コメディ・ライト小説(新)
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- 僕に希望をくれた君と。(仮)
- 日時: 2019/04/20 23:08
- 名前: 新・ゆでたまご (ID: Gui0iSKB)
本当の好きな人って誰だろう……
周りは「○○が好き」「付き合った」などと言っているが
それは本当に好きな人なのだろうか……
ふとそんなことを考える時がある。
僕が思う「好き」は本当に「好き」なの…?
心のどこかでは別の人を想っているのかもしれない。
そもそも僕には……
本当に好きな人なんているのだろうか。
本当に頼れる人なんているのだろうか。
この小説は中学1年生になった自分の実体験も含んだ作品になっています。不定期更新ですが見てくれると大変うれしいです。
- 一、幼なじみ(1) ( No.1 )
- 日時: 2019/04/20 23:09
- 名前: 新・ゆでたまご (ID: Gui0iSKB)
第一章
僕は現在静岡という田舎なのか都会なのかよくわからない場所に住んでいる。最近は桜が見ごろのようだ。僕が今日から通う富士見台高校の校門付近には満開に咲いた桜の木が植えてある。
きれいではあるが、その景色はすぐに幻のものになってしまうであろう。桜の花びらはすぐに散って無くなってしまう。
桜の木は枯れていく。夏や秋になれば皆桜のことなど忘れ去ってしまう。
元気に咲き誇る桜を見てそんなことを思った直後、後ろから母の声が聞こえてきた。
「写真、撮るわよ」
入学する生徒でいっぱいの校門でも、母の姿ははっきりとわかる。
赤色のワンピースなど着てくるのはうちの母か……
母の隣にもう一人の目立つ母親がいた。
あの人くらいだな……
あの人、とは言ったが知らない人ではない。むしろ僕にとっては子どものころから2人目の母親のような感覚だった。
無論、僕ではない他の誰かの母親なのだが。うちの母とは学生時代から仲が良かったらしい。
そして、誰の母親なのかと言うと、僕の1つ上、つまり高校2年生になる榎本遥香の母親である。
母は同年代ならよかったのにと悔やんでいたが僕は同年代じゃなくてよかったとも思っている。同年代だったら色々とすれ違いが起きて喧嘩になってしまうかもしれない、と思うからだ。
第一、僕は…………
「よ―――っ!一輝久しぶり!」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
僕は振り向いたが、遥香は勢いよく走ってきたのか直前でこけてしまった。そのまま僕にぶつかり巻き込まれてしまった。
「…何やってるの」
1日目から制服を汚してしまったことに若干怒りを感じながらも静かに言った。
「ごめん、ごめん」
遥香はペコッと少し頭を下げると、次の瞬間キラキラした目で僕を見てきた。
「ど、どうしたの?」
「いよいよお前も高校生かぁ、小さい頃が懐かしいな」
遥香はまるで僕のことを弟とでも思っているのか頭を撫でてきた。
恥ずかしい。
はたから見たら姉弟だ。まぁそっちの方が変に誤解されるより都合はいいかも…?
「あら、遥香ちゃんじゃない」
母が遥香に気付き笑顔で近づいてきた。
「いつの間に大きくなって。でもまぁ、変わってないといえば変わってないわね」
遥香はペコッとぎこちないお辞儀をすると、再び僕の方に寄ってきた。
「写真撮ろ?」
写真、か。どうせ一生残る写真なら遥香と撮っておきたいな。
僕たちは写真を撮るために並んでいる列の一番後ろに並んで順番を待った。もちろん写真を撮ってくれるのは母だ。
いよいよ僕たちの番。2年生は準備があるため早く集まってくれという放送があったため、急いで撮る準備をする。
「はい、チーズ!」
母はいきなりシャッターを構えた。
僕はポーズを取るのが遅れた。でも、やっぱり遥香はさすがだ。
母が写真を撮る直前、僕の肩に手をかけて左手でピースを作った。
「なかなかいい写真が撮れたよ」
僕の映りは悪いだろうな、とは思っていたけれど。
遥香のおかげで少しでも良く映っていた。
「仲良く撮れてるよ」
と母は言った。たしかにこれを見たらみんなそう思うだろう……
「じゃあ、またね!」
遥香は2年生の集まりがあるからと、校舎に入って行った。
ちょっと寂しいな。
僕は最近遥香がいなくなると毎回寂しさを感じていた。遥香以外の誰かと別れる時はこんな気持ちないのに。
なんか、もやもやする。こういうのって、好きって言うのかな……?
僕にとって遥香は、唯一信頼できる存在。そして唯一の幼なじみだ。この高校を選んだ理由、それは遥香がいるからだった。お互い親の仲がいい為大賛成であった。
僕は遥香を見送っていたが時間が来たようで新しい教室へと向かった。
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教室ではちょっとした自己紹介、教科書配布などをし、すぐに下校となった。
今日は2年生、3年生も同じ下校時間だ。せっかくだから遥香と帰ろうかな。
そんなことを思いながら外に出た時だった。
「お、やっと来た、遅かったじゃん」
遥香がいた。目の前に。
僕はとっさに目をそらしてしまった。気付かずに近づいてしまったため、あまりにも距離が近かったからだ。
「遥香が早いだけだよ」
僕は言った。
「そうかもね」
遥香は笑って言った。
校門の近くまで行くと親が待っていた。僕達は4人で歩いて帰った。
「お父さんも来ればよかったのにね」
母は言った。
僕の父も遥香の父も来ていない。どうしても仕事がはずせなかったらしい。まぁ来なくてもよかったのだが母はずっと責めていた。そして何度も謝られた。謝る必要なんてないのに。
僕たちの家は高校から遠くない。歩いてせいぜい30分だ。僕の家に先についたため、僕は遥香に手を振ると家の中に入って行った。
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