コメディ・ライト小説(新)
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- 短編小説集!!
- 日時: 2019/04/05 20:18
- 名前: 桜色ニ染マル (ID: GA2wUosQ)
短編小説集に成ります!
ほぼ主の自己満になります!
書いて貰っても構いません!
はじめまして、ハイテンションですみません。
宜しくお願い致します。
(´·_·`)
更新は不定期で有ります!
追記:大体千文字前後なので暇なときに御覧ください。
>>1 雨のトンネル(奇病、恋愛)
- 雨のトンネル ( No.1 )
- 日時: 2019/04/05 13:39
- 名前: 桜色ニ染マル (ID: GA2wUosQ)
窓辺に立ち、外を見ている僕の愛猫。
窓に打ち付ける雨は、朝より弱く為った。静かな部屋に雨音だけが響き、
他には何も聞こえない。
ここは、良く雨が降る地域として有名な所らしく、
移り住む時にやめた方が...と言われた位だ。
突然、愛猫が窓を引っ掻き始めたので、体を持ち上げると暴れる。
「どうしたの、遥花。窓に傷が付くでしょ」
背中を撫でると落ち着いたようで、暴れるのを止めた。
するっと僕の腕から降りて青い瞳でこちらを見ると、窓が音もなく開いた。
打ち付けていた雨が容赦なく家の中に入る。
「悠さん、こんにちは。やっとお話が出来ますね」
「遥花...なの?」
窓から声が聞こえた方へ視線を向ける。そこに居たのは愛猫ではなく、
灰色の髪をさらさらなびかせている青い瞳の少女だった。
「窓、開けちゃってごめんなさい。特に理由は無いんです」
柔らかく笑う彼女は、僕の方へ来ると手を取った。
「行きたい所が有るんです。一緒に」
外はまだ雨が降っている。しかも、まだ寒い。手を引く彼女は、白の薄いワンピース姿
だからきっと、寒いだろう。
「このままじゃ、風邪ひくよ。これ着てから行こう」
「ありがとうございます。悠さんも厚着して下さいね」
近くに有った僕のコートを羽織らせ、僕は、薄い上着を着る。
傘は確か二つ有ったから問題無い。
雨の中、彼女は僕の裾を掴み並んで歩く。
森の中をしばらく歩くとトンネルが現れた。煉瓦造りの比較的綺麗なトンネル。
灯りも点いていて、ほんのり明るい。
「もう少しで着きます」
トンネルを抜けた先は、晴天だった。
雲ひとつ無い絵の具で塗り潰したような空。晴天の日なんて久し振りに見たから、
眩しくて仕方無い。
「ここです。裏から入りましょう」
立ち止まった大きな御屋敷。煉瓦造りの門の横、細い路地から裏へ回ると
扉があった。彼女がノックすると、音もなく扉が開き、召し使いの格好をした少女が
笑顔で出てきた。
「お久し振りです。待ってましたよ」
「そんなに期待されると、困りますよ?」
「きっと、貴方様なら大丈夫ですね。どうぞ、お入り下さい」
言っている意味が分からなかった。
遥花は僕の方をちらっと見たあと、お邪魔しますと言い、裾を掴んだまま
僕ごと家に入った。
「お嬢様、お客様です。入りますね」
「誰ですか?遥花様の隣...」
「トンネルの向こうの方です。遥花様が連れてきて下さいました」
白い髪に紅い瞳の少女は、ベットから上半身を起こし、微笑むような表情をしている。
カーテンが閉めきられ、電気が点いているその部屋はノートが沢山本棚に刺さっていて
ベットの上にまたがる机の上にはノートとシャーペン、色鉛筆が並んでいる。
「わざわざありがとうございます。でも、私はもう治す気は無いですよ」
「お嬢様...」
「華恋さん、お話しましょう。少しだけで良いんです」
自己紹介から始まったお話は、長く続き、夕方になる頃迄にこの状況を知った。
彼女の名前は華恋で、奇病を発症し、もう余命は一年と宣告された事。
その奇病で、髪や肌の色が抜け落ち、足が動かなくなってしまった事。
そして、両親は亡くなって親戚にお金を出して貰って要ること。
「今日は隣の部屋を使って下さい」
もう遅いからと、隣の部屋に泊まる事になった様だ。
遥花は、反対側の部屋を案内されていた。
-その夜
「悠さん、少し良いですか?」
部屋に来た召し使いの楓さんから呼び出され、華恋さんの部屋へ行った。
「楓さん、ありがとうございます。もう休んで下さい」
「はい。失礼しました」
楓さんの足音が遠ざかると、華恋さんは僕に向かって小さく笑った。
昼間閉まっていたカーテンは開いていて、街の夜景が綺麗に光っている。
「もうすぐ私は絵を描けなくなるんです。そしたら、死のうと思っています」
「描けなくなったら死ぬんですか?」
「はい。なので、貴方に手伝って欲しいと思いまして...」
「...嫌です。殺せません」
彼女の瞳が小さく揺らいだ。
「私は貴方を知っています。殺せないと言った理由も全部」
彼女の紅い瞳から透明な涙が零れる。
この顔を何処かで見たことがある。何処かで必ず。
「会いたかったです。大好きです」
「僕も...大好きなはず...」
思い出した。
「小雪さんだ...」
「あはは、思い出したね」
あの事件があった後、僕も後を追うように命を経った。
「繰り返さない、そう誓った」
「でもっ...」
「小雪さん、あのね」
ポロポロ零れる涙。
同じ過ちを繰り返す。
その奇病を患ったのは、過去二人目だそうです。
少女を救えるのは彼のみ。
奇病を治す鍵は彼が持っています。
ありがとうございました。
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