コメディ・ライト小説(新)
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- 夢物語で終わらないで。【恋愛小説短編集】
- 日時: 2018/11/24 18:10
- 名前: 麗楓 (ID: 65byAhaC)
複雑・ファジーでも短編集載せてますが、こちらは恋愛系だけを載せていこうと思います。
初めてだった。
「かっこよかったよ」
頬を赤らめた彼女は、俺の顔を見ずにそう言う。
「3Pシュート決めてたの、凄く良かった」
黒髪から覗く堂々とした茶色の瞳は、強い信念を持っているように見える。俺は肩ベルトを強く握りしめた。
「3秒前にシュートされて逆転負けしたけど、かっこいいって思う?」
「思うよ」
彼女の凛とした真っ直ぐの瞳が俺を見つめる。即答だった。
放課後の夕焼けに照らされた彼女は、髪の毛1本1本から泥で汚れたスニーカーまで、全てが逆光に包まれて眩しかった。
「……俺さ、体育大会のバスケで優勝したら、好きな人に告白するって決めてたんだ」
「うん、知ってる。この前聞いた」
「告白なんて初めてだから、無理に高い目標まで定めて。結局決勝にすら行けないなんて、バカみたいだなぁなんて……」
誤魔化して笑おうとしても、上手く笑えない。上ずった声しか出なかった。しばらくの間、沈黙が訪れる。
―――本当に、バカみたいだよな。
弧を描いて飛ぶボールを今でも思い出す。
試合終了3秒前にシュートを決められて、ボールの感触が手に残るなか、7対8で俺達は負けた。
―――あのボールに触っていたら。
―――あと1本シュートを入れていたら。
体育館の天井を見上げながら、何度も悔やむしかなかった。
クラスメートは労いの言葉をかけた。誰も3Pシュートのことなど、俺自身もシュートを打ったことすら忘れていた。
なのに、傷を抉るように思い出された過去。
出来れば封印して、二度と思い出すことがないようにしたかった。
―――なのに、
外靴に履き替えた俺は靴紐を軽く結び直してから、沈黙を突き破るように明るく喋った。
「3Pシュートの話したの、お前が初めてだわ。俺の名前も呼んでくれてたでしょ?」
「え、私が呼んだの気づいた?」
「気づいた気づいた」
「うん、そっか…………ごめん。もしかしたら気分損ねるかもしれないんだけど」
「何?」
―――なのに、
「あの試合、君がかっこよかったこと以外覚えてない」
―――なのに。
―――どうして君から発せられる「かっこいい」の言葉は、こんなにも胸に響き嬉しくなるのか。
誰かの「かっこいい」より君の「かっこいい」が一番心に染み渡るのは何故だろうか。
初めてだった。誰かから「かっこいい」と言われて胸が高鳴るのは。
初めてだった。誰かから自分の名前を呼ばれて、あんなに自分の名前は美しい響きをしていたのか、と思うのは。
その説得力のある澄んだ瞳に、嘘など見受けられるはずがなかった。
「しかし、よく人に向かって褒め言葉がぽんぽん出てくるよな。羨ましい限りだわ」
「別に全員に対して言ってるわけじゃないよ? 好きな人にしか言わないもの」
「ふーん………………え?」
今、「好きな人」って―――。
心臓がバクバクと音を立てて制御が出来ない状態。試合の時よりも頬は火照って身体中熱くなっている。半開きの唇は閉じないまま、いつまでも開いていた。
「よそ見してると置いてっちゃうよ?」
悪戯っぽく微笑む彼女は、可憐で綺麗だった。
やっぱり勝ち負け関係なく、ちゃんと伝えたい―――。
彼女の手を掴み、俺は深呼吸をする。そして、
「試合では負けたけど、俺本当はお前のこと―――」
君に、初めての告白をしよう。
- Re: 夢物語で終わらないで。【恋愛小説短編集】 ( No.1 )
- 日時: 2018/12/01 00:19
- 名前: ひなた ◆NsLg9LxcnY (ID: E616B4Au)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1a/index.cgi?mode=view&no=10873
はじめまして。ひなたと申します。
麗楓さんの小説はじめて読ませていただきましたが、とても好きです‼︎
登場人物がいさぎよくてかっこよくて、そんなふたりが絶妙な距離で話をしているのがとてもどきどきしてしまいました。
それから、ストーリーもすっきりまとまっているので、読み終わった後の満足感がとても心地よかったです…余韻にひたっております…
次の作品も楽しみにしてます^ ^
更新がんばってください!
- Re: 夢物語で終わらないで。【恋愛小説短編集】 ( No.2 )
- 日時: 2018/12/01 01:02
- 名前: モズ ◆hI.72Tk6FQ (ID: w4lZuq26)
(ゲームだとあめ玉、交流は合った筈よな?)
殆ど書いとらんからコメントしていいんか分からんくて、人の後に書かせてもらいました。
のんたんの、複合?とかのも見てて面白いな、って思ってて。
恋愛まで書かれたらおいら、何も勝てないなーって思っちゃうよね。
恋愛っておいらの苦手ジャンルだからしっかりと書ける人、皆尊敬しちゃってますが。
(尚、モズの唯一の更新スレッドが止まりました。何かの文字が引っ掛かったのでしょう)
そんな訳で新しいことも出来ずに今はこうしてコメントしてます。そうでもなきゃ、人のにコメントなんて中々しないので。
恐らく、おいらっちって同年代というか割と年が近かったような。
だからそれで安定した文章を書けるのがとても羨ましい限りでありんす。
おいらは書いたとしてもぶっつー切って後から修正、が最早日課となっておるから。
カキコで更新があると生きてるんだなぁ、と思いつつ速攻でスレッド開いてます。
仲良い人が忙しくて、のんたんもそうらしくてカキコに一日何回も来てもつまらないです。
まぁ心配性な性格もあるんでしょう、おいらの場合は。
のんたんは暇なときにプラーッと来て生存確認さえ出来ればおいらはうれしい。
作品に対する感想が何にも無かったね。でも、それはまた今度にする。
今書いちゃうとよく分からない言葉が並んじゃうから、止めておきます。
また気分が良かったり色々都合が良けりゃ来ます。ばいなら。
- Re: 夢物語で終わらないで。【恋愛小説短編集】 ( No.3 )
- 日時: 2018/12/01 17:52
- 名前: 麗楓 (ID: d6rzi/Ua)
>>ひなた ◆NsLg9LxcnY様
コメントありがとうございます(。´Д⊂)
この作品はとあるイベントに出したんですが、見事に外れたので、こちらに投稿させていただきました。
やはり起承転結を丁寧に書き上げなきゃなぁ、と考えさせられた作品だったので、コメントを貰えてとても嬉しく思います。
本当にありがとうございました!
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