コメディ・ライト小説(新)

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ネット依存症の俺は成仏できない
日時: 2019/08/08 18:56
名前: ミミズク (ID: J7cTSWkd)


死んだ。

俺はたった今、交通事故で死んだ。まさか、人生が16歳で終わるとは。

車にぶつかられた時の痛みは大分酷いものであったが、まあ、死んでしまえば、割とあっけないものだ。
ただ、轢かれて直ぐに死ななかったのはちょっと嫌だった。
病院で治療を受けたが、どちらにせよまあ俺の頭は既に使えるものではなかった故に助からなかった。
俺は魂だけの、身軽な存在になった。所謂霊とかいうヤツ。
オカルトの類は一切信じていなかったが、死んでから初めて、根拠もなく糾弾して悪かったな、と思う。

さて、どうしようか。どうやら遺体がある内は成仏が出来ないらしい。それこそ根拠がある訳ではないが、49日間は暇になる。
ふと、友人にメールを返していないことに気がついた。そういえば、携帯は何処だろうか。現在は病院に居るが、母さんは駆け付けてからずっと泣いているし、父さんは遠くに出張している途中であったのでまだ着かない。弟はまだ学校だ。
それで良い。受験生は勉強にひとまず励んでくれ。

フラフラと飛んでいると、廊下を歩いていた爺さんと目があった。…気がした。まあ気のせいだろうと思った。もしかしたら、病院では良くあることなのかもしれないし。幽霊が出る、なんて言うのは。

自分の遺体のある部屋へ着くと、隣の机に俺のカバンらしきものが見えた。
あの中に、あの中にあるはず。ふと腕を見ると、少しだけ透けていた。前言撤回。普通に遺体があっても成仏はするのかもしれない。ならば、急がなければ。
カバンは轢かれていなかったはずだ。というか、車に吹っ飛ばされた時、カバンには大量のタオルが入っていたはずだから、携帯は一先ず無事な筈。
まあ、自分がそれで死んでしまったなら意味がないが。もう嫌だ。野良猫助けたりしない。
カバンを覗いた。あった、あれだ。そう思って手を伸ばした。友人に、最後くらいはまともなメッセージを送りたいと思ったからだ。

しかし、それは叶わなかった。俺の手は、携帯をすり抜けたのだ。

「……え?」

焦った。何度も何度も試みたが、駄目だった。もしかして、と思い、カバンに触れてみようとする。触れた。何故だ、何故携帯だけが…
一先ず、触れる物と触れない物を分別する為に、外へと飛び出した。壁にはぶつからずにすり抜けたが、意識すればすり抜けずにぶつかることができた。
テレビには触れた。電子機器がダメなのかと思ったがそうではないらしい。そのほかにも、クーラーや扇風機は触れた。
触れなかったのは、PC、ゲーム機器等。…その全てが、ネットに繋げるものであった。

「な、何故だ………」

実に耐え難い。ネット依存症の俺は、五分間ネットから離れただけで手が震えてくる。そのぐらい重症なのだ。
こ、このままでは未練が残ってしまう…そう考えた瞬間、手がハッキリと輪郭を持った。まさか、まさか!

「ネット依存症が原因で…成仏が出来ない…だと?」

俺は頭を抱え、その後に叫んだ。

「うわああああああああああ!俺の楽園エデンんんんんんんん!」


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