コメディ・ライト小説(新)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- high club
- 日時: 2019/11/17 20:11
- 名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)
こんにちは実飴と申します!
初心者ですがよろしくお願いします♪
[あらすじ]
主人公の遠山 奈緒は、問題児が多くそろう『汐間高校』に入学する。
それから、クラスの波乱な展開に巻き込まれて行く…。
・人物一覧 >>01
[1章 秘密のベールと出会い]
・1話 >>02 2話 >>03 3話 >>04
- Re: high club ( No.2 )
- 日時: 2019/11/17 17:16
- 名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)
1章 秘密のベールと出会い
ー…ほんっと馬鹿みたい。
孤独な帰り道で吐いた言葉。何なのあの学校は。それが率直な意見だった。
いつもの帰り道も、いつもの顔も、何だか変わってる感じ。新学期の不思議な感覚に踊らされて、背中に違和感が残る。安っぽいパイプ椅子も、もう散ってる桜も、全てが不満な訳じゃない。一言で言うと…ヤバイって感じ。生徒も教師も変わってるし。
さっき入ってみた保健室も、石張…
『本当にこの子供は最適だな。実験体にぴったりだ。』
「…っ!?」
何この記憶。背中に冷たいものが滑り落ちる。怪しげに笑う大人と。
そして、暗い暗い石張りの部屋…。
序の口は別に良かった。別に…。
でも。今は違う。
…まさかこうなるとは。
- Re: high club ( No.3 )
- 日時: 2019/11/17 18:42
- 名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)
2話
ダダタタダダダ…
「またか…。」
机に溢れる教科書がまた雪崩を起こした。視界の端には、不満そうにうつ伏せになる生徒
そして、無邪気に走り回る生徒。本当にカッコ悪い。机の1番上にある数学の教科書が、晴色の光で自己主張している。はぁ…。こんな学校で大丈夫な…
「ごめんちょっと良い?」
「えっ、あっ、どうしたの!?」
ビックリした。急に声をかけられたからじゃなくて。何か…茶色掛かったサラサラな髪。
端の方は少し伸びている。鮮やかな瞳は見る人を吸い付ける様。今まで…今までこんな気持ちになった事なかったのに、急に胸が高鳴る。
「あのさぁ、ちょっと宿題見せてくれないかな?昨日ノート学校に置いて来ちゃってさ。」
「それって算数の宿題?」
「頼む!お礼は弾むから!」
真剣そうに頼む顔は、ちょっと可愛い。何だか顔がじわりと熱くなってしまう。
やっぱりやっぱり、こんな顔を見たら思わず
「良いよ。これ使って。」
ノートは青くて優しい色。シャーペンの鉛色が混ざった表紙には、『遠山 奈緒』と記されている。
「サンキュ!後で返す。」
…その子が去った後も、笑顔の余韻が…
私の頭からずっとずっと離れなかった。
- Re: high club ( No.4 )
- 日時: 2019/11/17 20:02
- 名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)
3話
放課後…
「よっ。奈緒!」
人混みに埋もれた私達。
明るい声と共に駆け寄るのは、ミレ。小学校時代と比べるとストレートに髪が伸びている。中学校以来だっけ。帰りもよく2人で歩いてた。疲れと眠気を振り払いながら、駅へ足を進める。アスファルトで覆われた地面は、デコボコしていて、足裏が好き好き傷んでしまう。
…やっぱり相談しよう。ずっと口を噤んでたけど、今日こそは。
「ねぇミレ。あのさ、もし誰かを見ただけで顔が火照るのってさ。何でだと思う?」
「…火照る?そっかぁ〜やっぱり奈緒もお年頃?」
おのれミレの奴…。思わず言いたくなる。でも。その直向きな姿は否定できなかった。
「うーんでも別に奈緒は奈緒らしくいればいいんじゃないの?」
「私…らしく…。」
『私らしく』って素晴らしく思えた。
放課後の明るく、そして優しい笑顔は、向日葵の花がパッと咲いた様にも見えた。
……………………………………………………………………………………………………………………………………
ギィ
「ただいま。」
家の合鍵を持ちながら、明かりが付いていない我が家に呼びかける。高くてつまぞきそうな階段を登って左。私の部屋に入った。
「ただいま夏矢。今日も学校行って来た。」
そんなことを言っても、誰も答えてはくれない。私は写真に写っている弟の夏矢に声を掛けた。あれは中学1年の時。事故で死んじゃったもんね…。
私は写真に背を向けて、そのままベットに突っ込んだ。
- Re: high club ( No.5 )
- 日時: 2019/11/17 21:55
- 名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)
4話
「はぁー!」
一気に羽を伸ばす。ここ最近疲れてたもんなぁ…。学校での昼下がり、私はベンチに腰掛けた。グラウンドの方からは、野球部の掛け声。これが青春って感じかな…。
「ねぇねぇ。」
「わっ!」
突如現れた美少女。サラサラと畝る髪は、風の様に見えた。
「あははっ!やっぱり面白いねぇ。クラスで見た感じずっとそう思ってたの。」
「えっ、私が面白い?」
「ふふっ、あたし新奈。よろしくねぇ。」
優しく微笑む顔につい引き込まれそう…、だ、ダメダメ!最近寝不足だからって。
「新奈…。あ、えっと私奈緒。」
「へぇー奈緒って言うんね〜。あ、そだこれあなたにあげるわ。」
ポンッ
「あれっ、これお菓子?いつの間に。」
正面を見ると、ドーナツの小袋が。プレーン味とココア味が一袋ずつ手のひらにちょこんと乗っている。…そもそも学校にお菓子なんて持って来ちゃダメだけど。
「いつの間にって言うか、作ったんだけどねぇ。ほら。」
「??」
ひええ!ますます理解できないんだけどっ!またまた手のひらにドーナツの小袋が。
「あ〜やっぱり分からんかぁ。言うの忘れてたけど『遺伝子改造』って知ってる?」
「遺伝子…あ、中国ですごい話題になったあの?」
「んそんそう。あたしは幼少期に受けたのよ。」
遺伝子改造…。詳しい話を聞いたんだけど、手術で人体の遺伝子を改造するんだって。
ある程度能力が発達したり、まあまれに例外があるそうで。
「えーでも、この学校にはそーゆう生徒は沢山いるよぉ?」
「ええ?まさか…。」
「んーじゃもうすぐ時間だし。あたしはここで。じゃね。」
「あっじゃあ。」
- Re: high club ( No.6 )
- 日時: 2019/11/19 18:56
- 名前: 実飴 (ID: D.48ZWS.)
5話
「はい。じゃあみんな大体高校に慣れたかな?」
高校に入学してから早1週間。
あーだるいよー!!って聞こえてくる気がする様なしない様な…。あーっもうそこは置いといて。最近変なことばっか。物が動いたり、揺れたり。あの、これって『ポルターガイスト』って奴かな?
「はいじゃあホームルームはここまー」
ガッシャーン!!
「きゃっ!」
女子生徒が悲鳴を上げた。どうやら花瓶が割れたみたいで、オドオドしてる奴もいるし、
隅で興奮してる隠キャ達もいた。
「ちょっと田所君!またこんな事をっ。」
「…あー、すんませーん。」
一気にクラスの注目が、あの『田所君』って子に向かう。
…って見た感じ不良過ぎない?金髪でピアス付きでしまいには姿勢が悪い…。『ヤバイ』の代名詞にぴったりな気がする…。
(え、あれって何?)
思わずと隣の子に話しかける。
「知らないんですかっ!?彼はポルターガイストを引き起こすことができるんですよっ!」
「引き…起こす?」
「そそそうです!いやぁー憧れちゃいます〜。」
ま、まさかの隠キャ!?そう信じたくないって!うーんやっぱりこの学校って…
「何ですかその謝り方はー!もっとちゃんと礼儀よく…」
「じゃっ俺帰るんで。」
ザワッ
彼はそう言い残した。一気に立ち上がると、狐色の髪をフワリと揺らしながら、教室の世界を去っていった。
Page:1 2