コメディ・ライト小説(新)

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隠れ美人はかくりよに。
日時: 2020/02/22 22:23
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)


かくりよとは人ならざる存在、妖怪が多く住まう場所である。

目立たないようにしていた少女、月守穂香はとある都市伝説を信じ決められた時間に神社の

鳥居を潜り、かくりよにやってきた。

彼女が出会った妖怪たちは皆、彼女と友だちになり彼女に変化をもたらしていく。

Re: 隠れ美人はかくりよに。 ( No.1 )
日時: 2020/02/22 22:51
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

第一話


時計を確認し穂香は覚悟を決めて鳥居を潜り抜けた。その後、彼女の姿を見た者は誰もいなかったという。


高層ビルが立ち並ぶ街並みは無い。あるのは京都のような和風な街並みだ。夜にも関わらず辺りの

提灯が町を輝かせていた。見惚れる穂香の目前に錫杖が向けられた。驚いて顔を前に向けると赤い

長鼻の天狗がいた。背中には黒い羽が生えている。

「何故、人間がここにいる?どうやってここへ来た」

低い声だが年を取っている様子もない。

「決められた時間に神社の鳥居を潜るとかくりよに来られるっていう都市伝説があった。だからそれを

試したのです。これでは…ダメですか?」

穂香は不安そうに相手を見つめた。暫くの沈黙の後、もう一人の声がした。

「あまり意地悪をするでない。久彌、落ち着かせてやれ」

もう一匹の天狗は錫杖を鳴らす。久彌と呼ばれた天狗が一歩下がった。穂香はゆっくり深呼吸する。

「人間の世には面白い者がいるようだな」

地位が高い天狗は自身の仮面を顔から退かした。そこには色白の整った顔があった。もう一匹の天狗も

仮面を外す。彼もまた綺麗な顔をしている。

「すまなかったな、俺は大天狗の朱華という。さぁ名を名乗れ人間の子。こちらは名乗ったぞ」

朱華は穂香の顔色を窺いながら言った。相手が名乗った以上、自分も名乗るのが義務だろう。

「月守穂香です」

「では穂香、お前に伝えておくことがある。いいか?妖怪の中には人間を喰らう者もいる。そういう奴らには

気を付けろ」

「知ってます。妖怪の事」

一瞬、朱華の目が丸くなるもすぐに微笑を浮かべた。

「そうか。では…ここでは大天狗の神隠しされてやってきたということにしておこうか。では、また

会おう穂香」

「え、ちょっと待って。私はこれからどうすればいいの?」

朱華ではなく久彌が彼女に歩み寄り、一枚の地図を渡した。

「ここに書かれた道を辿ってください。朱華様の御知り合いの方が住んでおります。…先ほどの無礼、

申し訳ございませんでした」

そう一言謝り朱華と共に去って行った。

Re: 隠れ美人はかくりよに。 ( No.2 )
日時: 2020/02/22 23:22
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

第二話



地図を渡されたが少し迷い気味だった。

「おや?珍しいですね人間の女性ですか?」

桃色の髪をした男は穂香の眼を見つめ納得したように声を出す。

「迷子になってしまったのですか?」

「あら?人間が来るなんて珍しいわね」

長い銀髪の女はそう言う。それより気になったのは自分が迷子であると察してくれた男の方だ。

黄緑の瞳はじっとこちらを見ていて、そのうち彼はニコッと笑った。

「僕はかすかと申します。察しているように覚という妖怪です。彼女は雪女の雪美さんですよ。

貴方は鬼の住む家に行くんですね?」

「まぁ!そうなの?うーん…ちょっと不安ね。一番上の鬼はどうにかなるでしょうけど次男坊は力加減ってのを

知らないから気を付けるのよ?この道を進めばいいから」

雪美は奥の方を指差した。穂香は頷いた。

「ありがとう、雪美さん、幽さん」

「えぇ、お気をつけて穂香ちゃん」

「暗い道になるから気を付けるのよ、穂香!」

雪美と幽は彼女を見送った。親切な二人のおかげで一軒の家の前にやってきた。

「ここが…鬼の家か…」

手を伸ばすより先に扉が開いた。赤い角を持つ鬼だ。だが予想していたのとは違い、細く人間に近い

容姿をしている。後から来た二匹の鬼も同じだ。

「なんだ?人間か?それなりに美味そうな人間だな」

赤鬼は笑みを浮かべ唇を舌で舐める。穂香は首を横に振り紙を見せた。

「私は食べ物じゃないよ。月守穂香、大天狗の朱華さんに言われてここに来たの」

それを見て赤鬼は溜息を吐いた。

チッ、俺たちで預かってくれって事か…まぁ良いか。

「良いだろう。仕方ない、中に入れ…どうした?別にもう喰う気はねえよ。俺は朱砂丸だ。次男が

瑠璃丸、三男は黄金」

朱砂丸は簡単に自分たちの名前を教えた。部屋まで用意され一晩を過ごした。


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