コメディ・ライト小説(新)
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- お題小説
- 日時: 2019/02/14 00:19
- 名前: 蒼伊 (ID: jBbC/kU.)
お題小説を上げて行きます。
主に、もっと上手く小説をかけるようになること、分かりやすい小説を書くことを目的としております。なので感想や、改善した方が良い所をコメントにて教えていただけると幸いです。
>>1 〈春〉
お題:ジャンル「恋愛」台詞「あなた……だれ……?」
(雑談スレ「くだらない話をしよう」より、ぽけ様・空音様にいただきました)
- Re: お題小説 ( No.1 )
- 日時: 2019/02/14 00:29
- 名前: 蒼伊 (ID: jBbC/kU.)
<春>
「おはよう」
目が覚めた。いや、覚めたというか覚まされた。
先程まで暖かい西日に誘われて、心地よい睡眠に身を任せていたのに、男の人特有の低い声と私の頭をポカンと叩かれたことによって目が覚めてしまった。
その声は懐かしい気がしたし、叩かれたのに対して全く痛くない。ちょっと不思議な感覚に襲われる。
私は重い目を開け、目を指でこすり、大口を開けて欠伸をしそうになったのをぐっと堪えた。 女の子なのだから、大口を開けて欠伸はしてはいけないのだ。
欠伸を抑え、辺りを見回す。ここは、親しんだ大学のクラスの部屋。窓からくる西日の当たる右端の席に私は寝ていたみたいだ。
前の時間はこの教室を使っていたし、今日はもう授業がないというとこで安心し切っていたらしい。前の授業の途中で寝てしまったことも考えられるのだけど。とにかく次の授業はない。目はまだ冴え切っていないが、また眠る気にはなれなかった。私の目の前に見たことのない男性が立っているから。
私はその男に目をやる。この男こそ私の睡眠を邪魔した奴。だけど、その男は謝る気がないと言うかのように堂々と立っていた。堂々と、と言って見下す様子では無く、ただただ優しいような、暖かいような、感情をくすぐってくる目をしている。
なのになぜ謝らないのか、その疑問で溢れそうになり、私の頭はいっぱいになった。
取り敢えず私は席から立ち上がり、前にいる男と目を合わせる。
身長は私より少し高いくらい。服装はダボっとした灰色のセーターに黒のズボン。首には銀色のネックレス。派手な印象はなく、今時の男子よりちょっとおとなしい格好。年齢は私と同じくらい。背が低く、顔がちょっと童顏かな。
「おはよう、美波」
私が考えている間に、目の前の男は言った。その声はやけに親しげで強いて言うなれば、彼氏と彼女のような関係にふさわしいような呼び方だった。
と言うより初めてあったはずなのに、どうして私の名前を知っているのだろう。
一昔前であればロマンチックな恋の始まりだが、今は個人情報流出による殺人予告しか出てこない。そうなると少し怖くなってしまうのだけども。
善は急げ、の感覚で私はこの男に言ってみる。
「あなた……だれ……?」
寝起きであったため声は出しにくかったし、歳もよくわからないので敬語を省いてしまった。
まあ、いいだろう。よく考えれば全く知らない人を起こす事は、お互いが知り合いであることが多い。私がこの男の人について知らなくても、この男の人は知っているものなのだ。
「えっ、記憶喪失?!そしたら、ここはどこ?あなたは誰?なんて言うのかなー」
この人は私のことについて知っているのでだろう、が、今の言葉は普通に苛ついた。私がそんなこと言うわけない。いや記憶がなくなったことが無いので確かなことは言えないのだけど。
「そんなこと私は言わない!とにかくあなたは誰なの?なんで起したの?」
心の苛つきが言葉に出て来てしまい強めの言い方になったが、その男の人は傷ついている様子も見られなかったので少し安心した。
その男の人は「言ってんじゃん」と私にツッコミをいれる。どうやら記憶喪失の話の時に『言わない』と話してた「あなたは誰?」を今、『言ってる』とと言う矛盾に対してだ。
「それはいいから。あなたは誰なの?」
私がそう言えば、その男の人は少し寂しそうな顔をした。そんなに私とこの人は親しい関係にあったのか、と考える程に。
そして、その人は口を開く。
「覚えてないのかぁ……。まぁそういう時もあるよな。俺は橘和馬」
ここまでは普通だ。初めてあった人には、まず名前からというマナーを守っている。橘さんには、そういう時があるのか……。私はそう考えたが、そこまで気にしなかった。
しかし問題はここからだった。
「あんた、鈴木美波の彼氏、よろしくな」
彼は私についての説明もしてくれたし、本当に記憶喪失者を扱うような態度であったが、それにはこの人の優しさを垣間見た気がする。(私は自分のことについては覚えていた。なぜかこの人だけ覚えてないのだ。)
しかし、その先。橘さんは軽く言っていたが、重い言葉だった。そして私と和馬の関係の名前に『恋人』が付いた。
え。
思ってもいなかったが、よくよく考えればそういう関係にしか当てはまらないのだ。
約束事に寝坊してしまった少女を、待ち合わせ場所で待ち続ける少年。時間が経ってもその少女は来ない。心配になる少年。少女がいる場所を手当たり次第探す少年は、瞳に涙を浮かべて……と、正に青春。
約束事は何だろうか。デートだろうか、勉強だろうか。どれにしたって、恋を引き立たせるものなのだろう。
その少女が遅れてしまった、約束事を聞こうじゃないか。
「これからどこに行くの」
「映画館でデート」
橘さんの言葉は率直で分かりやすいし、想像していたことだが、やはり驚いてしまうものなのだ。
「本当に覚えてないの?」
映画館に向かう途中で橘さんに言われた。大学の全ての授業はもう終わっていた。
少し小走りなのは、私が寝ていて上映時間に間に合いそうにないから。遠いわけでも近いわけでもないけれど、少し焦ってしまうものなのだ。
『いかない』という手もあったのだけど、橘さんは映画館のチケットを買ってしまっていた。それ以前に覚えてなくても恋人なのだろう。その関係を崩す訳にはいかない。
「橘さんのことだけ、覚えてない」
私はそう素直に言うと、橘さんは、「そっかぁ。だんだん思い出すかな」と優しい声をかけてくれた。深く言及しない所も、この人を好きになった理由なかもしれない。
「あと、和馬でいいよ」
和馬は私の手を引くかたちで小走りに走って行く。
五分ほど走ってついたのは、『シネマ29』と言う小さめの映画館だ。黒い外装と赤字で書かれた文字が目に入る。
シネマ29は私が幼い頃からよく来る場所で、映画を見ると言えばここだった。マイナーな映画をここではみたことがないが、テレビをみていればCMとして見かける映画はここで大体見れた。
「ほら、早く入るよ」
和馬は私の手を引き、シネマ29の中に入る。そこはポップコーンの香りが充満していて、食欲が掻き立てられた。深呼吸をすると走っていて乱れた息が落ち着き、甘い香りのおかげでお腹が空いて来た気がする。
「ポップコーン、食べたい」
私がそう言うと和馬は、一瞬だけ迷った顔を見せ、
「美波にそう言われちゃ、買わなきゃな」
と呟いた。私が催促したみたいで少し恥ずかしい。普通の男の人といれば、こんなこと、聞かないのに。なぜかこの人には頼ってしまう。覚えてないのに、親しい人のような気がしてしまって。
和馬は私の手を離した。手の温もりが消え、少し不安な気持ちになるのはなぜだろう。 さっさとポップコーンの列に並び、お金を払っている和馬を見る。その姿はやっぱり大人の男の人でかっこよくみえた。『童顔のくせに』と毒づいても、心の中に暖かいものが溢れ、その毒をかっさらっていく。ふわふわとした感覚が残り、幸せだと感じた。
「はい、ポップコーン」
和馬からポップコーンの入ったバケットを貰う。ほんのり暖かくて、中からコーンのいい匂いがした。
「あ、いくらだった?」
私がそう聞く。デートでもチケットを買ってもらっているのならば、これは自分で払わなければ。そう思っていたのだが、和馬は、
「いいよ。奢ってやるよ」
とすこし恥ずかしそうに言った。
「ほら早くするぞ、映画が始まる」
赤くなった頬を手で隠しながら、和馬が言う。
「うん」
和馬はまた、私の手を引き、スクリーンのあるホールに入って行った。
席はスクリーンを正面に見据える、中心の位置。そこに私と和馬は座る。
中はもう暗くなっていて上映が始まっているのではないか、と焦っていたがまだコマーシャルが始まった辺りでひどく安心した。 ポップコーンを口に含み、横の和馬を見る。
「美味しい?」
小声でそう聞かれ、私は頷く。コーンの食感と塩のしょっぱさが、やみつきになった。和馬が嬉しそうな顔をしているのをおぼえている。
「あ、そろそろ始まる」
私はスクリーンを見た。ポップコーンは手に持っていて、暖かい。
スクリーンが暗くなった後に、オープニングの音が聞こえてきた。
___
やがてエンディングを迎え、エンドロールで他のお客さんが一斉に立ち上がった。「そんなに面白くなかったね」、「これが噂のクソ映画か」と言うヒソヒソ声が聞こえる。
私はそれよりも、和馬がなぜこの映画にしたのかが気になる。この映画は純愛映画だ。ラブストーリーをデート中に見るのか……と言った感じ。別に嫌ではないが、不思議だった。和馬の雰囲気からは思いつかない。
「帰ろっか」
そう和馬は言って、出口へと向かっていく。行きと違って私の手を引くことはなかった。なぜかは分からない。冷たい雰囲気を醸している和馬は、泣きそうな顔をしていた。
しかし、勝手でありながらも、和馬が手をつないでくれないと私は寂しくて、近くにいるはずの和馬が遠く感じてしまう。胸が痛い。張り避けそうだ。
「和馬」
私は声をかける。不安だったからだ。けれどもその声は人ごみに溶けてしまい、和馬に届くことなく、床に落ちていくのだ。
そうして和馬の背中を見ていた時、私の意識は急に途切れた。
バッと目が覚めた。大学のあの席に私はいた。寝ていたのだ。和馬に起こされる、前の位置。暖かい夕日が窓から当たる。
そして時計を見た。時刻も日付も、和馬が起した後。和馬が私を起してくれたのなら、この時間に私は寝ていないはず。寝ていたと言うことは、
「和馬がいない……?」
春の寒い時期なのに、汗が背をつたり、心臓がなる。あの時和馬と見た映画は?記憶があるのに、現実が追いついていない。さっきまで見ていたのは全て、夢……?そんなはずはない!シネマ29だって、あの映画だって、ちゃんとある。それは私の記憶が証明してくれている。なのに和馬だけがいないのだ。それはとてつもなく、悲しいことだった。
呆然と私がそこに立ち尽くしていると、手元からクシャと言う音が聞こえた。手元を見て見ると、そこには、綺麗な黒いチューリップが一本あった。手にとってよくよく見てみる。
黒く、吸い込まれるような色。青々とした葉と茎。チューリップの香り。咲き誇るようにある、その花は美しかった。
『黒いチューリップの花言葉は「私を忘れて」なんだよ』
映画のヒロインが言っていた台詞。映画で見るよりこの花はずっと綺麗だ。そしてこの花を置いたのは、その映画を一緒に見ていた和馬だけだ。
「和馬はいるんだ!」
大きな声を出してしまった。けれども言葉にしないと、また夢になってしまう気がしたのだ。安心できた。嬉しくなった。
いるとなったら、和馬に会いたい。そう遠い人では無いはずだ。私にこの花をくれたのだから。
けれども、この黒いチューリップを私に渡したと言うことは___和馬は私に会いたくないのかもしれない。『そんな気持ち、あいつの勝手でしょ?!』と言う心の声が残る。なんとしてでも、あの人に会いたかった。
「私、忘れないから。和馬のこと覚えてるから!」
強い風が、空いている窓から入り、手元の黒いチューリップの花弁を飛ばしていった。
-FIN-
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- Re: お題小説 ( No.2 )
- 日時: 2019/02/15 20:20
- 名前: ぽけ (ID: 7YSFrjgb)
こんばんは、ぽけです。
>>1 私のに書いてただいたくらいの大したことは書けませんが、精一杯書きます。
序盤の記憶喪失だ、ということが分かったところが、そういうことだと分かり辛いかも知れません。
>>彼は私についての説明もしてくれたし、本当に記憶喪失者を扱うような態度であったが、それにはこの人の優しさを垣間見た気がする。
…彼の説明とは、どれでしょう?
>>〜その少女が遅れてしまった、約束事を聞こうじゃないか。
…少女、とは誰なのか。例えなのか、あらすじなのか、分かり辛い表現だったかなーと思います。
あとは、正しい日本語のことでしょうか。一つだけですが、
>>マイナーな映画をここではみたことがないが、テレビをみていればCMとして見かける映画はここで大体見れた。
…“見れる”ではなく、“見られる”ですね。ただ、それだけです。
これらだけです。こんなことしか気付かず、情けない…。
これからも、続話を書くの、頑張って下さい。
そして、リクエストを叶えてくれて、ありがとう(*´◒`*)
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