コメディ・ライト小説(新)
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- たいむとりっぷ!
- 日時: 2020/01/19 20:56
- 名前: 莉都 (ID: S1CkG5af)
──『高校に行ったらキャラ変える!!』
そう願ってたのに!
たったひとつのストラップで、その夢は砕け散った…。
「華乃ちゃん、タイムスリップしてみない??」
──そう、この坂崎センパイの手によって。
これは(一応)青春ラブコメ(になる予定)である。
- Re: たいむとりっぷ! ( No.1 )
- 日時: 2020/01/19 21:05
- 名前: 莉都 (ID: S1CkG5af)
4月。
桜が散り始めていて、その景色にみとれてしまう。
そういや、昨日したゲームにもこんな景色あったなぁ、とか思いながら。
そのときに、見えたのだった。
“アレ”が。
「皆さぁん~、歴史にキョーミないですかっ!?あるならすぐ入部ましょっ!!」
新選組を模したような浅葱色の羽織。
その下は制服という珍妙な格好で、その人は元気よく声をかけていた。
辺りの人は、「またか…」という感じだ。
確かに昨日も一昨日もこのセンパイ(恐らく)は校門で呼びかけていた。
と、ふと、そのセンパイの目がきらりと光った。
そして物凄い勢いで私の方へ走ってきた…!
- Re: たいむとりっぷ! ( No.2 )
- 日時: 2020/01/20 18:58
- 名前: 莉都 (ID: S1CkG5af)
走ってきたセンパイは、ゴクリと唾を飲み込んで、食い入るように私を見つめる。
そして、ゆっくりと口を開く。
な、何か重大な告白なのだろうか?
思わず私も息をのむと。
「……そのストラップ、『恋桜絵巻』の藤堂くんじゃないっ!?」
…………へっ??
呆気にとられる私の手から鞄を引ったくり、センパイは掛けてあるストラップを指さす。
「これ限定だし、しかもスーパーレアの格好だし!ずっと追いかけてたのになかなか見つかんないんだよねっ!!」
一気にセンパイはそう言って、キラキラした瞳で私を食い入るように見つめる。
「ねぇねっ、『歴史研究部』入って!」
あどけない子供のように、センパイは叫んだ。
えっ…『歴史研究部』!?
どういう部活なの?
あと何で、あの一瞬でストラップを見分けられたの!?
…このセンパイ、何者……?
沸き出した疑問を知ってか知らずか、センパイは、
「私、坂崎凛子!いらっしゃい、『歴史研究部』へ!!」
坂崎センパイは、にゃはは~と笑みを向けた。
- Re: たいむとりっぷ! ( No.3 )
- 日時: 2020/01/21 21:15
- 名前: 莉都 (ID: S1CkG5af)
「那智ちゃーん!やぁっと部員捕まえたよぅ!!」
生徒会室。
静かなそこに、坂崎センパイの無駄に明るい声が響く。
「あら、良かったじゃない、凛子」
向かいにいる生徒会長が書類から視線をあげ、にこりと微笑む。
───なぜ生徒会室にいるかというと、
「3日も粘ってやぁっとゲットした部員だし、親友の那智にも知らせたい!」
というセンパイたっての我が儘である。
言っておくけど、私は『入部する』とは一言も言ってないのである。
「凛子の努力が実を結んだのよ、これからもっと突っ走ってね」
生徒会長──愛倉那智センパイは坂崎センパイの肩を優しく叩いた。
坂崎センパイは「ありがとなっちゃんっ!」と嬉しそうに笑った。
──この雰囲気で、『入りません』って言えるわけがない…。
私が考え倦ねている間に、坂崎センパイは「じゃーね」と出て行ってしまった。
私も慌てて出ようと思い、生徒会長に向き直ると。
「波多野さん。…凛子に無理矢理引っ張られたんでしょう?」
生徒会長はクスリと微笑みながらそう訊いた。
「…まあ、はい」
引っ張られたというより連れ込まれた。
「あの子、猪突猛進だから、私も昔から心配してたけど、衝突しそうになったら、…どうか止めてあげて」
生徒会長は途中まで笑顔だったけれど、最後は真剣な顔だった。
…よっぽど坂崎センパイはやらかしてきたんだろうな…。
というか自由人すぎる。
「わかりました。全力で止めます」
生徒会長に返事をして、私は生徒会室を出た。
──これから、どういう日々になるんだろう。
坂崎センパイが廊下を走っているのを発見し、止めながら、私はそんなことを考えていた。
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