コメディ・ライト小説(新)
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- 恋愛成就部~あなたの恋、叶えます!~
- 日時: 2019/08/04 10:53
- 名前: 雪葉丸。 (ID: w1S1CQYP)
恋愛成就部。
それは、名前の通り恋を叶える部活。
一癖も二癖もある部員が、あなたの恋、叶えます!
- Re: 恋愛成就部~あなたの恋、叶えます!~ ( No.1 )
- 日時: 2019/08/04 11:07
- 名前: 雪葉丸。 (ID: w1S1CQYP)
1.ラブレター
遅刻だ遅刻だ!!
慌てながらも内履きに履き替えて、廊下を急ぐ。
急ぎながら自己紹介しとこ!
私、坂野春佳。
ごくふつうの中2。
部活は家庭部で、人間関係はそこそこ。
というか友達がね、…居ないわけではないけど少ない。
特に目立つような事もないけど、国語はまあまあ得意かな。
とまあ、自己紹介は一旦おしまい!
遅刻ってほんとにヤバい。
ラノベや漫画だと、「ヤバい」とか言いつつちゃっかり青春してるじゃん?
現実は全然違う。
まず遅刻自体が恥ずかしい。
だって目立つし?
目立つのイヤだし。
朝寝坊とかの理由なら兎も角。
私の理由は、ラブレターを下駄箱に入れようと朝早く来てたのに、好きな人の下駄箱の位置がわからなくて迷ってたら遅刻!!だからね…。
結局、なんとか入れてきたけど。
回想しながら走って、教室に到着。
先生がまだ来ていないのがラッキーだった。
みんなの視線をかいくぐりながら、鞄を片付ける。
片付けが終わったところで先生到着。
良かった~、間に合った~!
ホームルームが始まるのをぼーっと見ながら、そういやせっかく、遠い方の階段使ってきたのに、ついに好きな人の教室を伺えなかったなぁとか考える。
めんどくさいし、変わり映えのない平穏な1日が始まる…。
- Re: 恋愛成就部~あなたの恋、叶えます!~ ( No.2 )
- 日時: 2019/08/04 11:30
- 名前: 雪葉丸。 (ID: w1S1CQYP)
昼休みになり、煩わしい授業は一旦終わった。
親友の、川見美里と昼食を食べて、教室で絵を描いていると。
「東谷~、顧問が呼んでるぞ」
教室の入り口から、ちょっと低い声が聞こえてきた。
途端に心臓がバクバクと音を鳴らす。
見なくても、わかる。
赤嶺晴輝───私の好きな人で、今日のラブレター遅刻をした原因でもある。
一年前に同じクラスになって、最初はただうるさい奴だと思ってたけど。
笑顔がとっても可愛いことを発見し、私が恋に落ちたのである。
寝癖なのかわからないけど、少しツンツンしてる黒髪。
そしてお世辞にも目つきが良いとは言えない切れ長の瞳。
身長165㎝の私より、少し高い。
ラブレターのこと、言われるのかなとドキドキしていると。
赤嶺は同じ部活の男子を呼びに来ただけらしかった。
あれ…?
ラブレター、見てないのかなぁ、と不安になったそのときだった…!
「坂野春佳はいる?」
少し高い女子の声。
えっ…?
美里に「ちょっと行ってくるね」と声をかけて、廊下に出ると。
私より少し背の低い、茶髪をくるんと、縦巻きロールにしている女子がいた。
大きな瞳が特徴的だ。
この女子の名前は、名前を忘れやすい私でも覚えてる。
有川蒼依…学年で一番頭のいい子で、そして美人。
そんな人が、私に何の用が?
「隣の空き教室で話しましょう」
有川さんが、ニコッと微笑んで言った。
えっ…人様に聞かせれないような話なの…?
一抹の不安を抱えながら、隣の空き教室に入る。
- Re: 恋愛成就部~あなたの恋、叶えます!~ ( No.3 )
- 日時: 2019/08/04 11:45
- 名前: 雪葉丸。 (ID: w1S1CQYP)
2.恋愛成就部!?
有川さんが相変わらず、ニコニコと微笑みながら、制服のポケットから、あるものを取り出す。
こっ、これは…ッ!
可愛らしいデザインの封筒。
裏のシールは最近流行ってるキャラクター。
そして、その下には。
『2-2 坂野春佳』
見覚えのある、手紙…。
表面には、『赤嶺くんへ』。
今朝、私が下駄箱に入れたはずのラブレター…!!
何故に有川さんが持ってるの…!?
「これ、私の下駄箱に入ってたわ。ついでに言えば、私は2-4、赤嶺は2-5よ」
私の脳内で、ベートーベンの『運命』が流れ出す。
雷に打たれたかの衝撃が全身に走る。
クラスと下駄箱を間違えたーーッ!
頭を抱えた私を余所に、有川さんはラブレターを制服のポケットにしまった。
「えっ、返して…!」
私が伸ばした手を、有川さんはひしっと握った。
「このラブレターは、あなたが協力してくれるまで返さないわ…お願い、手伝って!」
手を握ったまま、有川さんが頭を下げた。
へっ…??
「『恋愛成就部』を立ち上げるから、部員として入ってくれる!?」
有川さんが頭を上げる。
吸い込まれそうなくらい大きな瞳には、涙が。
えっ、えーと?
『恋愛成就部』…??
- Re: 恋愛成就部~あなたの恋、叶えます!~ ( No.4 )
- 日時: 2019/08/04 14:28
- 名前: 雪葉丸。 (ID: w1S1CQYP)
有川さんが、えっへんと微笑んだ。
背景に百合が飛んでそうな笑顔だなぁ。
「この学校の生徒が抱える悩みのひとつが『恋患い』よ。それで学業に支障が出るの。ならば、」
と一旦そこで言葉を切って、有川さんはバン!と手元の机を両手で叩く。
「私たちが恋を叶えてあげれば、悩みのひとつは消えるんじゃなくて?」
んー、まあそうだなぁ。
私も恋してるからわかるけど、恋に一生懸命になって他が疎かになったら、なんか嫌だよね。
「でも、それだけで部活になるの?内申書にプラスになるの?」
私は、抱えていた疑問を有川さんに問いかけた。
有川さんは、自信満々といったような勝ち誇った笑顔で、
「兼部だから大丈夫よ!私だったら、バドミントンと恋愛成就部、みたいにね」
なるほど…?
納得したようなできないような…。
そんな私の心中を読み取ったのか、有川さんが制服のポケットからラブレターを取りだした。
「これ、赤嶺に渡しちゃうわよ?」
「わかりました!恋愛成就部、入らせていただきますっ!」
それを出されちゃおしまいね。
私は、嬉しそうに飛び跳ねる有川さんを見ながら、どうなることやらと小さく溜め息を吐いた。
- Re: 恋愛成就部~あなたの恋、叶えます!~ ( No.5 )
- 日時: 2019/08/04 20:39
- 名前: 雪葉丸。 (ID: w1S1CQYP)
3.最初の依頼
放課後になり、廊下に出ると、有川さんがいた。
そして私を見つけると、
「最初の依頼があったわ!」
とニコニコと私の腕を掴み、隣の空き教室へ連れ込む。
そこの椅子に座っていたのは、不安そうにおどおどと下を向いている女子。
髪型はポニーテール。
瞳は、少したれ目気味。
一般的に言う、《かわいい子》だ。
「依頼者の、常田奈津さん」
常田さんが、ぺこりと頭を下げた。
「さぁ、始めるわよ」
有川さんが太陽のように明るい笑みを浮かべた。
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