切らした春の姿がある。
「ま、間に合った……これ」
「お守り?」
「そ、これ買ってたら遅くなった」
二ヒヒと笑う春の顔を見てほっとする。
「ありがと……」
「うん」
そう言って春の見送りを背に、
私は手術室へと向かった。
…***…
「ん……」
目を覚ますと、そこは見知った天井。
「亜依佳!」
お母さんに抱きしめられ朦朧としていた頭が再起動する。
成……功……?
私は飛び起きて春の姿をさがす。
だけど、どこにもいなかった。
「春は……?」
「亜依佳……落ち着いて聞いてね」
なに……この雰囲気。
春は?どこなの?
「春君はあなたの所に向かってる最中に事故にあって……」
『即死だって』
一瞬、頭の中で何かが粉々に割れた音がした。
嘘だ。
そんな……だって……私の所に来たじゃない。
春がいないんなら、何で……
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!!何で!?何で!?手術成功したのに!!!!」
どうして私を生かしたりしたの。
やっと春と未来を歩けると思ったのに……
「やっと……春、と……っっ」
ーカサッー
何かに手があたりそれを拾い上げる。
「手紙?」
『いつまでもメソメソしてたら許さねーぞ!』
春からだった。
そこにもう一つ……
私と春が写っている写真。
「は……る……」
死んでも尚、春は私の心配をしちゃうんだ。
本当……春にはかなわない。
「ありが、と……」
そう呟いて私は写真を抱きしめた。
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
- Re: 恋芽生え、愛が咲く。〜短篇集〜 ( No.3 )
- 日時: 2017/04/03 22:20
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
こんばんはー!
珠紀さん(今度からこちらの名前で呼ばせてくださいm(*_ _)m)の新作!!……しかもしかも恋愛ものだし、短編集!!
……新鮮な香りと共に、素晴らしい作品の香りが漂っている……!!と、1人興奮しながら作品を閲覧させて頂きました♪
「君の存在」では、もうとにかく拓哉くんの瑞ちゃんに対する一途さにキュンキュンしまくってました←
記憶喪失……これから先どうなっちゃうんだろう、と不安になりながら読み進めていたら記憶喪失になっていなかったという展開にホッとしつつもキュンキュンが止まりませんでした(*´▽`*)
いいなぁ、もうこんなに誰か1人を好きでい続けられる拓哉くんも、こんなにも好きでいてくれる人がいる瑞ちゃんも本当に素敵です(o´艸`)
「愛しの神様」では、最初春くんの名前を『学春:がくしゅん』と呼んでしまって……笑←
横のローマ字見て( ゚д゚)ハッ!ってなりました( ̄▽ ̄;)
私は今まで、亜依佳ちゃんみたいに……とまでは行かなくとも、入院生活をしたことがないので、あくまでも想像の範囲なのですが、ずっと病院の中にいるのは本当に籠の中に閉じ込められている、表現に合っているなぁと個人的にすごく思いました。
亜依佳ちゃんが助かったと同時に、いなくなってしまった春くん。
これから亜依佳ちゃんには強く生きて欲しいですし、春くんにも見守っていて欲しいものです(*´ω`*)
すごく素敵なストーリーで、どっちも大好きです!
これからも頑張ってください( ̄^ ̄ゞ
byてるてる522
- Re: 恋芽生え、愛が咲く。〜短篇集〜 ( No.4 )
- 日時: 2017/04/05 20:19
- 名前: 珠紀 (ID: v2e9ZzsT)
〒_てるてる522様
こんばんは!
こちらもご覧になってくださりありがとう御座います。
とても嬉しいです(´;ω;`)
し、新鮮でしょうか。
ちなみに、この作品は旧コメライからのリメイクになっております。
二つの作品共に、ご感想ありがとう御座います!
当方、一途な男の子が大好きなので一途系男子が多くなるかと思います。
それと、とてつもないヤキモチ焼きが大好きです。それもいずれ書けたらいいなと思ってます。
また、てるてる522さんの小説にもお邪魔させていただきますね。
_珠紀
- Re: 恋芽生え、愛が咲く。〜短篇集〜 ( No.5 )
- 日時: 2017/04/06 15:41
- 名前: アリン (ID: qlQjtvRq)
アリンと申します。
以後お見知り置きをm(_ _)m
お話読ませていただきました!
特に『愛しの神様』が心に響きました。
最後は「よし、二人はハッピーエンドだね。おめでと〜」と軽く思いながら、最後を読んでいたのですが衝撃を受けました。
まさか、春は死んでしまっていたのですね。
その部分を読んで、あまりのショックに涙が出てきました。
あの時に来てくれた春はまだやり残したことがあって戻って来たのかもしれないな、と勝手に解釈しました。
違ったらすみません。
『最後には驚かされる』
珠紀様はそれを書くのが凄く凄く上手い人だと思いました。
長々となってしまいましたが、次の話も楽しみにしてます(*´∀`*)
アリン
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