コメディ・ライト小説(新)
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- クラスの根暗ぼっち君…実は社長兼超売れっ子バンドマンでした。
- 日時: 2019/12/07 18:38
- 名前: ??? (ID: uI2pxZHD)
キーンコーンカーンカーン
「今日の授業はここまで。今日の内容、しっかり復習しとけよー。」
チャイムと同時に数学の前橋先生がそう言い教室から出ていくとクラスはガヤガヤとしだした。
「っはぁーー…だりぃ!前橋の授業は細けぇんだよっ!」
「まじそれなー、課題もやたらと多いしよー。」
クラスで話している男子からはそんな声が上がる。
確かに数学の前橋先生の授業は細かいが、要点を分かりやすく、丁寧に説明してくれているから良いと思うのだが……
取り敢えず昼食になったので弁当を持って教室を出ようとするが…
「まあ良いや、さっさと飯食おうぜ。」
さっき前橋先生の愚痴を言っていた男子がタイミング悪くこっちに向かって来てしまった。
ドンッ
「おっと悪りぃ!余所見してた…ってなんだ、根暗ぼっちかよ。」
ってなんだって何だよ!?だがここは僕も謝らないとまずい。
「ご、ごめん……」
「けっ!何をおどおどしてるんだか、これじゃ俺らが虐めてるみたいじゃねぇーか。」
「ごめん……」
「おい、こんな奴ほっといてさっさと購買行こうぜ。」
そう言うと僕を置いて出て行ってしまった。
少し遅れて僕も教室から出る。
根暗ぼっちこと東雲 新。それが高校2年生の僕の名前だ。
そんな僕が根暗ぼっちというあだ名がつけられた理由。これは僕の格好と行動に原因がある。
前髪は鼻先くらいまでかかっており、身長は高いがマッチョって訳でもない。ある理由から鍛えてはいるのだが、いつも長袖長ズボンなのであまり目立たない。実際そこまでマッチョってわけでもないのだが……
友達は0。ほぼ喋らずに一日を終える。こんな生活を送っているうちについたあだ名が根暗ぼっちだ。
高校と言ったら青春。友達やら先輩やら彼女やら。僕のクラスメイトはそんな青春を送っているのだろう……が、僕はそれをしない。
これには明確な理由があるのだが、それは今から僕が昼食を食べに行く屋上で分かるだろう。
そうこうしているうちに今回の目的地である屋上に着いた。
着いた瞬間スマホが震える。電話のようだ………まあ相手は分かっているのだが。
「もしもし?」
「おー、新くん今大丈夫?」
「大丈夫ですけど、それにしても本当にちょうど良いタイミングで電話かけてきますよね。」
「まーね、それがマネージャーの必須能力です。」
「ははっ、いつもそれ言ってますよね。」
そう、マネージャー。今電話掛けてきた人は僕のマネージャーである斎藤 修哉さんだ。
僕はヘッズロックスというバンドのボーカルをやっている。全国ツアーや世界一周ツアーをやるくらいには有名なバンドだ。
「それで、今日はどうしたんですか?」
「いや、少し予定変更のお知らせなんだけれども。」
「了解です。あっ、あんまり学校に迷惑が掛からないようにお願いしますよ?」
「うんうん、大丈夫大丈夫。今月末に東京ドームでライブするじゃん?」
「えっ?まさかキャンセルですか?」
「いやいやいや!まさか!キャンセルはしないよ!」
「じゃあどうしたんですか?」
「いやー、ちょっとチケットの倍率が高すぎてさー。」
「それはありがたい事じゃないですか?」
「いや、そうなんだけどね?あまりにも買えない人が多すぎてさ。ほら、やるのって日曜日じゃん?日曜日にやるってことはさ、前日空いてるじゃん?」
「……マネージャー、まさかとは思いますが……」
「土曜日もドームでやらないっ!?」
「無理ですっ!無理ですって!体力が、体力が持たないです!」
「いや、君ならできる!」
「そんな事言っても無理です!今すぐ取り消して下さい!」
「ごめん、もうついさっきチケット売りに出しちゃった!テヘペロ☆」
「はぁーーー!?」
「あっ、ごめん。じゃあそう言う事だからさ。またね!」
「ちょっ、まっ、修哉さーん!?」
プツッ
「切れた……」
キーンコーンカーンコーン
電話が切れると同時に昼休み終了の鐘が鳴った。
「いやいやいや、無理だろ。2日連続でドームとか、辛すぎ…」
落ち込んでいると、手元にあったものに気付く。
「あぁー、昼飯食いそびれた……」
しょうがないのでまだ手を付けていない弁当箱を持って教室に引き返すことにした。
ーーー
教室に入ると昼休みが終わったというのにかなりうるさい。
席に着いて少し耳を傾けてみると、
「ねえねえ見た見た!?ヘッズロックス土曜日にもドームでライブやるんだって!」
「見たー!ついさっきだよね!発表されたの。」
ブッ!
何と思いっきり僕の話だった。
「そうそう!それでね!私チケット取れてたんだ!それもペアの!」
話してた女子がそう言った瞬間教室が静まり返る。
一拍置いて、
「「「「「えぇぇーーー!!」」」」」
そう言って皆がその女子に、
「私、私連れてって!」
「私が、私が行きたい!」
「俺を連れてってくれ!」
「僕と付き合って!」
何か一人違うやつがいたんだが。
まあ、このようになる。が、その女子は、
「いやーごめんねー、私この子と行くんだー!」
と、最初に話してた女子を指差す。
「えぇ!本当に良いの朱莉ちゃん!」
どうやらチケットが取れた女子は朱莉と言うらしい。
「えぇー、マジかー。」
と言って皆がガッカリする。
「ごめんねー。」
「まあ、けどおめでとう朱莉。楽しんできなよ。」
「うん、そうするー。」
どうやら円満に終わったみたいだ。
それにしてもクラスメイトのあの驚きよう。そんなにヘッズロックのチケットは倍率が高いのだろうか。