コメディ・ライト小説(新)

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the end of the writers
日時: 2019/11/16 19:32
名前: 春木 (ID: Bf..vpS5)

その日はとても暑かった。世間一般的には夏休みの時期であり、子供達は宿題がある事など忘れて公園ではしゃぎ回ったり、ゲームセンターなどで遊んでいるのだろう。
俺は今日、二年ぶりに外に出た。いい加減働こうと思い、職を求めて外に出た。
「おいお前、センコーだな?」
だから、今現在進行形で少年に胸倉を掴まれて路地裏の壁に頭をつけているこの状況が、俺にとっては理解不能であった。
事の発端は今から30分程前。
家を出て、ハローワークにでも行くかと思い街を歩いていた俺は、少し近道をしようと思い、路地裏に入った。
そこで俺は、少年に捕まったのだ。
目の前の少年は少し身長が低めで、黒の束付き帽子を被っていた。
そしてその少年は俺の胸倉を掴み、壁へと俺の身体を押し当てた。
「おいお前、センコーだな?」
少年は殺気を出して俺にそう告げた。
「…は?」
俺は何がなんだか分からずに素っ頓狂な声を上げた。少年は水色の綺麗な瞳を鋭くさせて俺を睨んでいる。
センコー。確かに彼は俺をそう呼んだ。
「…あ、あの。センコーってどういう事ですか…?」
俺は恐怖心からか震えた声で、目の前の少年にそう問うた。
「…まだ会ってないのか?」
「えっ…だ、誰に…?」
俺がそういうと少年はニヤリと怪しく笑った。その笑みに、俺は背筋が凍った。
「会ってないなら丁度良い。お前を殺してはい終了、だ」
少年はそう言いながら自身の右手を見つめた。
“その手からは炎が出ていた”
「はぁ?!おい、君なんなんだよ!」
目の前の現象に頭が追いつかず、俺は只大声をあげた。
少年はニヤリと笑いながら俺を見る。
「残念だったな人間。死ね」
そう言って少年は右腕を振り上げた。
長年運動なんてして来なかった為か、はたまた恐怖でか俺の身体は動かなかった。死ぬ。そう思い目をぎゅっと瞑った。
パァァンッ
俺が目を瞑った瞬間、大きな音が耳に響いてきた。
目を開けると、俺の顔の横の壁に穴が開いてた。先程の音は、銃声だったのだ。
少年は目を丸くして、銃声のした方に顔を向けていた。そして、そちらからはコツ、コツと人が歩いてくる音かした。
やがて姿を現したのは、一人の少女だった。長い髪を揺らして、パーカーのフードを揺らして彼女はこちらを見ている。
「よぉ中也。あんたの黒帽子に穴が開けられなくて残念だよ」
その少女はニコッと笑って少年を見た。
「ちっ…来たのかよ…」
少年は毒吐いて、俺から少し離れた。
俺は少女の方を見た。綺麗な茶髪は腰程まであり、風が吹いてないが少しだけ揺れていた。綺麗な薄紫の色の瞳と白い肌。しかし、髪と服の間から見える首には包帯が巻かれていた。よく見ると、銃を握る手にも包帯が巻かれており、指先には絆創膏が貼ってあった。
「中也、そこをどけ。その男は私のだ」
そう言いながら少女は俺を見た。
中也と呼ばれた少年は舌打ちをしてまた右手に炎を出した。
何が起きているんだ…!
人間には出来ない様な事が、目の前でやり遂げられているこの状況に目眩がする。
少女は軽い溜息を吐いて、少年を見つめた。
すると彼女は、少年に向かってハイスピードで走っていった。
「なっ」
急な事で驚いた少年は目を見開き、狼狽えた。少女は速度を落とす事無くそのまま走り、少年の腹目掛けて膝蹴りをかました。
「ゔっ…」
唸り声と共に少年は膝を地面につけた。
「大丈夫?」
少女は俺を見た。
「あ、はい…あの…」
目の前の状況について聞こうと思った瞬間、少女が口を開いた。
「私の名前は太宰治。このゲームで、あんたのパートナーとなる者だ」