コメディ・ライト小説(新)
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- ショートストーリー書きます‼ リク受付中‼
- 日時: 2018/05/05 23:48
- 名前: 蕪木 華音 (ID: meVqUFl1)
どうもこんにちは、蕪木 仲沙です。
今回は私の小説を書く力を付ける為にこれを建てました。
リクエスト募集中です!
〜リクエスト表〜
1.ジャンル(ラブストーリー、コメディ、グロ、サスペンス、世界問題系 など……複数回答可)
2.NGジャンル(ラブストーリー、コメディ、グロ、サスペンス、世界問題系 など……複数回答可)
3.キャラの数(男1女1、男2女1 など……書かなくてもかまいません)
4.概要(高校生設定、孤児院でのお話、友人もの など……何でも可 書かなくてもかまいません)
5.私(作者)に頼みたい事(キャラの名前は○○って言う名前がいい、このキャラの性格を○○にして欲しい、ハッピーエンド など……何でも可 書かなくてもかまいません)
リクエストする時は必ず1と2は書いて下さい。
主に小説になりますが、俳句や和歌にしたい場合は5の所に書いて下さい。
リクエストしてから完成するまで時間がかかります。ご了承下さい。
出来た作品がリクエスト通りにならなかった場合は、作品を上げてから1週間以内に言って下さい。書き直します。
誤字脱字は見つけた場合すぐに言って貰えると嬉しいです。
リクエストよろしくお願いしますm(_ _)m
出来た作品
リクエスト
- Re: ショートストーリー書きます‼ リク受付中‼ ( No.15 )
- 日時: 2018/06/13 23:17
- 名前: 蕪木 仲沙 (ID: jBbC/kU.)
桜田 遥
優しい 絵が上手い 背高い
母親を病気で亡くした遥は、父親から暴力を受けていた。
5歳 孤児院に入る。
10歳 濫と会う。
17歳 濫と別れる。
19歳 孤児院を卒業。大学で美術科に入るが、友人関係で悩み退学。
20歳 一人暮らしを始める。濫と会う。
21歳 今ここ!
永咲 濫
サバサバしている 生徒会所属
6歳 両親を交通事故で亡くす。孤児院で遥に会う。
13歳 貰い手が出来る。
16歳 高校生。遥と会う。
17歳 今ここ!
----------------
次回、土高さんからのリク《GL系》は7月7日辺りに支店1にて投稿したいと思います。
次回は初めて書くGLなので頑張らせて頂きます。
リク、お題受け付け中です!
感想もくると嬉しいです!
よろしくお願いします!
- Re: ショートストーリー書きます‼ リク受付中‼ ( No.16 )
- 日時: 2018/06/13 23:28
- 名前: 森山 雪 (ID: lFvCr/Ox)
最後、泣いた…。
表現力が凄い…!!感動した(泣)
着替え中の「ど、どうしたの?!藍ちゃん!」で安心した…。
「もうそろそろだ」からが、もう、涙腺崩壊…。遥さん、紳士すぎる…。あのなくなる間際の告白がもどかしくって切なくって、涙が…。
とにかく、凄かった。
- Re: ショートストーリー書きます‼ リク受付中‼ ( No.17 )
- 日時: 2018/06/14 13:50
- 名前: 玲音 (ID: .Vo2i2Gg)
>>0
面白い事してますね
(関係ないことかいてすみません)
- Re: ショートストーリー書きます‼ リク受付中‼ ( No.18 )
- 日時: 2018/07/08 00:57
- 名前: 蕪木 華音 (ID: jBbC/kU.)
<嘘の裏>
小さい頃から、嘘を吐くことが得意だった。
嘘と言っても人を苦しませる嘘や悲しませる嘘では無い。
楽しくなる様な嘘。
面白い嘘。
嘘を吐いて後悔した事もあるし、笑えた事もあった。
そんな嘘吐きな私は____。
朝、蝉の音で目を覚ました私。
朝練の部活があると言うのに寝坊をした事に気付き、朝ご飯もろくに食べないまま、学校に向かって走っていた。
3年間使ってきた、高校の制服もシワがあるし、髪の毛は寝癖つきっぱだし……。
もう、最悪!
ものすごく苛立っている私は、怒りをエネルギーにしてとにかく走った。
私の名前は、『有川 成海』。
ほとんどの人が読めると思うけど、『ありかわ なるみ』と読む。
赤色の眼鏡をかけており、かなり視力が悪い私。
_____現役JK、つまり高校生!
大学受験をしなくちゃいけない、高校三年生なのに……この部活!
私は吹奏楽部に入っている。
そのため、10月近くまで部活があるのだ。
普通の部活なら、7月位_____つまり今頃、三年生は退部出来るのに……。
まぁ……コンクールとかあるから仕方ない…。
吹奏楽部、楽しいし……それを知った上で部活に入ったんだから!
しっかりしろ!私!
学校にやっとついたと思えば、部活の朝練はすでに終わっていた。
「遅。俺、『今日朝練ある』って言ったよな」
「サ、サーセン……」
部室に入った途端、黒い楽器を持った男子_____佐田 哲に叱られた。
「けど…めっちゃ急いできたんだよ!でも、なんか色々あって……」
必殺!言い訳技法!
と思ったけど_____良い言い訳がみつからない……。
私がごにょごにょと言葉に詰まっている時にも、哲は冷たい目で見てきた。
こんな態度をしている哲と私は幼馴染で、パートが同じだった。
私はクラリネット。
哲はバスクラリネット。
パートが同じと言う事は、練習する時の部屋も同じ、と言う事。
パートが決まった時には……『なんでぇ』と思った。
…今でも思うんだけどね……。
「おはよう、成海」
そう声をかけてきた人を見ると、私の心臓が高鳴った。
「お、おはよう。紫蘭」
永咲 紫蘭_____吹奏楽部の同い年でフルートパートの女の子。
紫蘭と言う珍しい名前を持っていて、その名の通り、可愛いし性格も良い。
私が男なら、絶対に彼女にしたいタイプだ。
いや、私が女だとしても彼女にしたい……。
い、いや、今のは冗談!
それほど紫蘭の性格が良いの!!
「成美、こいつになんか言えよ。また、朝練あること忘れていたんだぜ」
哲が口を挟む。
私、哲、紫蘭の3人は同じクラスだ。
けど……けど!
なぜ今それを言う!!
紫蘭には、言うなよ!!
「またかい?成美。そろそろコンクールも近いんだから、しっかり部活来てね?」
紫蘭、優しい…。
『またかい?』って言う、紫蘭も可愛い……って、そうじゃ無くて!
「ごめん…紫蘭。全部、哲の責任」
「っオイ!」
紫蘭に嫌われたくなくて、哲をネタにテキトーな嘘をついた。
まぁ……哲に後で、めっちゃ怒られたんだけどね……。
「あ。私、楽器置いてくる」
「俺も置いてくるよ」
話している間に結構、時間が経ってしまったようだ。
紫蘭と哲は手に持っている、それぞれの楽器をケースにきちんと入れて、部室の隣にある小さな部屋_____楽器庫に、楽器を置きにいった。
その間、朝練に参加していない私は部長に叱られたり、後輩に『私みたいな先輩になるなよ』と言って、哲と紫蘭_____正式に言えば、紫蘭を待っていた。
「お待たせ〜。じゃ、行こっか」
紫蘭が楽器庫から戻って来て、私にそう言う。
「行くか」
「哲、遅い」
楽器庫から少し遅く戻ってきた哲に、そう言えば「なんでだよ!」と言われ、私は笑った。
一緒に紫蘭も笑ってくれて、とても嬉しかった。
「うぁっ!チャイム鳴った!」
一階にある部室から、三階にある教室に向かっている時にチャイムが鳴ってしまった。
3人共、ダッシュ!
生活指導の先生に『廊下は走るな!』って言われたけど、走らなきゃ遅刻になるもん!
チャイムが鳴り終わるまでの勝負だ!
「有川、佐田、永咲の3人は遅刻だな」
教室に着いた時には、チャイムが鳴り終わり、担任の先生が出席簿を書きながら私達3人にそう言った。
「えーー!」と言い返す私を、紫蘭が「まぁまぁ」となだめる。
哲は特に何も言わない。
「『えー』じゃ無い。次の授業、始まるぞ!」
担任に軽く叱られた後、私達は解放されて教室にある、自分の席に座った。
やっと4時間目が終わった。
さぁ!お楽しみのお昼ご飯!
「紫蘭〜!学食、一緒に食べに行こう!」
もちろん、紫蘭と。
「良いよ。あ、哲も誘って良い?」
哲……あいつと食事して楽しい……?
ま、紫蘭が良いなら。
「OK!よし、哲はどこに……」
さっきから哲が見つからない。
あいつ、授業にはいたのに……。
「あ、またいつもの場所かも……」
紫蘭が声を出した。
いつもの場所って……あそこか。
バァッン!
「哲!」
私が思いっきり開けた扉は、吹奏楽部の部室。
そこにはバスクラリネットを吹いている、哲の姿があった。
「なんだよ」
哲が楽器を口から離して、そう言った。
哲は昼休みになると、部室に来て楽器を吹いている。
「いや、お昼になったから一緒にご飯食べようぜ」
私は男子っぽく言ってみた。
私の後ろには紫蘭がいる。
紫蘭に『男っぽい』って思われたかな……。
そんな事を少し考えてみた。
「俺は特に良いから。お前等で食ってこい」
うーーー。
つまんないな……。
「じゃあ、私達はここで食べる?」
私は紫蘭にそう聞いてみた。
さすがに私達がここで食べ出したら、哲も食べるだろう。
「うん、いいよ」
紫蘭も私の気持ちを、分かってくれたみたい。
「じゃあ私、軽食買ってくるよ」
私はそう言うと、部室を飛び出した。
「おまたせー!」
5分位で部室に着いた。
私の腕にはカロリーメイトやらのお腹にたまる、軽食がある。
「ごめんね……成海に買いに行かせちゃって……いくらだった?」
紫蘭がお財布を持って私に聞く。
「本当は紫蘭に払わせたく無いんだけど……金銭不足だから……」
と、私は言ってから値段を言った。
「__________」
高かったらしくて、楽器を吹いていた哲が笑った。
なんか悔しい。
あ、ちゃんと紫蘭は割り勘で払ってくれました。
カロリーメイトを食べながら、私は紫蘭を話をしていた。
「クラリネットの後輩はどう?」
紫蘭が聞いた、その質問に私は少し落ち込む。
「私の教え方が悪いのかな……上手くならない……」
後輩は悪く無いのだ。
悪いのは私。
でも……どう教えたらいいか分からなくて……。
そんな私を紫蘭はなぐさめてくれる。
「大丈夫だよ。哲とか私に頼っていいからさ!きっと、後輩も上手くなるって!」
紫蘭の心遣いが嬉しい。
紫蘭と話すと元気が湧いてくる。
「頑張る!」
私は紫蘭と話せるだけで幸せだ。
グルグーっ!
そんな、お腹が鳴る音が部室に響いた。
私と紫蘭はお昼を食べている……ってことは……
「すみません……俺です……」
空腹に耐えられなくなった哲が、手を上げて言った。
哲のその行動が面白くて、私はケラケラと笑った。
「はい、哲。言っとくと、おごりじゃ無いから」
紫蘭からカロリーメイトを貰った哲は、楽器を机の上に置いてから、食べ始める。
……お腹、空き過ぎだろ……。
それほど、哲の食べるスピードは早かった。
「そう言えば、修学旅行近いね」
紫蘭が突然、声を出す。
私達の高校では3年生になると、修学旅行で京都に行ける。
正直、一番楽しみな行事だ。
「え、修学旅行っていつ?」
私が冗談でそう言えば哲は、
「はぁぁぁ?来週だよ、来週」
と馬鹿にした様な言い方をされる。
「冗談に決まってるだろ!このアホっ!」
その言葉がきっかけに、哲と取っ組み合いが始まった。
ふぅ〜〜〜。
やっと授業、終わった!
あとは部活だけだ!
部活には、紫蘭もいるし……。
_____昼休みの取っ組み合いは、紫蘭がなんとかしてくれた。
けど、また授業遅れちゃったんだよな……。
私は別に良いんだけど、紫蘭は成績とか……下がっちゃうから、気にしてるよね……。
「本当にごめん!紫蘭!」
「ふぇ?!な、何が?!」
_____急すぎだよ……私……。
「え、あ、いや……。さっきは授業遅れちゃって……。本当にごめん……」
私が改めて言えば、紫蘭はニコッと笑って、
「大丈夫だよ。成海が気にすること無いって」
と優しい口調で言ってくれた。
「そこの指はこうだから……」
吹奏楽部の部活が始まった。
私は今日、1年生の指導。
教え方が下手な私だけど、さっき紫蘭と話して、何かあったらとりあえず紫蘭か哲に頼ろうと思う。
同じパートである、バスクラリネットの哲も、フルートパートの紫蘭も放課後練習の時は同じ部屋でできる。
1つの部屋に部員全員がいたら、音聞こえないしから、似たような楽器が同じ部屋になっている。
「うん!出来てる、出来てる!上手くなったねぇ〜」
私が1年生に言うと、その1年生は嬉しそうな顔をしてくれる。
嬉しいな……。
こっちに気づいた紫蘭も『良かったね!』と口を動かしてくれてますます嬉しくなる。
………紫蘭は見てくれてたんだ……。
「やっぱり、哲とは違うね〜」
馬鹿にされたとも知らずに、哲は1人黙々と楽器を吹いていた。
こういう真面目さが女子に好かれるんだろうな……。
あ、哲って結構モテる奴です。
やっとこさ、部活が終わっていつもの3人は帰り道。
私はずっと座ってて、怠けた体を伸ばした。
「ふぁ……終わった、終わった」
あ、ちょっと眠いかも……。
「毎日、何時間睡眠?」
こういう事に気遣ってくれる紫蘭は凄く、目配りが良いんだと思う。
「う……えっと……9時間位……」
これは嘘だった。
「めっちゃ寝てんな」
哲の冷静なツッコミに私達は笑った。
やっぱり、嘘でも良いから紫蘭が笑ってくれる方が良い。
紫蘭の笑顔って可愛いし……。
あ、いや、別にそう言う事じゃ無い!
す、好きって事じゃ無くて……。
「どうしたの?成海」
少し、心の葛藤があって悶えていた私に紫蘭は聞いた。
「あ……いや……別に」
少し焦りながら笑った私に、紫蘭はニコッと笑って、
「そっか!」
と答える。
紫蘭_____可愛い。
家に着き、夜ご飯を食し、お風呂に入って、軽く勉強したら、もう24時。
もっと、やりたい事があったんだけど……時間が無い。
「ま、これが運命と言う奴やな」
謎の中二病と謎の訛りを言い、私は布団に入った。
_____これで6時に起きれば、6時間睡眠か……。
やっぱり、嘘をついている。
朝の部室_____これ、紫蘭が見たら困るよね……。
そんな思いを若干抱く。
だって後輩の迷惑になると分かっていながら大声で、
「ヨハン・セバスティアン・バッハ!」
「フランツ・リスト!」
などと叫ぶ、哲と私がいたから。
『今日は遅刻しない』と頑張って朝練に早く来た私は、1番乗りの哲を見つけた。
哲はいつもの様に楽器を吹いていて、時々楽譜を見たり。
それは別に良かったんだけど、哲が吹いている曲が私の知っている、クラシックの曲になった。
私はその作曲者も知っていたから、思わず哲に言っちゃって、哲が「は?ちげーし。ラヴェルだよ。ラヴェル。分かるよなん」と言い、キレた私が「そん位知ってるし!」と言えば哲は「ふ〜ん」とあっさり返した。
その哲に腹が立ち、私は「じゃあどっちが、クラシックの作曲家の名前を知ってるか勝負しろ!」と言って_____今に至る。
「リヒャルト・ワァーグナー!」
「フレデリック・フランソワ・ショパン!」
ちなみに大声で言う必要は無い。
「おはよ〜、ってうわっ!何してるの?大声で叫んで」
伸びやかな紫蘭の声が私に向かってると思うと、大声で叫んでいる事が恥ずかしい……けど……。
「ピョートル・チャイコフスキー!」
「テクラ・バダジェフスカ!」
この勝負、負けられないんだ!
「後輩の邪魔になるからやめようねー」
紫蘭の穏やかだけど、迫力を持った一言で、私と哲の争いは幕を閉じた。
_____あっさりとした幕引きだったな。
_____ふっ……まだ、終わらないぜ……。
哲と目が合い、そんな会話を交わす。
私、がっつり中二病じゃん。
これも、幼馴染だからなのかな……。
紫蘭と目で会話出来たら良いのに……。
そんな事を不意に考えた。
-----------------------------------------------
待ちに待った_____修学旅行!
高校3年生のいっちばん、楽しみな行事!
それが明日だぜ!
2泊3日の自由行動が6時間!
班は_____私、紫蘭、哲の3人!
って、なんでこのメンバーになったんだ!
がっつり、吹奏楽のメンバーじゃん!
いや、良いよ。紫蘭は。
問題は哲。
自由行動のコース決めの時に分かった。
_____こいつ、めんどくせえ!
観光スポットを調べて来るのは良いよ。
けどわざわざ、京都全部のバスや電車の時間を調べるか?!
そん時、そん時で良いじゃん!
…あ、そん時、そん時も駄目だ……。
と、とにかく、哲はめんどくさかった。
そして本日、修学旅行1日目!
新幹線で京都まで、一気に!
「いや〜、朝早かったからと言っても、なんで寝てんの?」
ここは新幹線の中。
私の隣には紫蘭、紫蘭の奥には寝た哲。
新幹線に乗り、京都へと出発したと思えば、哲はすぐに寝た。
『……楽しみ過ぎて、寝られなかった…。着いたら起こして……』
楽しみ過ぎて、寝られなかった…とか……子供か!!
「まあまあ、哲も半分は子供だから」
隣にいる紫蘭がそう言う。
まだ大人になれていない私達は、子供でも無い。
けど子供でいたいし、大人でいたいのだ!
「私達はどうする?」
紫蘭が聞く。
何しようか…….?
「ト、トランプとか?」
私は言った後に『トランプって……普通過ぎるだろ……!』と後悔したが、紫蘭はそんな事気にせずに、
「良いね!じゃあ、スピードでもやる?」
と言ってくれた。
スピードとは、トランプを使って2人で遊べるゲームの事。トランプを赤と黒の2つに分けて、数の並び順にカードを出していって、先に手持ちのカードが亡くなった方が勝ち!
短期間で遊べるゲームで、反射神経や瞬時の判断力をフルに使って遊ぶゲーム!
「うん!やる!」
私がそう言えば、紫蘭はリュックからトランプを出して、シャッフルをした。
紫蘭のシャッフルが素早くて、綺麗でつい見惚れてしまう。
紫蘭………可愛いなぁ……。
「うわっ!負けた!」
1回戦、私は途中まで勝っていたのに、最後の方で負けてしまった。
嘘じゃない。本当に紫蘭は強かった。
「紫蘭強い……」
私がそう、残念そうに言えば紫蘭は誇らしげに、
「お兄ちゃんとも良くやってるからね」
と語る。
そう言う紫蘭は、とても楽しそうだった。
「そろそろ京都に着くので、降りる用意をしてくださーい」
学級委員の声が聞こえ、私と紫蘭はトランプを片付けた。
スピードの結果、私が1勝9敗。
紫蘭が9勝1敗。
「うう……負けた……」
「ふふふ」
悔しがってる私に紫蘭は不敵な笑みを浮かべる。
_____そんな紫蘭もかっこいい……。
女子に人気の哲より、紫蘭の方がかっこいい……!
それはやっぱり……紫蘭が…す、じゃ無くて……えっと……良い人だから!
「起きろー、哲」
私の気持ちを気にせず、紫蘭は寝ている哲を揺さぶった。
「う……今、起きた……」
そう言いながら、哲は起きた。
ちょっと寝ただけなのに、哲の髪は寝癖が付いていて、面白かった。
「え……?もう京都……?」
こいつは寝過ぎて、アホになったのか?
「はいはい、ここは京都ですよー」
と、私が言えば哲は、
「……ふぉーー……」
とかなり小声だけど、奇声をあげた。
え?なにこいつ。
普通に怖いんだけど。
「いや〜……ワクワクしない?なんか」
哲の口から『ワクワク』なんて言葉が……。
普段、無茶苦茶めんどくさい奴がそんな事言ったら、ビビるだろ!
「そうだね〜。けど、人多そうだよ」
紫蘭が外を見ながら言った。
げ……人多いのか……。
私、人混みで酔うんだよなー……。
そんな私の思いも、紫蘭を見たら吹き飛んだ。
……うん、紫蘭がいれば大丈夫かな。
新幹線が京都に止まり、私達は新幹線を降りた。
「京都にー着いた!」
テンションが上がって、重たいリックを持っていても、なんかピョンピョンしたい感じ。
そんな私も微笑んで見てくれる、紫蘭。
少し恥ずかしさもあったけど、紫蘭が私の事を見てくれているだけで、嬉しくなった。
ここから班行動で宿まで16時に着けばいい。
今の時刻は13時。
寄り道_____若干の観光は構わない、と先生も言っていたから。
って事で!
「観光と言う名の寄り道に行くぞ!」
私が張り切ってそう言えば、紫蘭はマップを出してくれて、哲は『修学旅行のしおり』を出して行く予定の場所をチェックしていた。
「始めは俺が行きたかった、『東大願寺』に行くぞ!」
東大願寺とは何なのか、今だによくわからないけど、とりあえず哲と紫蘭に着いて行けばいいよね!
「おーー!」
そんな掛け声が紫蘭とハモり、2人で笑った。
哲と地図を持った紫蘭に着いて行き、着いたのは、なんかスケールの大きい寺がある場所。
「って言うか、めちゃくちゃ駅から近いな!」
京都駅から歩いて15分位。
それまで同じクラスの人や、少し迷ったりしたけど、なんか京都って感じがして、やっと実感が湧いてきた。
「東大願寺は真宗大谷派の本山の通称。正式名称は『真宗本廟』。この春に大改修をして圧倒的なスケールを誇る、東大願寺本来の姿を見れるようになったんだぜ」
「………ふ、ふ〜ん……」
だ、駄目だ。
哲の言っていることが理解できない……。
「ま、要するにこの寺にも色々あったのよ」
紫蘭のめちゃくちゃ短縮した言葉を聞いて、哲は黙っちゃったけど、私は「そう言うことか!」と言って笑った。
寺の内部まで見てみようかと思ったけど、開門が17時頃だから無理なんだと。
「そんな……」
あんまりここの寺は調べて無くて、落ち込んでいた哲だけど、私としてはよく分からない所にいるのは嫌だったので、「良かった〜」と言う言葉が口から思わず出た。
哲にめっちゃ睨まれたけど。
その後も後輩のお土産を買ったり、写真を撮ったりなんなりをして、気付けばもう15時45分。
ヤバい、ヤバい!
宿に着く時間が16時なのに、ここから間に合うの?!
「あともう少しで来るバスに乗ればギリ、間に合うから走るぞ!」
哲はそう言いながら、100m近くのバス停を指差した。
「え?!本当?!」
紫蘭からそんな声が出た。
私は運動が得意な方だ。
けど紫蘭は苦手と言っていた。
だから極力走りたくないんだ。
「とにかく走れ!」
哲はそんな紫蘭にお構い無しで、走り出した。
私も紫蘭と少し目を合わせて_____紫蘭と一緒に走り出した。
哲は速い。
けど紫蘭は少し遅い。
「紫蘭、リュック俺が持つ!」
哲が紫蘭のペースまで落として、紫蘭の隣に来ると紫蘭のリュックを取り、肩にかけた。
哲はこう言う所にも気遣いが出来る。
………私には、して貰ってないっすよ!哲さん!
そんな思いを若干抱きながら、私は走った。
「はぁ……はぁ……」
な、なんとか間に合った……。
バス停に着いた私達は、お互いの顔を見合わせて笑った。
哲や紫蘭の火照った顔を見て、「楽しかったな」と言う感情が湧いて来る。
「あ……はい。これ紫蘭のリュック」
哲が肩にかけていた紫蘭のリュックを紫蘭に渡す。
「あ、ありがとう。持ってくれて」
紫蘭がそう言った。
リュックは重い。
洋服とかは入ってないけど、教材や水筒が入っているから、とても重い。
けど哲は自分の分と紫蘭のリュックを_____。
重さは2倍だ。
なんだ。哲、結構良いとこあんじゃん。
「なんだよ、こっちジロジロ見てきて」
哲が私の視線に気付いて、そう聞いた。
「ううん〜なんでも無い〜」
私がニヤニヤしながらそう言えば哲は、
「え?_____キモいぞ」
と言ってきた。
前言撤回。
やっぱりこいつは優しくない。
あの後、私は哲に蹴りを入れた。
そしたらすぐにバスが来て、私達はバスに乗る。
バスの中には他のお客さんがいて、あんまり紫蘭とは話せなかったけど、紫蘭の目と私の目が会う度、私は嬉しくなった。
「これから3日間お世話になる、宿の人達です。しっかりと挨拶をしましょう」
やっとバスが宿に着き、急いで生徒達が集まっている所に行ったけど、少し間に合わなかったみたい。
「おい!そこの3人!遅れたなら、後で説教だからな!」
そんな先生の声が私達の耳に、よく通った。
先生にたっぷり叱られた後、私達は割り振られた部屋に紫蘭と行き、荷物を片付けてからお風呂に行った。
あ、紫蘭と私以外にもこと部屋にはあと4人、クラスメイトの女子がいます。
哲は男子部屋。
「ふぅ……気持ち良かったね〜」
湯船から上がって、私達は着替えていた。
紫蘭と湯船に入るってなんか新鮮だっけど……。
あっと、私は変態じゃないからね!
「今日、結構疲れたからね〜」
着替え途中の紫蘭がそう言った。
そうだな……今日は何かと、走ることが多かったし……。
「でも、紫蘭と一緒にいて楽しかったよ」
私の小さな呟きは紫蘭に聞こえただろうか。
さて!
お風呂の次は晩御飯!
私と紫蘭はさっさと着替えて、ご飯を食べる部屋に向かった。
「よっ。紫蘭と成海」
私達と同じ様にお風呂に入ってきた哲がそう話しかけてきて、班ごとの席に座った。
哲と反対側の椅子に私達も座る。
「…………」
特に話す事も無くて、珍しくこの反班が静かな感じ。
運ばれて来る食品はどれも美味しいそうで『いただきます』をした後、私達は大きく口を開けて食べた。
「………っ!」
料理一つ一つが美味しくて驚きだ。
「あのさ」
私の食べた食品が少なくなってきた頃に、哲がそう声をかけた。
「何?」
紫蘭がそう聞けば哲は困った様に、
「この後、自由時間あるだろ?その時に俺達の部屋来ないか?って」
俺達の部屋って事は_____男子部屋!
当たり前だけど男子は女子の部屋に入ってはいけないし、女子は男子の部屋に入ってはいけない。
だから、普段ちょっと真面目な哲にしては珍しいな。
「う〜〜〜ん。紫蘭が良ければ私は」
「今日はやめとこ?」
私が聞くまでもなく、紫蘭はそう答えた。
後に続いて、
「ちょっと、お腹痛くって」
と言って困った様に笑った。
そ、そうなんだ。
紫蘭も大変だな……。
「んじゃ、今日は無しで」
哲はもう食べ終わり『ごちそうさま』をしてからそう言った。
多分、哲も嫌々だったんだろうな。
同じ班の男子に「呼んでこい」って言われて……。
「お疲れ様っす、先輩」
私が後輩っぽく言えば、哲はあからさまに怪訝な顔をしてから、食器を片付けに行った。
量が多い、晩御飯が食べ終わり、私達は自由時間となった。
けど、特に何をするまでもなく、とりあえず同じ部屋の人と布団を敷いたり_____。
紫蘭はお腹が痛いらしくて、すぐ寝ちゃったから私も少し早く寝ようと思う。
「おやすみ、紫蘭」
紫蘭にそう言っても、紫蘭から返事は帰って来ないけど、私は紫蘭と一緒にいる事が出来てそれでも嬉しかった。
「おはよー!成海!」
紫蘭の大声で私は起きる。
身体を起こすと、もう私服に着替えた紫蘭が立っていた。
「おはよー紫蘭」
眠たい目を擦って私がそう言えば、紫蘭はニコッと笑って、
「今日は自由時間無いけど、頑張ろう!」
と言ってくれた。
そんな紫蘭の笑顔が眩しくて、私は目が覚めた。
自分の寝ていた布団を片付け、私服に着替えた私は紫蘭と、ご飯を食べる部屋に向かう。
その部屋に着くと、ちょっと目元に隈を作った、哲がいた。
「おはよう、哲。どうしたの?その隈」
紫蘭がそう言えば哲は目を擦って、
「昨日、遅くまで他の男子とトランプしていたから……」
と言う。
「寝不足は身体に良くないぞ〜」
と、私は言うけど、私だって普段はあんまり寝ないのにね。
やっぱり、私は嘘吐きなんだろうね。
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朝食を食べ終わった後、学年で集まり、金閣寺や銀閣寺、教科書に出てるくる重要な建物を見学しに行った。
あんまり興味の無いことだったので、書かないけど。
哲は歴史の建物とか見るのが好きだから楽しそうにしてたけど、私にとってはつまらなかった。
けど、紫蘭はどこに行っても可愛い事にかわりがなかった。
「今日は自由時間無しで、なんかよく知らない所回って、それで宿に戻ればレポート書いて終わり?………つまんない!」
私の口からそんな声が出た。
ここは宿の部屋。
窓から外を見れば、段々と暗くなってきた所だった。
せっかくの修学旅行なのに、こんな所まで来て勉強して………。
「まぁまぁ、仕方ないよ。学生の本業は勉強だもん」
紫蘭が苦笑しながら言ってくれる。
紫蘭も勉強が嫌いだった。
だけど何故か成績が良くて…羨ましい。
「あ、あと哲がね、今日は男子部屋来れるか?って言ってたよ」
紫蘭がそう言った。
「私は紫蘭さえ良ければ、別に構わないよ」
私がそう言えば紫蘭は、
「本当?!じゃあ、行こう!」
と言い、笑った。
私の心臓がドキドキした。
なんだろう……この気持ち……。
やっとレポートも書け、お風呂に入ってから晩御飯を食べに向かう。
ご飯を食べる部屋に行けば哲がいて、私達も席に座った。
「この後、男子部屋に行けるよ」
晩御飯が運ばれてきて、いただきますをした後に紫蘭が言う。
それを聞いた哲は、
「分かった」
とだけ言い、ご飯を食べ始めた。
………なんかもっと良い返答をしたら良いのに…!
紫蘭が話しかけてくれたんだぞ!
私は心の中で思いながらお箸を持った。
晩御飯が食べ終わり、部屋に戻ってから少しして哲達の部屋に向かった。
先生達にバレないよう、そっと。
やっと哲達のいる男子部屋に来て、その扉をあけて貰った。
部屋の中にはクラスメイトの男子や不機嫌顔の哲、さらには同じ部屋の女子達もいる。
「よし!皆集まったな?それじゃあ、始めよう!」
クラスメイトの男子1人が声を出した。
え?始まるって何が?
「哲、これからなにすんの?」
私が哲に聞けば、哲は嫌そうな顔で、
「まくら投げ大会」
と言った。
説明しよう!
まくら投げ大会とはまくらを他の人に投げ、そのまくらが顔面に当たれば、当たった人は退場。
要するに、まくらを他の人の顔面に当てれば良いと言うルール!
よくチーム戦でやったりするけど、今回は個人戦だぁ!
ただし、先生達に見つかってはいけないぞ!
と言う訳で、私達はまくら投げ大会を始めた。
女子が6人と男子が6人。
部屋は男子部屋。床には布団。
いざ!スタート!
開始の合図がなり、飛び交うまくら。
私は顔を守らず攻める、攻撃型。
哲も同じ。
紫蘭は顔を守る、防御型。
うぉぉぉぉぉ!
まず私は近くの男子を2、3人一気に当てるとニヤリと笑ってから哲を狙う。
哲は他の男子全員を当てており、明らかに強そうだ!
一方、紫蘭は顔をずっと隠して、他の攻撃をよけている!
っと危ない!
哲から容赦ない、まくらが飛んでくる。
私はスレスレだけど、かろうじてよけ哲に反撃の一発を_____当たらない!
ちくしょう!
そうこうしている内に、今生き残っているのは哲、私、そして紫蘭!
紫蘭はずっと顔を隠した状態だったぞ!
哲からまくらが!ってま、まさか紫蘭を狙って?!
うぉおおお!
紫蘭を守らなきゃ!
「ここの部屋うるさいぞー」
先生の声?!
ヤバい!
先生が扉を開けるまでの1.03秒の間に、私達は近くにあった布団に潜り込む!
「なんだ。もう寝てんのか。寝るなら電気を消せよー」
ふぅ……。
なんとか誤魔化せたみたいだ。
あの後3回戦ほど、まくら投げ大会をした。
けどいつも勝つのは、哲と私のどっちかで…なんか悔しい。
「今日は遅いからもう寝るか……」
男子の1人がそう言って、私達は自分達の部屋に戻る事になった。
男子の部屋を出てみれば、辺りはシーンとしていた。
あ、もう消灯時間か……先生にバレないようにしないと……。
って、
「どうしたの?紫蘭」
まくら投げ大会の時から、紫蘭の頬が赤かった。
って事は_____風邪?!
「な、なんでもないよ!」
と紫蘭はあたふたして言うけど……なんかあるでしょ……。
「本当〜?」
と私が言えば紫蘭は、
「ん………後で話す!」
と小声だけどはっきり、頬を染めて言った。
風邪じゃないみたいだから良かった。
先生にバレないようにこそこそと、部屋に戻った私達は、布団をひいてから歯磨きして、布団に潜った。
「紫蘭〜」
私が布団に入っている紫蘭に声をかければ、紫蘭は、
「成海、さっきね」
と話し始めてくれた。
「まくら投げしている時に先生きたでしょ?で、その時に布団に隠れたじゃん。私が布団に隠れたらそこに_____哲がいて………。哲と目が合うと_____なんかすっごく心臓がバクバクして……」
暗くて良く分からなかったけど、紫蘭の頬が赤く染まっている。
けど……。
「紫蘭は哲の事、好きなの?」
私がそう聞けば、紫蘭は首が取れる位横に振って、
「ち、ち、ち、違うの!」
と言った。
その紫蘭の行動を見て私は思う。
やっぱり、紫蘭は_____。
私は表情こそニヤニヤしていたが、なんか悲しかった。
「眠い………」
私がそう言えば紫蘭が、
「じゃあ、また明日。おやすみ」
と言い、二人とも布団に潜った。
私の目は覚めていて、とてもじゃないけど寝れなかった。
やっぱり私は嘘吐きだ。
紫蘭の口から哲の事が出てくると_____嫉妬と言う様な、感情が走る。
だから『眠い』なんて嘘を_____。
……紫蘭に対するこの気持ちはなんだろう。
私はそればっかりを考えていた。
「おはよー」
昨日は中々寝れかったけど、早く起きてしまった私は紫蘭を起こしに行った。
紫蘭の寝顔は可愛くて……言葉に出来ない何かが心に刺さる。
「紫蘭ー!朝だよ!」
と言えば寝起きの良い紫蘭はすぐに起きて、
「おはよ。成海」
と言う。
そんな何気ない会話が、いつも楽しかったんだ。
布団を片付け、服を着替えた私達は朝ご飯を食べに向かう。
「……もう、今日で最終日だね……」
途中で紫蘭がそんな事を、しんみりと言った。
「でも今日、自由行動が多いからめちゃくちゃ楽しもう!」
私がそう言えば紫蘭は、
「そうだね!」
と言ってニコッと笑う。
_____やっぱり、紫蘭のこの表情を見ると、心臓がバクバクする。
…………この気持ちは_____。
「おはよう、哲」
ご飯を食べる部屋に着き、哲を見つけると紫蘭が声をかける。
「ああ、おはよう」
たっぷり寝たような顔をしている哲を見たら、殴りたくなった。
「いただきます」
3人の声が揃い、箸を持つ。
_____うん。やっぱりここのご飯は美味しい。
「ふんふ、ふんふぇふんふぁ!」
「食べ終わってから話せ、成海」
哲に叱られちゃった。
てぇへぺろ!
口にあるものを飲み込んでから、私は言う。
「今日は、自由行動だね!」
そう言うと紫蘭は、
「1番楽しみだよね!」
と言ってくれ哲は、
「まぁ、色々見たいからな」
と照れ隠しのように言った。
「素直じゃ無いんだから〜」
と私が哲に言えば、哲にものすごく睨まれちゃった。
_____紫蘭に嫌われちゃうぞ、哲君!
そう思うと、心がチクリと痛んだ。
朝食も食べ終わり、荷物を整理したら!
「よっしゃぁ!自由行動だぁ!」
班での自由行動!
8時から14時までの間に、お昼ご飯も食べて京都駅に集合!
洋服とかは先にまとめてあるから、あとは輸送してくれる。
ってことで!
「行くぞー!」
宿の前、私は大声で叫んだ。
まず最初に行くのは、アロマ体験。
ここは紫蘭が行きたいと言っていた場所で、手作りアロマを作れるんだとか。
私達は駅を乗り継ぎ、そのお店に向かう。
道中、人が多くて酔いそうになったが……。
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アロマ体験_____ものすごく楽しかった!
世界でたった1つの香りのアロマを作れて!
私が作ったアロマの香りは甘い感じになっちゃったけど、紫蘭が作ったアロマの香りは爽やかで清々しい感じ!
哲のはあんまり香りがしなかった。
ドンマイ、哲!
お店を出た、ただいまの時刻が9時40分!
お次は、哲が提案の茶道体験。
本当はお経を書いたりする、写経がやりたかったらしいけど、私が猛反対したのでお寺の中で行う茶道体験にした。
茶道は始めてだから緊張するような………しないような。
ま、楽しんで行こう!
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バスと電車を利用して着いたのは、立派なお寺。
茶道を体験してみたけど………。
知らなかった……茶道ってあんなに大変なんだ……。
まず、正座が辛い!
足が段々、痺れてきて……。
あと、礼儀が細かい!
まぁ、ここはそうだと思ったけど……。
そして、抹茶は苦い!
抹茶ってもっと甘いのかと思ってた……。
なんかショック。
痺れる足を我慢しながら、お寺を出た。
ただいまの時刻が11時30分だから……。
「次はお昼ご飯だ!」
お昼ご飯に選んだのは、京都ラーメン!
なんとも、濃厚なスープが美味しいラーメンだそうで!
早速、お店に行ってみると大行列になっていてビックリした。
けどすぐに準備が来て、私達は席に座る。
「京都ラーメン、3つで」
哲が注文してくれて、ラーメンが来るまでの間に、私と紫蘭は自由行動で撮った写真を見ていた。
このカメラは学校から支給されたカメラで後々、学習のまとめや写真に印刷したりして、使うんだとか。
写真の中には、ブレているものもあれば、ピントがすごく合っているものもある。
哲の顔が面白い写真があって、紫蘭と私でコソコソ笑っていた。
哲はメモをまとめたりして、忙しそうだから気付いていなかったけど。
そうこうしている内に、ラーメンが来て私達は食べ始めた!
味は醤油ラーメンですっごく濃厚!
美味しい!
あんなに沢山あった麺も、口の中に消えていった。
「ごちそうさま!」
お腹一杯になりながら、お店を出たのが12時20分!
よし!
次は私が行きたかった、和菓子の手作り体験!
私は元々、和菓子が好きでやってみたかったんだよね!
「甘いものが食べれるって聞いて、体験したくなっただけだろ」
哲からそう言われるけど、別に気にしない!
だって、甘いものが食べたくなったんだもん!
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いや〜〜!
和菓子を手作りするって楽しいね!
お店で甘めの抹茶を頂いて試食した、和菓子が美味しい!
それに、和菓子を作っている紫蘭の表情がすっごく可愛っくて…。
哲は中々、苦戦していたみたいだけど。
しかも、お土産に3つの和菓子を貰えて嬉しい!
これを帰りの新幹線で食べよっかな〜!
そんな思いを抱えてお店をでたのが13時45分。
京都駅に集合が14時でかなりヤバそうに見えるけど、ここから歩いて5分位で京都駅に着くんだ!
「楽しかったね!」
紫蘭がそう言ってくれる。
私は「うん!」と大きく頷き、笑う。
紫蘭といれて、充実した3日間になった。
「ありがとう」
私の小さな呟きは哲と話している、紫蘭に聞こえただろうか。
ふぅ……よし!
京都駅に着いた!
でも……人が多くて……。
「気持ち悪い……」
私は酔ってしまったみたいだ。
私がそう言ったら、紫蘭は私のリュックを持ってくれて、
「大丈夫?」
と優しく声をかけてくれた。
その紫蘭の優しさが嬉しくて…。
言葉には表せない、感謝の気持ちでいっぱいだった。
「よし!全員揃ったな?じゃあ、新幹線に乗れ!」
お土産をいっぱい買いすぎて、リュックに入らなくなった先生がそう言った。
新幹線に乗れば、人が少なくなって私の気分の悪さも治ってきた。
「大丈夫そう。ありがとう、紫蘭」
私のリュックをずっと持っていてくれた、紫蘭にそう言うと紫蘭は笑って、
「どういたしまして。また気持ち悪くなったら言ってね」
と微笑んでくれた。
新幹線に乗っている間、私は眠くなってしまい、気付いたら寝ていた。
そのまま時間が経ち、紫蘭の、
「成海ー。着いたよー」
と言う言葉で起きた。
「さっさと行くぞ」
リュックをもう背負っている哲にも、言われた。
あ……もう、戻って来ちゃったんだ……。
悲しさなのか懐かしさなのか。
そんな思いを抱えて、私達は高校へ向った。
高校に着いたら先生のお話があり、なんとなく聞いていたら時間が過ぎていて、解散となった。
「紫蘭、哲バイバイ」
紫蘭と哲と帰り道が反対の私が言ったら紫蘭は、
「成海、また明日ね〜!」
と言ってくれて、手を振りあった。
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次の日。
朝練は無かったけど放課後、吹奏楽部の練習があった。
1年生は私達がいない間にも、練習をしていたみたいで、凄く上達していた。
しかも、お土産を渡したらすっごく喜んでくれて……。
嬉しいなぁ……。
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はぁ……修学旅行、楽しかったけど……大変だったな……。
哲は相変わらずめんどくさかったし、紫蘭には私が迷惑かけてないか不安になった。
なんでなんだろう。
紫蘭だけには、嫌われたくない。
紫蘭だけには、見てもらいたい。
紫蘭はいつも、私の事を気にかけてくれた。
紫蘭の優しさや暖かさが嬉しかった。
紫蘭の冷たい所なんか想像したくなかった。
なんで……なんで__________。
紫蘭に対してこんな感情を抱いてしまうんだろう。
「ねぇ、紫蘭」
すぐそこでフルートを吹いている、紫蘭に声を掛ければ紫蘭は首の傾げて、
「どうしたの?」
と聞いてくれる。
私の心臓がドクンと跳ねた。
鼓動が早くなる。
「あ、いや、なんでも無い」
私がそう言えば紫蘭は、
「そっか。……修学旅行楽しかったね!」
と言ってくれる。
「あ、う、うん、めっちゃ楽しかった!」
心臓の音がうるさい。
こんなに心臓がドキドキするのは、私が紫蘭を_____。
「ご、ごめん!」
気がつくと、私は吹いていた楽器を置いて、教室から駆け出していた。
知ってた。
この心臓のうるささは何かって。
この胸の痛みは__________恋だ。
好きになってしまったんだ。
紫蘭の事を。
紫蘭の事を考えるだけて、こんなに胸が痛くなって、鼓動が早くなって。
でも……私は分かり切ったことを見ないフリをしていた。
紫蘭は、紫蘭は_____哲が好きなんだ。
哲が色んな人から告白されても、断ってきていた。
その理由。
それは彼女_____紫蘭がいるから。
それに、私達は同性だ。
言うまでもない、女同士だ。
こんな事……分かってた筈なのに。
「どうしたのー?成海。哲が心配してたよ?」
紫蘭の声だ。
私を心配してくれて?
本当に?
「ねぇ、紫蘭」
私がそう言えば、先程と同じように首を傾げて、
「どうしたの?」
と聞いてくる。
やっぱり、心臓はドキドキしている。
けど、紫蘭に確認したいことが_____。
「紫蘭って哲の事、好きでしょ?」
私ははっきりと言った。
心臓がチクリと痛む。
聞いてはいけない事だと、分かっているのに。
「そうだね。多分、私は哲の事が好きだよ」
と紫蘭は落ち着いた雰囲気で言った。
胸が痛い。
そんな事、分かり切っていたのに。
_____気が付いたら、紫蘭を壁ドンしていた。
「え?ど、どうしたの?成海?」
紫蘭の声が聞こえたが、私はどうでも良かった。
「紫蘭は私の事を良く見ていてくれて、いつも頼りになって……。だけど、いつもへらへらしてて、運動苦手で……。
私、紫蘭の事_____嫌い!」
思っても無いことが私の口から溢れる。
嫌いじゃ無い!
紫蘭はへらへらなんかしていない!
運動苦手な紫蘭が私はいいのに!
こんなの……こんなの……嘘の塊じゃん……!
「……ごめん、成海。ウザかったよね。もしかして私の事、前から嫌いだった?」
嫌いじゃない!
けど……私はなんも喋れなくて、首を横に降ることさえ出来なかった。
無言を肯定の意味だと、受け取ってしまった紫蘭は、
「そっか……」
と小さく呟き、
「ごめんね」
と作り笑顔を向けてから、私の腕を通り抜けて行った。
紫蘭の事が大好きだった。
同性だとしても、笑ってくれる時の笑顔や、優しい言葉が可愛くて、嬉しくて好きだった。
私の目からは大粒の涙が溢れる。
声にならない泣き声が私の口から出てくる。
_____最後まで、私は嘘吐きだった。
大好きな紫蘭にあんな言葉を言ってしまうなんて。
………もう嫌だ。全て始めに戻したい。
紫蘭に恋してしまう前に。
最後に一言だけ。
紫蘭__________。
「この世界で誰よりも_____大好きだよ」
END
- Re: ショートストーリー書きます‼ リク受付中‼ ( No.19 )
- 日時: 2018/07/08 12:02
- 名前: 蕪木 華音 (ID: jBbC/kU.)
有川 成海
少しめんどくさいタイプ。
明るい。
紫蘭が好き
哲とは幼馴染
吹奏楽部 クラリネットパート
一人っ子
高校3年生
身長162cm
体重50.2kg
運動は得意
勉強は苦手
赤色の眼鏡をかけている。
ホブ
永咲 紫蘭
いつも笑っている。
優しい。
哲が好き
成海は友達?
吹奏楽部 フルートパート
5歳差の兄と9歳差の姉がいる
高校3年生
身長159cm
体重49.5kg
運動が苦手
勉強は嫌いだけど成績が良い
セミロング
佐田 哲
自分の関すると事だと、めんどくさくなる。
かっこいい(らしい)
成海は幼馴染
紫蘭に対しては少し意識をしてしまう
吹奏楽部 バスクラリネットパート
3歳差の兄と6歳差の姉がいる
高校3年生
身長173cm
体重63kg
運動は得意
勉強は出来ない(但し、歴史はいつもA判定)
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支店1の方になぜか投稿が出来なかったので、こちらに投稿させて頂きました。
土高さん、リクエストありがとうごさいました!
訂正したい場所などがあれば、直ちに言ってもらえると嬉しいです。
次回は深海や理系の恋をイメージした『深海に関する第一項目』を投稿します。
次回は7/20に投稿したいと思います。
リクエスト、お題受け付け中です!
感想も貰えると嬉しいです!
よろしくお願いします!