コメディ・ライト小説(新)
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- シュラインメイドゥンの推理
- 日時: 2019/03/24 22:05
- 名前: 羽山 うさぎ (ID: voaJF3ad)
はじめまして、羽山 うさぎ(はねやま うさぎ)と申します。
拙い文章ですが、最後までお付き合いいただけると光栄です。
- Re: シュラインメイドゥンの推理 ( No.1 )
- 日時: 2019/03/24 23:44
- 名前: 羽山 うさぎ (ID: voaJF3ad)
#1:一生許せない事って誰しも一つや二つはあるよね、の巻
今から10年前、都心から少し離れた閑静な住宅街で事件が起きた。先祖代々受け継がれてきた由緒正しい花咲神社の神主とその妻が何者かによって殺されたのだ。未だ未解決のその事件は時が経つにつれて、地域住民からも忘れ去られつつあった。
現在
花咲神社の隣に建つ母屋に大きな声が響いた。
「ねえ、あんた達そろそろ起きないと高校初日から遅刻だけど」
巫家の長女、巫翠(かんなぎ すい)は長い廊下を駆け足で駆け抜け、全く起きる気配のない3つのドアを交互に叩いていた。時計の針は8時を指している。ドアをノックし続けること数分後、一つのドアが開いた。
「翠、お前、人を起こす時はもっとやり方ってもんがあるだろ」
起こしてもらった人とは思えない態度をとっているのは巫家の長男、巫奏(かんなぎ そう)だ。そう一言言い放つと、眠気まなこをこすりながらベットへ帰っていった。
「今日みんな入学式だけど、、、」
いつもは他の兄妹のことなど気にしない翠だが、今日は違う。今日から巫家の兄妹は高校に入学する日なのだ。しびれを切らし1人で出発しようとした時、来客を知らせるベルがなった。急ぎ足で玄関に向かうとそこには翠と同じく、真新しい制服を着た女の子が二人立っていた。一人は翠達の唯一の従兄弟である久我桜蘭(くが おうらん)だった。
「桜蘭、わざわざ家まで来たの?」
翠が驚くのも当たり前である。桜蘭は久我コーポレーションの社長令嬢だからである。小学校の頃からお嬢様学校に通っていたが、奏に思いを寄せるあまり巫兄妹と同じ公立の高校に通うことにしたのである。
「春明叔父さんもよく許してくれたよね。」
久我春明(くが しゅんめい)は桜蘭の父であり、久我コーポレーションの社長だ。幼い頃から桜蘭に名門の学校に通わせるほど教育熱心だった。そんな春明がどうして翠達と同じ効率の高校に通うことを許してくれたのか不思議だったのだ。
「パパには奏ちゃんが通う高校だって言ったらすぐ許してくれたわよ。奏ちゃんは日本一の頭脳を持っているから間違いないって」
確かに奏はとても頭が良い。テストはいつも満点で、模試は全国で一番だった。しかしそれとこれとは話が違う。巫家は両親を亡くしてから祖父の年金を両親の残した少しばかりの貯金、それから桜蘭が春明に頼んで毎月生活に困らない程度の仕送りをもらっている。しかしそれでも贅沢はできない。兄妹達は皆、家からほど近い高校に進学することを決めたのである。その高校のレベルは、春明が求めているレベルとはかけ離れている。しかし奏と同じ学校に進学することができれば桜蘭にはどうでもいいことらしい。
「あ、さっきから気になってたんだけど、、、桜蘭の隣にいる子って誰?」
桜蘭と共に訪ねてきた桜蘭の陰に隠れている女の子についてようやく問いかけた。
「知らないわ。私が奏ちゃんのお家に送ってきてもらう前から神社の前にいたらしいわ。一緒に来ただけよ。あなたどちら様?」
桜蘭のあまりの乱雑さに呆れながらも翠も続けて問いかける。
「あ、もしかしてうちの神社にお祓いの依頼とかですか?でしたらうちの祖父が対応いたしますの、、」
そう言いかけた時に震えながら声を発した。
「あっ、、昨日から、、引っ越してきました、、沢野みなみです。これ、、良かったら皆さんで食べてください、、、地元の、、、青森の、、お菓子です、、!」
そう言って紙袋を渡して即座に立ち去ろうとした女の子の腕を翠がすかさず掴んだ。
「お菓子、ありがとう。私は翠。その制服、、、私たちと同じだよね。良かったら一緒に学校行かない、みなみちゃん?」
そう言うと、みなみの顔がみるみるうちに赤くなっていった。言葉を発する代わりに首を縦に揺らした。
「本当はあと3人いるんだけど、、、もう時間だし、行っちゃおうか」
こうして3人で高校に向けて歩き出した。するとしばらくして桜蘭が、
「私の今日の楽しみは奏ちゃんの新入生代表のスピーチですの。毎年主席合格の人が行うらしいですわよ。奏ちゃん、今頃リハーサルしてるのかしら。」
その桜蘭の何気ない一言を聞いて、翠は固まった。
「奏、、まだ寝てると思う、、」
そう言い残して翠は走って母屋に帰っていった。
「奏!代表で挨拶するように頼まれてるんでしょう?!早く準備して」
翠は再び長い廊下を走り、奏の部屋のドアを蹴り壊した。しかし部屋から出て来たのは違う人物だった。
「あれ、翠なにやってんのヨ。」
少し癖のあるイントネーションでそう語りけて来たのは巫家の次女、巫楓(かんなぎ ふう)だ。もうすぐ入学式が始まると言うのに涼しげな顔で髪をセットしている。
「楓、なにしてるの、、ここ奏の部屋だし。」
楓は人の部屋で当たり前のようにヘアアイロンを使っていた。
「ああ、この前ヘアアイロン壊しちゃって、奏に直してもらってたから、取りに来たの。でもここじゃなきゃまだ使えないみたいなのヨ。ってか、翠、その制服の着方はないヨ!ダサすぎだヨ!もっとスカート短くしないと!」
さっきまで何度起こしても起きなかったのにも関わらず、制服の着こなしはバッチリで、翠にダメ出しをする始末だ。呆れた翠は楓の話には触れずに本来探していた、奏の行方を訪ねる。
「ねえ、奏知らない?」
すると楓は見向きもせずに。
「今日へ研究室で大事な発表会があるからいけないってヨ。翠がきっと帰って来て僕を探すだろうからこれを渡してくれって言われたヨ。」
そう言って封筒を渡して来た。よく見ると封筒の表に付箋が貼ってあった。
『僕はいけないから代わりに翠が読め。どうせ首席の次はお前だろ。問題ない』
そこから先の翠の意識は驚きと怒りで朦朧としていた。
そしてやはり、学校に着くや否や、教師らしき人に声をかけられた。
「巫奏の姉の巫翠だな。今日は巫奏は急病で休みだそうだな。代わりにお前が読め、原稿も預かって来ただろ。」
翠は人前で話すことが苦手だ。混乱しながら入学式は始まってしまった。
「そうだ、本番前に一度読んでおかないと、、」
そう思い立った翠は式中にひっそりと目を通すことにした。
「えっ、、、」
封筒を開けた途端に言葉を失った。中身は白紙だったのである。代わりにもう一枚の付箋が入っていた。
『研究続きで原稿なんて書く暇がない。それに俺の文をそのまま翠が読むとなると変だ。お前はお前の気持ちを話せ。』
「他人任せにもほどがあるでしょう」
奏に強い憤りを感じていると、名前を呼ばれた。出番だ!
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