コメディ・ライト小説(新)

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この宇宙に平和と秩序をもたらすために ヒロ艦長死を恐れず
日時: 2018/12/23 18:27
名前: たんぽぽ (ID: VOsGN7zX)

「全艦隊 目標地点、地球に到着。待機にて指示あり次第

 攻撃を開始する」


「了解」





‥東京‥ 宇宙防衛対策基地本部



「地球より47万キロ先、アンドロメダ銀河の方角よりワープしてきたと見られる

 艦隊発見!繰り返す、アンドロメダ銀河の方角からワープしてきたと見られる

 艦隊、レーダーにて発見!」



赤く点滅するランプで司令室は急に緊張で染められる。



「こちら、指令室。アンドロメダ銀河からと思われる不法侵入艦隊あり。

 駆逐艦、第1,2,3隊は10分以内に離陸の準備を完了させろ。15分後には

 離陸ができるように」



基地内の放送が終わるとともに俺も含め、急にみんなかけ足になる。

少なくとも、あと1,2分以内に200m先にある第2隊のドックまで行き、

残りの8分で完璧に離陸の用意を済ませなくてはいけない。



そして指令室以外でも赤いランプは点滅し、サイレンが鳴り出す。

心臓が高鳴る。

50m先には自分の乗る駆逐艦、ソルジャーが見えている。



「ちわっす!」

艦長補佐に一瞬目を合わせてあいさつする。



「ヒロ急げ!もう時間がないぞ!」



「分かってる!」

振り向く時間がないのでエレベータに乗りながら返事をする。



エレベータで60mほど上に上がると、船の入口が見えてくる。
作業員たちがせっせと働くそばを猛スピードで駆け抜ける。
足にゴミ箱が当たり、ゴミが散らばったが無視。作業員たちに
何か叫ばれている気がするが、今はそれどころじゃない。



「よお、カナ早かったな」

入れ口付近にちょうどカナがいた。



「ヒロが遅いだけ」



「ごめんごめん」

船の中のエレベータに乗る振り向き際にカナのほうを向く。



「今日の運転は荒くしないでね」



「もちろん!多分‥」

エレベータが閉まる。この中でも赤いランプが点滅している。

落ち着けない。いや、落ち着いたらいけないのだが。



開くと同時に

「よ!艦長」「遅かったな」



リュウヤとトモキに話しかけられる。どうやら、ほとんどの人が

先に到着していたようだ。



「艦長補佐以外、全員配置についてるな?」



「はい!」「イエッサ―!」

元気な声が返ってくる。おそらく補佐はもう点検が終わり帰ってくるだろう。



俺も自分の席に着き、マイクを装着する。
「こちら、第1駆逐艦隊リーダー大西博、メインエンジンを起動します」



「こちら総司令室、エンジンの起動を許可する。

 すぐに離陸できるように待機せよ」



「了解」



「メインエンジン、起動!パワー出力30%、すぐに離陸できるよう準備!」



「了解!」

威勢のいい掛け声とともにエンジンが唸りだす。

それと同時に船内が電気で照らされ、青や赤のライトが点滅し始める。



ウウィイイン‥いつ聞いても迫力があり、これにいつの間にかはまってしまっている。


「艦長、用意は?」


いつの間にか補佐役の一宮航大、コウが隣に立っている。


「点検で異常はなかったか?」


「なかった」



マイクに向かって

「こちら、第2駆逐艦隊リーダー、ヒロ準備完了」


「了解、直ちに離陸せよ」


「了解、第2駆逐艦隊、離陸します」

交信を絶ち、前方を向いて言う。


「全乗組員に告ぐ。ただいまより離陸を開始する。離陸用噴射エンジン
 始動!」


「了解!」


「ドックを開門!」

ギイイイ‥ 横70m、縦280mのドックの上に設置されている大きなドアが
重い音を立てて開いていく。



「離陸開始!」





「角度良し、風向、風速ともに良好、メインエンジン異常なし、キャノンエンジン異常なし、
 離陸します!」

船内に1級宇宙航海士エンジン担当の澤田の声が響く。



ドドドゴゴゴゴゴオ‥

エンジンがさらなる唸りをあげながら船は垂直に上昇する。



同じように隣のドッグなどからも離陸していく。

「指令室、こちら第2艦隊リーダー、ヒロ。全25隻異常なし。大気圏に突入します」



「了解」



「メインエンジン、出力89%、大気圏に突入せよ」



「了解!」



ズドドドドドドドドドドド‥

エンジンが吠える。いつもこの瞬間が、緊張していながらもなぜか楽しい。



「高度、1300m。ただいまより、大気圏に突入します!」


「速度、秒速8km、異常なし」


‥東京が見える。日本が見える。そしてアジア全域が次第に見えてくる。
 最後に‥小さな水色のボールがぽつんと見える。‥本当に地球は美しい‥

              





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                                 掲載しています

この宇宙に平和と秩序をもたらすために ヒロ艦長死を恐れず ( No.1 )
日時: 2018/12/23 18:19
名前: たんぽぽ (ID: VOsGN7zX)

「ただいまの軌道、異常なし。目標地点まで残り38万キロメートル!」



「了解」

ここで少しほっとする。目先のレーダーを見ながら、第1、3艦隊ともに
合流地点に向かっていることが確認できる。船の中の司令室の中には
何かどんよりした重たい空気が取り巻いている。まあ、今から死ぬかもしれないというどうしても抑えきれない不安が静寂となっているのかもしれない。



「本部司令センター、こちら第2駆逐艦隊。合流地点まで残り60km」



「了解、合流でき次第作戦通りの編隊を組め」



「了解」

編隊を組むなど、いつもの訓練と同じことをするだけだ。

しかしなぜか本番、今日となると緊張する。



「第2駆逐艦隊全艦、所定の位置につけ」



「了解」「了解」

スピーカーを通して全艦隊からの応答がある。



「いよいよだな」



「ああ」



右には第1艦隊、左には第3艦隊が目視で確認できる。



「こちら、第2艦隊艦長ヒロ、第1、3艦隊応答せよ」

5秒間くらい間があく。



「こちら第1艦隊」「そして第3艦隊」



「第2艦隊は所定の位置についた。待機しておく。全隊そろい次第
 編隊を行う」



「了解」「了解」



あと5分程度は待機だろう。その間に不法侵入艦隊の位置を確認しておく。

いや、むしろ敵といったほうがいいのだろうが。レーダーをみると、

!残り20万km。敵も地球に向かって近づいている。予想よりも早い。

駆逐艦には全部で主砲のビームキャノン、強力光線ビーム、いわゆる
レーザービーム、撃墜ミサイル、弾道ミサイル、真空用化学爆弾が積まれている。量は少ない代わりに駆逐艦というだけあって移動が速い。
つまり機動力がある。

それぞれの艦隊25隻ずつ、つまり全艦75隻ということになる。
これだけの数があれば、敵を圧倒できるかもしれないという自信とともに、
もし敵が想像を上回る強さや数であれば‥と考えると、不安しか込み上げてこない。

今は、ただ自分たちの健闘を祈る。



そんな中、スピーカーからほかの艦隊からの声が

「第1艦隊、所定の位置についた」

「第3艦隊、同じく」



「今から、編隊を行う。まず第1艦隊が前方、その後方、左右にそれぞれ
 第2、3隊を配置する。訓練通りだ」



「了解」「了解」



「走行用エンジンに切り替えます」

澤田の声。緊張しているのが分かる。



「電気系統に異常はないな?大西」


「は、順調です」



再びスピーカーから、

「編隊、完了しました」「同じく」



これで第1,2,3、艦隊はそろった。レーダーをみると今も敵は前進を続けている。ふと、後ろにある棚をみる。そこには1枚の写真。父や母の笑顔とともに挟まれる、僕がいる。‥宇宙にいるものすべてにこの幸せを与えたい、そして笑顔になってほしい‥そう心の中で思う。

この宇宙に平和と秩序をもたらすために ヒロ艦長死を恐れず ( No.2 )
日時: 2018/12/24 17:21
名前: たんぽぽ (ID: lG2/Mifs)

「レーダーにて敵の戦艦を確認!」


「了解、敵との距離は?」


「およそ2万km。縦に細長い形をしています」


「その戦艦の大体の構造は調べられるか?」


「はい、少々お待ちください」


このままのペースでいけば2万kmなど、1時間もたたずに敵と遭遇する。
敵の戦艦の性能にもよるが、こちらと同等だと考えると向こう側も今頃
レーダーで自分たちの存在に気づいているだろう。向こうの性能が
劣っていることを願う。


「構造をスキャンしました。戦艦というよりはむしろ大型の爆撃機のようです。
 かなりの爆弾を積んでいます」


「・・・・・いきなり現れて、地球を爆破しようとするつもりか」


「そのように見えますが」


「随分となめられているな。即座に撃退するぞ」


「了解」
あまりこういうタイプの種族は見かけない。しかし地球を爆破しようとして
いるのなら排除するしかない。
再び首にマイクをセットする。

「こちら第2艦隊艦長ヒロ。ただいまより第2艦隊は戦闘用意をする。
第1、3艦隊も用意を始められよ」


「了解」「了解」


「敵の戦艦の数が分かりました。およそ100隻です」


「よし、それでは弾道ミサイルの装填開始!」


「了解」
澤田を通して弾道ミサイル用エンジン長、カナに伝えられる。


「了解!」
澤田の無線から、緊張があまり見られないカナの声が聞こえる。


「前方に敵、目視で確認!」


「了解、戦闘態勢整い次第攻撃開始!」
いよいよ始まる。敵のほうが数でみると優勢だが、総合的に判断すると
機動力や攻撃力はこっちのほうが優れているはずだ。

「弾道ミサイル発射!」
ついに始まった。ちょっとした振動とともに弾道ミサイルが戦艦の前を通り過ぎているのが確認できる。
煙はないが、青い光とともに進んでいく。

「着弾!命中2000発中1340発!」


「敵はどうなっている?」


「ただいま確認中です」
今のところミサイルが命中したところが赤く光っているのが確認できるが、
敵の戦艦は見えない。

「分かりました!敵は全滅した模様。積んでいた爆弾に当たりそれが爆発したよう
 です」

「念のために聞いておくが、こっちの艦隊に損害はないな?」

「はい、ありません」

「意外と‥早かったな」

この宇宙に平和と秩序をもたらすために ヒロ艦長死を恐れず ( No.3 )
日時: 2018/12/29 21:25
名前: たんぽぽ (ID: NIrdy4GP)

「いっちにーさんし!ごーろくしちはち!」


青い空の下、威勢のいい隊員たちの声が広いグラウンドに響く。
その中にはヒロもいる。



「よし、次はグラウンド10周!」

監督の声。1周400mある。だからつまり4kmを走らなければいけない。

ザッザッザッザッザッザッザ

リズムのいい足音。



横2列、縦20列、つまり第2隊総勢40人でグラウンドを走っている。

1週間に大体4回くらいこれはある。だから大分慣れてきた。

しかし、やはりいつも最後の3周くらいになるときつい。

そこは自分の意地に任せる。

最後の1周、自分で自分を励ましながら何とか頑張る。

そして最後の1周を駆け抜ける。

「はあ、はあ、今日もきつかった‥」

「うん‥」

隣にはカナがいる。



「次は‥確か制御システムの整備訓練だったような‥」



「ああ、うん。カナってそういう‥なんというか機械系できたっけ?」



「いや‥あんまり得意じゃない」



「・・・お前一応機械エンジニアだろ」



「‥いや‥完全にできないわけじゃなくて」



「頼んだぞ」

こう見えても、彼女は艦隊制御エンジン全般の責任者、3級宇宙航海士なのである。ついでに俺は第2駆逐艦隊艦長であると同時に、第2隊の隊長である。艦長というと少し善さげに聞こえるが、実際のところ普通の会社で言うとこ課長‥の1つ下ぐらいである。そして‥向こうに立っている監督らしき人物が鬼川課長。俺もいつか課長くらいにはなりたい。しかし大きい組織というだけあって、

それほどの功績を残さなければ滅多に昇進できない。



「集合!」



「はい!」

起こると怖い。だからみんな普段は課長を警戒して、返事の声がやたら大きい。

もちろん俺も。



「連絡がある。これからの訓練のメニューの変更についてだ。

 今から戦闘機操縦訓練をしてもらう。急きょ上からの指示だ。

 分かったな?」



「はい!」



「訓練用第15エリアに戦闘機が常時配備されている。そしてそこで訓練を行う。

だから今から30分以内にそこ集合しておくこと。遅れたものは夜10時より

このグラウンドで罰として8km走ってもらう」



「はい!」



厳しい‥まあ、遅れなければいいのだが。
第15エリアまでここから全力で自転車をこいでも11分、だいたい4kmある。
まあ余裕はある。戦闘機の操縦訓練は月に10回程度。
もちろんその戦闘機は戦艦に搭載する用のもの。
この訓練は戦艦の操縦をするうえで、もっとも基礎となる訓練である。
戦艦は、この戦闘機の応用の応用の応用版‥といったところだろう。



ゴゴオオオオオーー



近くまで行くと戦闘機のエンジン音が聞こえてくる。

音が大きいうえに重低音が響き、一瞬映画の戦闘シーンを見ている気分になる。戦闘機が滑走路に接地しすぐに離陸していく。どうやらほかの隊がタッチアンドゴーという訓練をやっているようだ。非常にうまくできている。


格納庫の前に課長の車が止まっている。どうやらあの辺に集合すればよさそうだ。自転車置き場に止める。今日は、格納庫の中には3機、外には20機の戦闘機が並べてある。昔あった戦闘機とは違い、飛行機なのに垂直に離陸、着陸ができる戦艦の中に入れやすいような構造になっている。もちろん、これらは訓練用であって際に使われるものではない。格納庫のはるか後方にはビルがたくさん並んでいるのが見える。見晴らしのいいところだ。
15年前までは両親とともにあんな感じのビルに住んでいた。


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