コメディ・ライト小説(新)

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会いに行くよ
日時: 2020/03/09 10:52
名前: TIBI (ID: 2gJpuHi8)

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伊吹「おっ!かすみじゃん!まーた仕事してんのか!」
伊深「兄ちゃん辞めなよー。お家が貧乏なんだからさぁ(笑)」
伊吹「小2のうちから働いてるって(笑)可愛そ~www」
俺は毎日、クラスの奴等にあうたびこう言われる。
「貧乏なんだから」
当たってるけど。


何十分が歩いていつもの畑に着いた。この時期は田植え。
稲が入ったかごを下ろし、一つ一つ丁寧に田植えをする。
伊吹「スゥー。かぁぁすみぃぃ!」
後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる。
あまりにもいきなりだし田の中もバランスが取りづらいので
その拍子に転んでしまった。
伊吹「うっわーだっせwww」
伊深「行こう兄ちゃん(笑)。」
伊吹「おう笑」
かすみ「ヒック、、。何なんだよぉ、、、、、。」
???「、、、、大丈夫ですか?」
田んぼの泥に顔を埋め泣きじゃくる俺に囁く優しい声が
聞こえる。
顔を上げるとそこに居たのは髪を頭の上で団子にして結う
女の子。多分俺と同い年。
かすみ「あ、、、、えっと、、、。
お金なら持ってませんよ!?!?」条件反射で土へ座をしてしまった。
女の子「え、、えぇ?別に私お金目的で話しかけたわけじゃ、、」
かすみ「じゃあからかいに来たんでしょ!?伊吹達につるんで
一緒に煽りに来たんでしょ!?」
女の子「え、、、あ、、、。

ハァ、。」
女の子は温かいため息を付くと俺の顔を上げてニッコリと笑う。
女の子「私はその伊吹とかいう人知りませんよ?もしその人が貴方を
虐めてる人なら、私は許せません。」そう言いながら
ポケットから白いハンカチを出して俺の顔を拭く。
かすみ「え、!?いぃ、いいですよふかなくて!ハンカチ汚れちゃうし、、。」
女の子「でもハンカチって汚れて当然じゃない?ほら膝も泥だらけ。」
その女の子は綺麗なハンカチをドロで汚しながら俺の顔や膝を拭いてくれた。
女の子「よし!オッケー!もう大丈夫ですよ!また仕事にとりかかれます!
それじゃあさようなら!」
かすみ「え?あ、、、えと、、、。スゥー。有難う御座いました!!」
俺がそう言い終わる頃には女の子は遠くで歩いていた。
朝方だから霧が出ててもうすぐ見えなくなる。
今完全に消えた。
あの女の子は一体、、、、。

Re: こだま市の噂 ( No.1 )
日時: 2020/03/01 12:32
名前: TIBI (ID: 2gJpuHi8)

片思いという気持ちに浸りながら家に帰った。
服にも泥が付いていて流石にハンカチ一つで泥は全て落ちなかったので
そのまま風呂に直行。

《あの女の子は一体なにもの何だろう、、、、》
《名前は?》
《また会えるかな、、、。》
そう思いながら体をがむしゃらに洗い風呂に飛び込む。
水が浴槽から溢れでて排水口がお湯を吸う音を立てる。
貧乏と言っても家は意外と普通。というよりどちらかと言うと綺麗な方。
どちらかと言うと前までは意外と金持ちだった俺の家。
でもいきなり父さんがリストラ。家だけ豪華で他はもう駄目駄目。
家を売って新しくちっこい家を立てるのも大変だし、家賃だけで
生活費が大体とられている。
かすみ「あの子の家族はきっと俺んちなんかと比べちゃいけないぐらい
銭持ってるんだろうな、、、、。服も髪の質も一目で綺麗だなと思えたし、
リボンの髪ゴムも高そうに見えた。俺の月の小遣いじゃ足しにならない位
高価なものと見えた。←金に関しては目が光る俺氏

風呂から出てアニメみたいなアホ毛が生えている髪とガシガシと音を立てて拭く。
微かに濡れた手でリモコンをつけると交通事故のニュースがやっていた。
淡々と話すアナウンサーの声も聴き慣れたものだ。
もちろん交通事故は気の毒だと思うが所詮他人事、
よく聞いていたニュースもそこまで頭に入れとかなければと思ったことは無い。
今から流れるニュースの内容以外は、ね。

Re: こだま市の噂 ( No.2 )
日時: 2020/03/03 19:30
名前: TIBI (ID: 2gJpuHi8)

キャスター「次のニュースです。先日から行方不明となっている
字未川市の女の子の私物と思われる物が今日友瀬市で発見されました。」
その゛友瀬市゛という言葉に反応した。何を隠そうその
友瀬市はここ。俺が住んでいる場所だから。
と言うか字未川市の女の子が行方不明になってる事自体初耳。
ニュースの続きを見てみると
その行方不明になった女の子(その下に名前のテロップ)
とその私物の写真が画面に映しだされた。

写ったのは瞳が大きい団子の女の子と
その子がつけていたリボンの髪ゴム、
テロップには赤目蘭と書いてある―――――――――――――

俺は呆然とした。
なぜならそこに映った少女は初めて見る顔じゃなかったから。
つい最近、近いうちに見た覚えのある顔だったから。
そう、さっきオレを助けてくれた少女だったから。
そしてそのリボンが見つかった場所は紛れもなくおれんちが
持っている田の真前。
俺は我を忘れて目を見開いた。開いた口も塞がらない。
ただただアホみたいに開いてる口を手で抑えながら
そのニュースをデカイ目で見ていた。
ニュースの続きを見ると中継が始まった。
今この市に、いや、近所に、、
いやいやいやいや、あの田の前にキャスターとカメラ達がいる。
滅多に見られるものではない!
見に行こう!
と言う感情よりその子の実態を知りたかったから
思わず母さんにも何も言わずに家を飛び出して
足が勝手に他の方に向かっていた。
俺は感情に身を任せた。
抵抗する程見たくないものではない。
知りたくないわけではないから。
もちろん野次馬もいた。
近所の叔父ちゃんも伊吹もいた。
小2の俺は追求心がために野次馬を迷惑知らずに
最前線に付く。
リボンの髪ゴムはもう無かった。
鑑定する人達が持って行ったんだろう。
中継のおねぇさんが小2の自分には
わからない難しい言葉を淡々と並べながら
状況を説明している。
とてもじゃないけど真面目に何言ってるのかわからない。
ただ野次馬に前に押される今の自分の体制をどうにか
保ちながら意味のわからない言葉を耳に流すだけ。
しばらくし中継も終わり、野次馬もぞろぞろと帰る。
俺一人が田の真前で棒立ちをしていた。
色んな感情が心の底からブワッと溢れだしてくる。
かすみ「あの時、、、俺があの子の事を知っていて、、
警察やらなんやらに連絡出来たら、、、、、。
そしたらあの子は今頃、、、、、、。
俺とか、、、、、、、。伊吹とか、、、、、、、。
普通の子供みたいに普通の生活ができていた、、、、。
俺は、、、、、、、、。
俺はあの子を救うチャンスを無くしてしまった、、、、。」
一人でいざ小さくそうつぶやいても
周りには誰もいない。
誰の耳にも入るわけがない。
誰もあの子と俺の事を知るはずが無い、、、。
俺が逃してしまったチャンスも、、、、、。
いえば罪も、、、、、、、、、、。
その場にしゃがみ、なきまくった。
荒れた鳴き声なんか悲しみと罪の味で
出なかった、、、、、、、。
その後数十分間体もうまく動かせなかった。
言葉を発せなかった。
動かそうとしなかった。
発そうとしなかった。
俺は、、、、、、、、。
そこで視界がいきなり暗くなった。

 

会いに行くよ ( No.3 )
日時: 2020/03/08 11:10
名前: TIBI (ID: 2gJpuHi8)

─────────────────────────
すぐにまた視界が明るくなった。
つい、ついさっきまで自分の目に通じていた景色とは
違ったものが写っていたけれど。
静かで暗い夜だったはずなのに今は小鳥が騒がしい位
に鳴き窓から朝日が差し込んでいた。
田の前で棒立ちしていたはずなのに今の自分は
ベッドで寝ていた。
田んぼの近くの地面を呆然と見ていたはずなのに
今は自分の部屋の天井を見ている自分。
さっきまでの事は夢だと分かるのはすぐだった。
ただ、あれは初めて味わった感情ではない。
どこかで味わった感情。
ふと今までの自分を振り返ってみる。
寒い冬の真夜中に産まれ、
すぐに同じ病院で産まれた女の子と仲良くなり、
ただ、俺達が2歳の時にその子の親が離婚し、
父さんの実家に引っ越してしまい別れた。
切ない気持ちで幼稚園に入園し、運動より
本を読むのが好きなオレは友達なんか出来なくて、
それから卒園するまで友だちができなかった。
小学校に入ると自分と同じで本を読むのが好きな
男の子に出会い、そいつと親友になった。
二年生になり、そいつとはまた同じクラスで、
でも2年生になってから他の手伝いをさせられ
そいつと遊ぶ時間が日に日に少なくなって、、、、、。
そのあるひ、、、、、、、、、


やっと思い出した。これは、さっきまで見ていた
夢は現実で起きた事だ。
だからこの感情は初めて味わうものではなかったのだ。
それなら、このじけんはほんとうにあったこととなる。
なら、やっぱり俺は、、、、、。
これでこの感情を味わうのは三度目。
俺はやっぱり一人の女の子の人生が元通りに
なる最高のチャンスを逃してしまったんだ。
夢でも味わったこの感情。
俺が失ってしまったチャンスがどれほど
尊くて、一生に一度しかない少女を救うチャンス
だったことを今知って、それを知ると尚更こんな自分
が嫌いに思えてきて、もう嫌だ、と思ってしまう。

Re: 会いに行くよ ( No.4 )
日時: 2020/03/11 18:46
名前: TIBI (ID: 2gJpuHi8)

気を抜くと、多分、きっと、いや、絶っっ対に目から涙があふれてくる。
目に力を入れて、涙の内側で水を抑えつけて、外に溢れない様に、
一生懸命押さえ付ける。
かすま「かすみー?学校遅れるよぉー?」そんな声がした。俺のお兄ちゃん。
そう言いながら階段を登る音が聞こえる。段々大きくなる足音。
ついにドアが開いた。ドアを開けたのはさっきの声の主で、俺には全く
似ていない整った優しい綺麗な顔をしてる身長高めな俺のお兄ちゃん。
かすま「あれ?起きてるじゃん?どうしたの?早く降りてきなよ。」
そういい俺に微笑みかける。その顔は元のイケメン顔がもっとイケメンに
なった、そんな神のような素敵で美しい笑顔。その笑顔は見てるとなんだか
安心するもので、見ると気が抜けてしまう。そうなれば目のダムはもう止まらず
涙は外の世界に猪突猛進。εεε (っ*´Д`)っ
頬を伝ってたれていく涙は布団がへそまでかかっていて上半身だけを起こして
そのももにグーにしておいている手の甲に落ちて行く。
かすま「どどど、どう、、したの?ちょっと、、、!いきなり泣かないでよ!」
お兄ちゃんはすぐ俺の近くに寄ってきてティッシュで涙を拭いてきた。
そのまま成り行きで、というか学校に遅れるし腹が減ったからリビングに行くことに
した。
リビングのドアを開けるとフライパンがめっちゃ良い音を立てている。
机には俺の箸と焼かれたパン二枚が置いてある。
かすみ「、、、頂きます。」
かすま「はい、どーぞ。」
パリッ。パンはサクサクしていて、でもそれと逆に中は熱がこもっていてふわふわしている。
かすま「、、、美味しいかな?」
かすみ「うん。おいひいよ。モグッ」
かすま「僕が焼いたんだよ。というか、口にものが入ったまま喋らないで。」
かすみ「ゴクン。はぁーい。っていうかさぁ、トースターに入れただけじゃん?
それで自分が焼いたって言っちゃっていいものなのか?」
かすま「えっへへ。まあいいじゃん。僕もトースターも凄いってことで。」
かすみ「なんかなぁ、、、、。」
かすま「それよりなんで泣いてたの?」やっぱ聞かれたか。
かすみ「いや、、その、、、。夢を見た、、、、、、。」
かすま「夢?で泣いたの?どんな夢?お化けが全速力で追いかけてきて
目潰しされる夢??」優しい声でなんてこと言うのかしらこの人は!
かすみ「ちち、違うわ!どんな夢だよ!」
かすま「じゃあどんな?」
かすみ「、、、、、、、。自分が一人の女の子を救うチャンスを逃してしまった夢。
すごく簡単だったことなのに出来なかったから、そんな自分が糞に思えてきて、
なきくずれて目が覚めた。そんなゆめ。」
かすま「怖いというより、自分のしたことに後悔して泣いてたの?」
かすみ「うん、、そんな感じかな。」
かすま「でも夢でそんな泣ける?現実なわけじゃないし。」
かすみ「いや、、ね、、、。なんだかその後悔が現実みたいに感じてきて。
よくよく考えると、初めて味わった感情じゃなかったし、もしかしたら過去の出来事が
でてきたんじゃないかって思って。それで泣いちまった、、、。」
かすま「、、、、、、、、。そっか。そういうのってやだよね。」
かすみ「お兄ちゃんもそういうことあったの?」
かすま「いや?ないよ?」
かすみ(ないのに言ったんだ、、、、。意味分かんね。)

Re: 会いに行くよ ( No.5 )
日時: 2020/03/15 11:45
名前: TIBI (ID: 2gJpuHi8)

お兄ちゃんは一つため息をついてから席を立った。
かすま「、、ま、後の事を後悔しても意味なんてないんだから、
そうくよくよしないで、学校に行きな。」
よくよく見ればお兄ちゃんは制服を着ていたし、立っているお兄ちゃんは
カバンも持っていた。
かすみ「はぁい。じゃ、お兄ちゃん行ってらっしゃい。」
かすま「うん。行って来ます。」お兄ちゃんがドアを開け閉めする音が
聞こえる。
そして二階からカラの洗濯カゴを持った母さんが降りてきた。
かあさん「かすみー?にーちゃん出掛けた?」
かすみ「おぉ。今出て行った。俺もそろそろ行くね。」
かあさん「はい。いってらっしゃい。」
母さんはそう言うとまた洗面所へ行き洗濯かごを洗濯物で埋めて
二階へ再び上がっていった。
さてとっとのとっといやー。←意味わかんないけど言ってみた。
俺も出る準備するか。ええっと顔洗って歯磨いてパジャマから
私服に着替えてトイレと色々やって、、、、、。
かすみ「んじゃいってきやーす。」
母さん「はいハーーい。」よし、行くか。
ごめんね。赤目蘭さん。オレのせいでこんな、、、、。
ほんっっっとぉにすみませんでした。
俺は罪な人間です。


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