コメディ・ライト小説(新)

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平成シンデレラ
日時: 2019/03/02 22:29
名前: 抹茶味 (ID: WwlU5OLB)

@夏目 茅花(なつめ ちか) 28
30手前にして独身、彼氏なし残念オンナ。
25までに結婚する予定だったと嘆く。
区役所のまちづくり推進課で働く。

@三島 直也(みしま なおや) 22
茅花の会社の税務課のエリート。

@椿 真一(つばき しんいち) 33
茅架と同じくまちづくり推進課の先輩。
バツイチ子持ち。

@五十嵐 光(いがらし ひかる) 28
税務課で働く茅花の同期。

Re: 平成シンデレラ ( No.1 )
日時: 2019/03/02 22:28
名前: 抹茶味 (ID: WwlU5OLB)



#01【 こんなはずじゃなかった 】



2018年・3月。


「茅花さん......茅花さん.....茅花さん?」

言われたとき、ハッとした。

「あっえ、なんですか?!」

茅花は驚いた表情で隣を見た。
茅花の視線の先には、少し曇った表情を浮かべた男性。

...じゃない。河合さんだ、河合誠さん。

河合は曇った表情のまま、愛想笑いを浮かべ、もうよく分からない感情の顔になっている。

「…すいません、つまらなかったですか?」

河合に言われ、茅花は慌てて「いやそんなことは!」と顔の前で大袈裟に両手を振る。

「なら、いいんですけど…。あの、少しいいでしょうか」

「あ、はい!なにか?」

言うと、彼は言いづらそうに俯く。
茅花は河合の顔をのぞき込んで「…あの」と呟く。

すると、河合は顔を上げ意を決したように言った。

「茅花さんは…とても可愛らしいし、素敵です。夏目社長の娘さんだからこんなことを言ってる訳じゃありません…。ですが、茅花さんと僕はどうも合わないようですし、こうして会うのも…もう無理しなくていいですよ」

「えっいや!そんな!無理なんてしてないですよ!」

茅花は焦って答える。

「…しかし、これ以上会合をしてももう何も変わらないと思うんです」

…あれ?これってもしかして、私振られてる…?

「それに、茅花さんは僕に興味がないようですし…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ははは、で?振られてこんな所で三十路前の女が1人で飲んでるってわけか」

居酒屋のカウンターで高らかにそう言いながら笑うのは、五十嵐光。

「うっっるさいなあ!別にまだ付き合ってたって訳じゃないんだし、振られたことにならないでしょ」

茅花が言うと、光は茅花のグラスにビールを注ぎながら言う。

「茅花はさ、好きだったの?その男のこと…河合さんだっけ?」

「んー…」

「んま、茅花の父ちゃんの部下だろ?見合いみたいなもんだし、好きだったって訳じゃなさそうだけど」

「はあ、私は25までに結婚して今頃優しい旦那さんと可愛い子供に恵まれて幸せな生活送ってる予定だったのにな~」

「現実は旦那と子供どころか彼氏もいねえもんな」

「何よ、自分だって彼女もいないくせに」

「俺はいないんじゃなくて作らないだけだから。お前と一緒にすんな」

「だって光、22の時は彼女いたけど仕事始まってすぐ別れて、それからもうご無沙汰じゃん」

「彼女はいなくてもモテんの。俺は茅花と違って」

「なーにそれ。じゃなんで彼女作らないの?」

茅花が言うと、光は「え、そ、それはその…」と目を泳がせた。

「…俺はさ、ずっとさ…好きな人が…て、聞いてねえのかよ!」

光が隣を見ると、茅花は隣に座っていたオジサンたちと何やら盛り上がって話していた。

「ごめん、なに?」と茅花。

「んでもねえよ!」も光。

「はあ~もうあと1年で平成も終わるし、平成中に結婚したかったなあ~」

茅花が言い、光は「確かにな。もう平成も終わりか。俺らも次の年号のやつらにバカにされるんだな」と微笑んだ。

「私たちぎりぎり昭和生まれじゃなかったのも、別にもう威張れないってことよね」

「だなー」




2019年に平成が終わることが発表された。

それからの2018年はというと、何かにつけては《平成最後の》なんて付けてはSNSに楽しそうな写真をアップしたりする人がたくさんいたもんだ。

そんなSNSを見て、くだらないなーとか思いながら、いいなーとか思って妬む自分がいた。

22で大学を卒業して区役所に就職。
それからの6年間、働きたくはないけど真面目に働いてきた。
でも別に仕事人間だった訳でもない。

私だって友達とも彼氏(長続きはしていない)ともたくさん遊んできた。

22の時には6年後にこうなるなんて思ってなかった。

私は昔から恋をしがちで、初めて付き合ったのは中学生の時。

これまで4人の人とお付き合いたいさせてもらってきたけど、見事に全部ふられてる。

さっきも言ったけど25までには結婚して、子供もいて、幸せに暮らす予定だったのに。

こんなはずじゃなかったなあ。

なんて思うと、昔のようにコロコロ人を好きになったりしないし、できない。

心が枯れてきてるし、歳をとるにつれてモテなくなるし。


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