コメディ・ライト小説(新)
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- 異世界大好き一宮さん
- 日時: 2020/03/12 09:10
- 名前: タダノヒト (ID: tfithZZM)
俺には憧れの人がいる。同じクラスの美少女「一宮さん」である。往年のクーデレ美少女を思わせるような容姿と、見た目の印象通りの冷静沈着な性格を併せ持つ、まさにクール系美少女の完成形。
そんな彼女に一目惚れしてから早二年。一、二年生共に同じクラスという奇跡に恵まれたは良いが、恋愛フラグ成立はおろか、まともに口を聞けたことすらない。進級が迫るこの時期、三年生となれば、当然クラス替えも行われる。このままではまずい。そう思った俺は、「告白」という一世一代の大勝負に出ることを決意するのだった。
「い、一宮さん!!」
その日の昼休み。放課後に二人きりで会う約束を取り付ける為、いつも通り読書に勤しむ一宮さんに、俺は思いきって声をかけた。
こちらを振り返った彼女と目が合う。今、俺は彼女の視界の中心にいる。そう想像するだけでも卒倒しそうだ。
「何?」
反応してもらえたあああああ!! これだけでもう、もう、充分過ぎる。やっぱ告白なんてやめて、今日のシチュエーションで空想デートを……と逃げたい衝動に駈られるが、そこはなんとか踏ん張る。
「あ、あ、あの……放課後、ちょっと話したいことがございますので、ちょっ、ちょっと付き合ってもらっても良い……でございましょうか?」
入念なシミュレーションから繰り出された日本語もどきを聞いた一宮さんは、何かを考えるように目線を下げる。それは果たして好意的なものか。その逆か。あまりの緊張に、冷や汗がふつふつと涌き出す。あり得ないくらいに長い一秒を経て再び俺の方に視線を戻した一宮さんの返答は……
「……えぇ。分かったわ。教室で待ってれば良いの?」
その前者だった。
「うん!! ……わざわざごめんね、それじゃあまた後で!!」
「えぇ」
この直後、すっかり舞い上がった俺が、嬉しさのあまりぼおっとして女子トイレに堂々と侵入したり、妄想がすぎて男友達に抱きつくといった奇行を連発したことは言うまでもない。
そんなこんなで迎えた放課後。俺は約束通り席で待ってくれていた彼女を連れて校舎を出た。
「「……」」
一宮さんと二人きり……俺は今日、死んでも構わない。もっと言うならば、今この瞬間に死んで永遠の幸せを手にしたい。そんな、ネガティブなのかポジションなのか良く分からない感情に一人で浸っていると、気づいた時には目的地である人気のない校舎裏にたどり着いていた。
「それで……話したいことっていうのは何かしら?」
正直、ここまであからさまだと勘づかれているような気しかしなかったが、彼女の声色や表情には際立った変化は見られない。彼女にとって俺の告白とは、それほどまでに興味のないことなのだろうか。そんな不安が頭をよぎるも、もう関係なかった。
「......一宮 雅さん。ずっと前からあなたのことがs」
その瞬間、俺の体に電流が走った。もちろん比喩……ではなく、(物理)の方である。一体何が起こったのか。それを理解する前に俺の意識は無くなった。
気がつくと、そこはどこまでも暗く殺風景な
そして、この空間には俺と……横たわる一宮さん。彼女もちょうど、目を覚ましたようである。
「一宮さん、大丈夫?」
「……大丈夫よ。それよりここは?」
「分からない」そう答えようとした瞬間、どこからともなく甲高い高笑いが聞こえてきた。
「ふふふ、ハハハハハ!! その質問、この天使のような奇跡の美貌を誇る史上最高の女神『エゲリア様』がと・く・べ・つに答えてあげるわ」
明らかに痛く、頭の悪そうな自己紹介と共に、どこからともなく美麗な女性が現れた。
「うわっ!?」
気配すらもない至近距離の登場に、思わず腰を抜かした俺に対して、一宮さんは、驚きのあまり声も出さずに固まっt
「あなた様が、あなた様こそが本物の女神様でございますか!? サ、サイン。この私めにサインを下さいませ!!」
「い、一宮……さん?」