コメディ・ライト小説(新)
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- こんなはずじゃなかった。
- 日時: 2019/03/17 00:34
- 名前: ハンガー (ID: 0C/btS2q)
はじめまして!気が向くままに更新しようと思います。
<登場人物>
岩泉 里々佳(いわいずみ りりか) 女
高校2年生。多分どこにでもいるような普通の女子高生。
深浦 悠人(ふかうら ゆうと) 男
高校2年生。元気でお調子者。ドSな面がある。
結城 有紗(ゆうき ありさ) 女
高校2年生。里々佳のクラスメイト。クール美人。
名寄 秋也(なよろ しゅうや) 男
高校3年生。地味で目立たないが顔は整っている。ゲームばっかしてる。
瀬戸 晴香(せと はるか) 女
高校1年生。明るくてかわいい。
山口 大樹(やまぐち だいき) 男
高校3年生。お母さんのような人。
- Re: こんなはずじゃなかった。 ( No.1 )
- 日時: 2019/03/17 00:36
- 名前: ハンガー (ID: 0C/btS2q)
「え、再婚!?」
とある日曜の昼下がり。居間にいた私の耳に衝撃的な文章が入ってきて困惑。
「そう、うちに何回か来てるから里々佳も知ってるでしょ?深浦孝人さん」
「ああうん」
私のお父さんは私が産まれた時には既にいなかった。死んだのか離婚したのか、詳しいことは分からない。
ここまで女手一つで育ててくれたお母さんにはもちろん感謝している。お母さんに数か月前から彼氏がいたことは知ってたし、それでお母さんが幸せになれるなら私は全然かまわない。
でも突然再婚と言われましても。しかも相手がうちに引っ越してくるのが明日と言われましても。挙句の果てに相手にも連れ子が一人いると言われましても。
情報量が多すぎて大混乱。
「ごめんね急で」
「ほんとだよ」
「孝人さんの連れ子、あんたと同い年みたいよ。仲良くしてあげてね」
「マジかあ」
私は自分の部屋に戻ると、ベッドに飛び込んだ。
自分ちに他人が住むの、何か嫌だな。まあこれから家族になるわけですが。
新しいお父さんの子供、どんな人だろうか。男?女?どっちでもいいけど仲良くなれんのかな。名字は変えなくていいってことだからめんどくならないのは良いけどさ。うわ何か緊張してきた寝れねえ。
そう思ったのも束の間、即寝落ちした。
「よし」
次の日。月曜であるが今日は祝日だ。私は珍しく早起きをし、珍しく身支度に時間をかけた。
第一印象が大事っていうからな!
少し癖のある髪の毛はアイロンで真っ直ぐにし、目にかかりそうでかからない前髪はくるくるねじってピンで留める。服装もそれなりに清潔感のあるものを着て、ナチュラルメイク、リップクリームも塗って準備完了。
ちょうどピーンポーンと玄関のチャイムが鳴り、お母さんに呼ばれたので玄関に向かった。
「里々佳ちゃん久しぶり、今日からよろしくね」
にこやかにそう言う新しいお父さん。私も笑顔で「よろしくお願いします」と返す。
「悠人、お前も早く入って来てあいさつしなさい」
連れ子の人かな。悠人ってことは男か。悠人、深浦…悠人……
同い年の深浦悠人…?え、やだ、まさか
「ども、深浦悠人で…はあ!?里々佳!!?」
「マジかい」
深浦悠人。私の、元カレでした。
「なんだ二人とも知り合いなのか?」
「あ、いやまあ、中学から、一緒だし?な?」
「そ、そう!高校も一緒で、なんなら同じクラスで同じ部活です!」
「あら、じゃあ気が楽ね。もう少ししたら引越センターのトラック来るのよね。大きい荷物運ぶのは私たちでやるから、その間二人はその辺散歩でもしててくれる?」
いや、気が楽じゃねえよ!気まずいよ!なんで追い出すんだよお母さん。
別れて約1年半。今は高校2年の春。付き合ったのは中学2年の夏から半年間。
まだちょっとさあ、気まずいよねえ?しかも悠人はあれなんだぞ、中学も悠人と私は部活一緒だったんだけど、中学卒業間近辺りから同じ部活の後輩と付き合いだしたんだぞ。
私自身悠人に未練はないし、その後輩のことも可愛くて好きだからべつに嫉妬とかないけど、元カレとひとつ屋根の下生活ってシチュエーションが既に気まずいでしょ。
「まさか再婚相手、お前の母親だったとは」
「それな」
私たちは適当に、近所の公園のブランコで時間を潰した。気まずいといっても毎日学校で顔合わせてるし、部活一緒だし、それも既に気まずいんだけど気まずさの延長戦と思えば問題ない。
いや大ありだな。最悪じゃん。
悠人とは中学3年間クラスは違ったものの、部活が同じだった。高校1年の去年もそうだった。なのに今年、クラス替えで同じクラスになってしまったのだ。学校で嫌というほど顔を合わせているのに、家でまで顔を合わせなきゃなんないのか今日から。ホント最悪だな。
「まあ、よろしくな」
「よ、よろしく。晴香とは上手くいってんの?」
「ご心配なく、順調だよ」
瀬戸晴香。部活の後輩で、今の悠人の彼女。年は一つ下なので、今年高校一年生。もちろん同じ高校、同じ部活だよ気まずさの極みだわ。
「悠人が元カノの私とひとつ屋根の下なんて知ったら、私晴香に嫌われるかもなー」
「そんな奴じゃないだろ。前にお前と2人でカラオケ行こうと思って誘おうとした時も、全然OKな感じだったし」
本当にそうなのか?内心どう思ってんのか分かんねえぞ?
「って、え?カラオケ?誘われてないけど」
「ああ、何か俺すげえ避けられてて誘えなかったんだよな。全然目も合わせてくんなかったし」
「ごめんなさい」
や、だって気まずいんだもん。
悠人はカラオケ好きで、私もカラオケ好きで、付き合う前からよく2人で一緒に行っていた。もはやカラオケ友達。
もちろん、別れてからは一度も一緒に行っていない。
「ま、今度一緒に行こうぜ」
「そーだね行こうか。……あのさ、ぶっちゃけ気まずくない?」
「今?」
「いや今じゃなくて。今もだけど」
「んー、全くないと言えば嘘になるけど、俺は里々佳と今まで通り普通に話したいし絡みたい。お前のそのひっくいテンションもぶっちゃけ絡みづらいから、今まで通り普通にしててくれるとありがたい」
そう言って苦笑いする悠人。まあそっか。これから一緒に暮らすわけだし、変に気使ったりしないように努力しよ。
「里々佳って今好きな奴いねえの?」
うわあびっくりしたあ。直球!!!
「気になる人なら」
「誰!?」
「食い気味だな!あれだよその…誰にも言わないって約束できる?」
「できる絶対言わない」
「……秋也、さん」
「秋也さん!?マジか!」
名寄秋也さん。部活の一つ上の先輩である。もう部内恋愛は絶対にしたくなかったのだが、まあ好きになる相手なんて意識的にどうにかできるものではない。
秋也さん、正直言って地味である。でも顔面超タイプ。ゲームばっかやってるし性格は陰キャって感じでもう闇オーラとか出てるけど優しいし好き結婚したい。あれ、気になってるどころじゃなかった。
「俺が、どうしたって?」
「「!!?!??!」
背後には噂の秋也さんが立っていた。あぶねえよダメでしょブランコの後ろに立っちゃ。
「秋也さんこいつが秋也さんのこと好」
「は!?何!!?何言ってんの悠人!私が秋也さんのこと好き!?いや無いキモイでしょそんなの!!!あはははは!!!!!」
ああああああああああさいっあくうううううううう!
ほら!見て秋也さんを!急に暴言吐かれて左目から静かに涙流してるじゃん!まあ暴言吐いたの私だけど。嘘!それ嘘だよ秋也さん!
そうだ悠人はこういうやつだった。私をいじって反応を楽しむような奴だった。私何でこいつと付き合ったんだろう。
「あ、いや秋也さん、違うんですって」
「はあーーーーーーーーーー、死にたい」
「死なないで!」
秋也さん好きだからあああ死なないでええええええ。
さて。私のキャラ崩壊もいいとこだ。というか素が出てると言ったほうが正しいかもしれない。すごい、悠人との気まずさがなくなるだけでこんなに楽なのか。素っていいな。
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