コメディ・ライト小説(新)
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- DREAM police
- 日時: 2018/08/24 10:37
- 名前: 雪丸 まろ (ID: Ytr7tgpe)
私の母は、いつも私のことを考えてくれていた。
それが要らないことだと思った時期もあったが、今では、愛情として受け止めることができる。
そんな母の葬式で遺書を読んだとき、驚愕した。
私は、勉強が苦手。小学校の頃は不自由も少なかったが、中学、高校と進むにつれ、周りとの差がとてつもなく大きいものだと嫌というほど見せつけられた。
結局高校を卒業し、就職しようと思ったが、自分を受け入れてくれるところが全くない。
流石に心が折れ、うじうじしたまま、その遺書を読んだのだ。
「雨森 神奈様。10月15日、御倉野市内にある、交番に行きなさい。あなたを受け入れてくれるよう、交渉しておきました。これからの人生、悔いがないように生きなさい。」
母は…母は…どこまで私に幸せを与えてくれるのだろう。
小さい頃から、警察官になりたかった私にとっては、その場で泣き崩れるほど、
母の愛を感じ、感謝した。
この時は、その仕事が苦しく、絶望する仕事であり、この先の社会の未来に関わっているなんて、誰も想像がつかなかっただろう。
- Re: DREAM police ( No.1 )
- 日時: 2018/08/24 10:44
- 名前: 雪丸 まろ (ID: Ytr7tgpe)
10月15日、早速交番へと向かった。
地図は、自分の机の上に、ひっそりと置かれていた。
御倉野市は、有名な恐竜博物館があるところで、観光客で賑わっている。
(なんと、住民より、1日にくる観光客の数の方が2倍近く多いという。)
「え…地下??」
地図に赤い色鉛筆でぐりぐりとマークされている例の交番は、地下にあるようだ。交番が地下にあるという概念がなかったので、驚いた。
細い路地道を通っていくと、まるで冬の朝のような、張り詰めた、ひんやりとした空気になってきた。
「なんなのここ…。道間違えた??」
ぶつぶつ文句を言いながら、少し怖くなってきた気持ちを紛らわせる。
どんどんズカズカ進み、もう自分が通れないほど道が狭くなってきた頃、ようやくドアが見えた。
知らないうちに、道が斜面になっており、地下へと入り込んでいたようだ。
「…」
ドアは、金属製。光はあまり入り込んでいないのに、不気味に鈍く光っている。
母も、こんなところにいつのまにか来ていたのだろうか。
改めて地図を確認し、ここであっていることを確かめてから、呼び鈴を鳴らした。
ピンポロポン、ピンポロポン…。暗い路地道に、高音の、少し長が変わっているような音楽がこだまする。
髪を手で整え、しゃんと背を伸ばし、ドアを見つめる。
母がくれた一度きりのチャンス。絶対逃すわけにはいかない!
- Re: DREAM police ( No.2 )
- 日時: 2018/08/24 10:46
- 名前: 雪丸 まろ (ID: Ytr7tgpe)
「はい。」
どこから出ているのか分からないが、男の人の声がした。大体同い年くらいだろうか。
「雨森神奈です。母の雨森祥子に紹介されて来ました。」
「入って。ドア、ロック解除したから。」
めちゃタメ口やん。何歳なんだろ。
ドアノブをガチャ、と回し、部屋に入る。
部屋は、普通の交番というよりも、探偵事務所のような、どちらかというと、
ホテルの部屋のようだった。
うっすらとコーヒーのいい香りがする。やっぱり年上の人たちが大半なのだろうか…。
「そこ座って。」
玄関で待っていると、背の高い、同い年くらいの男の子が出て来た。
言われた通りにちょこんと座っていると、男の子が正面の椅子に静かに座った。
「どうも。船附です。」
「あ、雨森神奈です。よろしくお願いします。」
「雨森ね。分かった。」
(…年齢が知りたい。)
「早速だけど、仕事内容の説明するね。」
「は、はい。」
「今日から君がしてもらう仕事は、ターゲットの夢の中に入り込み、考えを改めさせること。」
「……」
「例えば、近い未来、人類を率いて地球温暖化と戦うリーダーのような人がいるとする。その人は、我々人類が生きていくために、必ず必要となる人だ。
もしその人が、現在において、自殺を考え始めたらどうなる??」
「…地球温暖化に立ち向かう前に死んじゃいますね。」
「そうだ。すると我々人類は、地球温暖化に敗北し、滅びることになる。DREAM policeの仕事は、それを食い止めること。人類が生き残るための道にある障害物を取り除いていくことなんだ。」
「…??どうやって食い止めるんですか?」
「夢の中に入り込むんだよ。」
「……」
「そして、その人の昔の故郷の記憶出したりして、心を動かすんだ。」
「……あなたは他人の夢の中に入り込むことができると?」
「お前だってできる。俺の知り合いの天才科学者が作り出したドリームインp錠
という薬を使えば。」
(ネーミングセンス…)
「無理やりその人の気持ちを変えてしまえば当然未来にも支障が出る。夢の中で、最小限の治療をするからこそ道が出来上がっていくんだ。」
……今船附さんは、一体何を話しているのだろうか。
遺書を見たとき以上の、圧倒的困惑だ。
「あまり信じていないようだな。まぁ百聞は一見にしかずだ。夜、またここに来い。」
「…??は、はい…」
ここから、私、雨森神奈の未来は大きく変わっていくことになるのだが…。
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