コメディ・ライト小説(新)
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- 復讐に駆られ、最強になった者
- 日時: 2019/12/26 21:38
- 名前: マンホール (ID: uI2pxZHD)
様々な種族同士が争い続け、今もまた争い続ける世界≪アルティナ≫
そんな物騒な世界の辺境の村で、1人の男の子が生まれた。
だがそこは辺境の地。健康で元気な子に育つ確率は低い。
だが男の子は一度も病気にかからず、すくすくと成長した。
やがてその男の子が10歳になるころ、村が魔物の群れに襲われた。
村の男達が束になって追い払おうとするが、1人、また1人と死んでいった。
魔物の群れは男の子の家に入ってきた。
男の子の家は、両親と7歳の妹がいた。
両親は息子と娘を守ろうと囮になった。
その意思をくみ、泣きながら妹を連れ男の子は山に向けて走った。
数日後に村に戻ると、もう村の姿は無かった。
絶望した男の子と妹は地面に突っ伏そうとしたが、できなかった。
かなりの速度で馬がこちらへ走ってきたからだ。
格好を見れば分かる。人さらいだ。
妹を守るため、また妹の手を掴んで走った。だが相手は馬だ。人間の、それも子供の脚じゃ逃げ切れなかった。
必死に抵抗し、奇跡的にも逃げられたが妹が連れ去られてしまった。
二度の絶望を男の子は味わった。
死のうかと思ったが、妹のことを置いて死ぬなど言語道断。
妹を助け出すために修行をすることにした。
修行する為にはこの地を離れなくてはならない。
山を10ほど越えた。
まずは剣術。対戦相手や師匠などいないため素振りを行った。
1日に素振りが1万こなせるようになると、魔物の狩りもし始めた。
だが相手は魔物。腐っても魔物なのだ。当然強いし、こちらを殺そうと襲いかかってくる。
何度も何度も死にそうになりながら狩りを続けた。
そうして一年が経つ頃には我流の剣技が身に付いた。
魔物の狩りも苦なくこなせるようになった。
剣術が身についたので、次は魔法に手を出した。
だが、剣術と違い魔法は何をすれば良いのか全く分からない。
一つだけ方法があるとすれば、魔物だ。
魔物の中には魔法を使う奴もいる。
そうした奴から学習すれば良いと考えた。
仕組みを理解するまでにはかなり時間がかかったが、それからは幸いなことに、魔法の才能があったようでメキメキと上達した。
剣術と違い、魔法は半年程で極めた。
魔法には属性があるが、全て使いこなせるようにした。
そして、そろそろ妹の救出を考え始めたころ。森に鎧を纏った男達が現れた。初めての事だ。
だが、簡単に魔物にやられて全滅してしまった。何とも弱い奴らだ、と落胆した。
放置は勿体無いので、死体を漁った。
その男達は地図を持っていた。見ると、ここから数百キロ先に大きな街があるそうだ。
男の子はそこに行こうと決め、<転移>で行った。
着くとそこはかなり大きかった。初めて見たのでビックリした。
服を<創造>で作り直し、身体を<洗浄>でキレイにして街に入った。
中も圧巻の一言だった。大勢の人間や亜人がいた。建物も沢山あった。
中央の方にはより一層大きな城があった。
確かに驚き、感動もしたが、心は冷え切っていた。
早く妹を助けなくてはならない。妹が苦しんでいるのに自分だけ楽しんではいけない。
すぐさま捜索をした。聞き込みもした。
妹を街で探し始めてから2週間後。
妹が見つかった。街の郊外の森の一角で死体として。
妹が連れ去られてから1ヶ月後に死んだらしい。連れ去られた後に色々され、力尽きたと言ったところだ。
発狂した、皮膚を掻きむしった、地面を転げ回った、何で、何でと誰にも分からず大声で問いかけた。
一通り泣き叫び、力尽きた後、瞳には復讐の憎悪の炎が浮かんでいた。
それから2年程、その男の子は人さらいや盗賊などを見つけては全員殺し、見つけては全員殺し、を繰り返していた。
皮肉な事に、そうやって殺しを続けているうちにも強くなっていった。
2年も狩り続け、やがて虚無になった。
街へ戻り、死のうとした。だが、そこで呼び止められた。
そこには老いぼれのジジイが立っていた。
そいつが男の子にこう言った。
「お前さん、全てを捨てた目をしとるな。」
余計なお世話だと男の子は言った。
「まあまあ落ち着け。お主、まだ15になっとらんじゃろう?」
だったら何だと男の子は返した。
「15になったらこの街の学園に入学すると良い。これはその推薦状じゃ。」
そんなものいらんと切り捨てた。
「こんなところで死ぬより、少しは世界を見てみたくはないかね?」
そんなもの見たくないと言い、そろそろ面倒臭いと思い始めた。
「じゃがお主が何かに絶望しているのは目に見えておる。そんな子供をむざむざ見殺しにはできぬ。どうせ死ぬのであれば少しは何か体験しておいた方が良いと思うぞ。」
これまで妹のために時間を費やしてきた。それは無駄だったが。村で妹と過ごしてた時、妹と約束事をした。いつか一緒学校に通おうと。
妹は助けられなかった。だが、妹と約束したことくらいはしても良いんじゃないかと思い始める。
考え抜いた末、目の前のジジイの提案を受けることにした。
「うむ、では楽しみにしてるぞ。」
そう言ってジジイは消えた。
学校と言うくらいだからそれなりに勉強はできなくてはならないだろう。
入学までの残り2年間は勉強に費やす事にした。
そうして2年が経った。
そこはこの街、いやここは正確には王国らしい。
この王国で一番大きな学園の門を叩いた。
推薦状があるため、試験は免除らしい。
来週からこの学園での生活が始まる。住居は寮だ。
それなりに期待を持ちながら学園が始まるのを寮で待った。
1週間がたち、いよいよ学園が始まる。
妹と一緒に、と言う約束は無理だが、せめて自分だけでも学校に通う。それが妹にできる唯一の事だった。
- Re: 復讐に駆られ、最強になった者 ( No.1 )
- 日時: 2020/01/11 20:38
- 名前: マンホール (ID: uI2pxZHD)
夜明けの前に目が覚める。日々の習慣だ。
「さて、今日から学校か…」
始業式は8時からだと言う。
「あと数時間暇だな…」
とりあえず荷物の確認をする。
「勉強に必要な教材は後で配られると言ってたし、あまり特別な物は要らないだろう。」
荷物の確認を終え、制服に着替える。
「…この制服…カッコいいな。」
そこは王国一の学校。制服のデザインも一級品だ。
寮の窓からは学校の敷地が見える。
「ふむ。」
ここからロードワークコースが見える。
ーーー
制服から運動着へと着替え、はっはと息を吐きながら走る。
「やはりもう少しペースを上げないと疲れないか…」
今もかなりのスピードで走っている。現に既にコースを3周ほどしている。(ちなみにコースは一周10キロ程だ。)
だが、疲れたいというよりかは暇つぶしなので良しとする。
「次で辞めるか…」
5周目を始めた段階でそう口走る。
2週目を過ぎたあたりで日の出は来ている。辞めるには丁度良いだろう。
「ん?」
前方に人影がある。走っているのかとも思ったが、どうやら違うようで何やら物を探しているようだ。
(ふむ、助けるか助けないか…)
正直面倒臭いし助けてこちらが得するとも考えづらい。
(だがまあ、たまには良いだろう)
ということでスピードを落とし近づいていく。
「何か探してるのか?」
後ろから声を掛けたのだが、ビックリしたらしい。勢いよくこっちを振り向いた。
(ほう、美人だな。)
そいつは女だった。それもかなり美人、というか美少女だった。
「っ!…え、えと。何か?」
「だから何か探しているのかと聞いてるのだが。」
聞こえなかったのだろうか?
「あ、ああ。はい、そうです。ちょっとペンダントを落としちゃって…」
「こんな朝っぱらにか?」
「散歩をしていて、たまたま少し外していたんです…」
「そうか、良ければ手伝おう。どんなやつだ?」
「い、いえいえ!そんな、いいです。」
「それは遠慮なのか?俺が手伝うと言ったんだ。別に遠慮しなくて良いのだが。」
「そ、そうですか?では、お願いします。」
「うむ、それで?どんなやつだ?」
「あっ!えっと、首にかける紐があって、銀製です。中に母の写真が入っているんですけど…」
「銀製なんだな?」
「はい!そうです!」
「了解した。」
大体どんなやつか分かったので、探し始める。
ーーー
探し始めて数分後。
「おい、これか?」
それらしい物が見つかったので確認する。
「それです!すいません、ありがとうございます!」
どうやらあっていたようだ。
「そうか、見つかって良かったな。」
「はい!そうだ、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「ん?俺のか?」
「はい!そうです!…あっ!こういうのは自分から名乗るべきですよね。私はシンシア・アスフォードです。今回は本当にありがとうございました。」
「俺はサド、サド・ハインケルだ。見つかって良かったな、シンシア。」
「はい!では私はもう行きますね。ありがとうございました、サドさん。」
「ああ。」
そう言ってシンシアは去っていった。
「さて、そろそろ良い時間か?」
そろそろ始業式が始まりそうな時間だ。早急に寮に戻ることにする。
ーーー
「では、これより今年度のバルトス学園の始業式を開始する。」
髭を生やしたおっさんが始業式開始の挨拶をする。
早速だが、新入生代表の挨拶のようだ。
「新入生代表、アスカ・ザストレー。」
呼ばれて壇に上がったのは、シンシアとはまた別のキリッとした目つきの美人だ。
「おい、あいつだぞ。今年の逸材って言われてる奴。」
「あれか?試験で教官を倒したって奴。」
「そうそう、試験教官倒すとかヤバすぎるだろ。」
どうやらアスカと言う奴は強いらしい。
アスカは新入生代表に相応しい、真面目な文をスラスラと読んでいた。
「…学校というやつは暇が多いな。」
あまりアスカに興味が無く、暇なサドはポツリと呟いた。
ーーー
クラスはワイワイとしていた。特に人が集まってたのはアスカの席だ。
まさか、新入生代表と同じクラスだとは思っていなかった。
「あっ、サド君。同じ学年だったんだね。これからよろしくね。」
そう言って手を差し出してきた俺の隣はシンシアだったようだ。
「ああ。こちらからもよろしく頼む。」
どうやら一先ず友達第1号ができたようだ。
そこへガラガラと音を立てながら扉を開け、先生が入ってくる。
「おーいお前ら先に着けー。」
これまた美人の先生だ。
「うし!アレドナ先生だ!」
「はぁー、美人だ…」
「当たりだ当たり!」
クラスの男子からは有名かつ人気らしい。
「よーし、全員座ったなー?よし。私がこのクラスの担当のアレドナ・スロイだ。まあ仲良くやっていこうじゃないか!ってことで早速自己紹介だな。アスカから順にやっていってくれ。」
どうやら自己紹介をやるらしい。
「分かりました。では、私の名前はアスカ・ザストレーです。魔法属性は水、新入生代表として頑張っていくつもりですのでよろしくお願いします。」
アスカがそう言うと大きな拍手が起こる。
他の奴らも順に自己紹介をしていくのだが、ここで一つ気になったのが魔法属性だ。
他の奴らは属性を一個しか言っていないサドは全て使えるため、どう言えば良いのか分からないのだ。
そうこう悩んでいるうちに順番が来てしまったので、取り敢えず言うしかない。
「あー、サド・ハインケルだ。魔法属性はー…火だ。まあ皆よろしく。」
まばらに拍手が起こる。
(まあこれで良いだろう。)
属性は一つしか言わないでおいた。
こんな感じで自己紹介は終わった。
「よーし、全員終わったなー?」
そうアレドナが言ったところでチャイムが鳴る。
「よーし、じゃあ今日はここまで!また後でな!」
そう言って教室から出て行く。喋り方などから察するに体育会系なのだろう。
そう思っていると、アスカがこちらに近付いてきた。
「ねえあなた、サドって言ったかしら。私に話しかけてこないけど、何故?」
唐突にそう言われた。
「何故と言われてもな…お前に話しかけなくても良いと思ったからだな。」
「そう、分かったわ。それと、次お前って呼んだらその首切り落とすから。」
そう脅された。どうやら新入生代表のお方は性格に難がありそうだ。
「なあシンシア、今あいつに脅されたんだが。」
「あ、あはは…」
シンシアは苦笑いするだけだった。
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